関ケ原(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152141

感想・レビュー・書評

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  • 数多の歴史小説で何度同じ筋書きをなぞろうとも、義戦を尽くした治部少と、周りからじわじわと切り崩し天下を我が物にした家康の物語は、決して褪せる事はないのだなあと。

    正しい事をしているはずなのにへいくわいものであるが故周りから理解されなかった治部少に寄り添ってあげたい…
    治部が追い詰められていく過程はどの作品を読んでも本当に辛い。

    上杉さえ動いてくれていたなら…そう思わざるを得ないが、上杉は上杉の家風に従い背後を追わないという「義」を貫いたのだろう。

    映画が楽しみだ。

  • 良い。恨むべくは小早川秀秋、後の岡山藩。そして黒田長政。黒田長政は福岡藩の初代藩主であった。

  • 結果が分かっていても引き込まれる歴史群像劇。合戦描写も緻密。最期の瞬間まで再起を期していた三成と、無謀と知りつつ勝つため奮闘した左近、吉継…三者三様の死に様が印象的。

  • 司馬遼太郎らしい歴史小説。関ヶ原についてはいろいろなドラマやスペシャル番組で何度も見ているが、やはり司馬遼太郎の小説で読むと歴史の背景にある人間感情というのが手に取るように分かり、歴史が合理性ではなく人間で動いていることがよくわかる。どこまでが本当にあったことでどこからが司馬の創作かは分からないが、司馬が史実を調べた上で各武将の思考形式を完全に把握して創作したであろう会話は、もはや史実としか思えないほど武将の心情を見事に語っている。どこかの評論でこの小説は司馬の家康嫌いが非常によく出ていると書いてあったが、私の読む限りはそんなことはなかった。老獪で人間心理の掌握が非常にうまい家康と、理想主義で人間は合理的に動くと思っている三成の対決だが、人間は合理的に動かない以上、家康が勝利するのは見えていた。長年サラリーマンをやっていると理ではなく人間の情欲、すなわち政治が社会を動かしていることが身にしみて分かってくるが、司馬もそれをこの関ヶ原の人間描写に込めているように思える。義よりも利が社会を動かすというのは少々寂しいが、真実だと思う。しかしその義を幕府の開設にあたり、徳川三百年の礎として家康が社会道徳として推奨したというのはやはり家康の巧緻の極みなのだろう。もうほんの少しだけ三成が大人で、人を喜ばせる術をしっていれば歴史は大きく変わったのだろうが、結局は三成では天下を治められないことを考えると、家康が勝つのは必然だったのだろう。
    とにかくサラリーマンは是非とも読んだほうが良い小説。

  • 今夏話題の"関ヶ原"。以前読んだ競作の"決戦!関ヶ原"後、かなり経つので是非読みたくなった。…いざ合戦、そして結末はひとときなれど…単なる戦記だけではない。最大の対比は時をかけ、隙を与えず盤石に練り込まれた政治的謀略と人心掌握の術。どっぷり濃厚な人物造形、多岐にわたる観点と深い心情描写、、。畏れ入りました

  • 天下分け目の一戦における政治的要素が事細かく描かれる。
    ただ、その分石田三成や徳川家康、初芽といったメインキャラクターに割かれる分量が少なく、彼らを好きになり切れずに終わってしまった。

  • 司馬遼太郎の『関ヶ原』わ有名なベストセラー時代小説・・・だった。少なくとも僕らの世代では既に読んでいる同輩が多いのだろう。

    だが果たして本を読まない現在の若者達わ如何であろう。おそらくほとんど読んでないと思われる。

    もうすぐ映画が始まるみたいだけれど、出来ればこの小説作品を先に読んだ方が映画が解りやすくていいのかも知れない。あ、無理か、だって本を読まないのだものな。今更これわ読んでね、と云っても読むわけがない(嗤う)。

    ドダ! 少しでも読んでる僕わ微かな優越感。で、すまぬがボクは映画わ観ない(笑う)。

  • まあ負けるべくして負けた石田三成。しゃあない。大谷刑部の強さ、潔さに涙。金吾殿の情けなさになぜ?といいたくもなる。三成の最後は立派。でもこの人が負けたのは良かったのだと思う。家康は日本をどうするか、を考えられたが、三成はひたすら豊臣家への義に固まっている。日本にとっては家康で良かったとしか言いようが無い。三成は清廉潔白過ぎるので、下につくのは怖いし。ただ、確実に善人であり、だからこそ領民に匿われたのだろう。家康配下で生き残っては欲しかった。

  • 何ヶ月かかかって、ようやく読了。

    石田三成という人物には昔から興味があったのだが、やはりこれを読んでもいろいろと思うことはある。一言で言うと、痛々しい。

    とはいえ、身分の上では佐和山のちっぽけな大名が、天下の家康を相手に10万もの兵を集め、日本史上最大の大戦を仕掛けただけでもすごいことだ。

    「もしここでこうしておけば」もしかしたら三成が勝っていたかもしれない、と思うこともいくつかあった。思考の柔軟さや機転、したたかさも含んだものが真の賢さだとすれば、三成にはそれがなかったのかもしれない。

  • 再読。

    関ヶ原の合戦シーンは読むたびに各武将達の迫力に圧倒される。
    結果は分かっているのに息詰まり手に汗握り読書に没頭。
    この物語の中で一番のお気に入りは黒田如水。
    島左近、大谷刑部、島津勢と凄まじい戦い方に惹かれるが、あの飄々とした雰囲気と行動にもっとも惹かれる。

    ボリューム、内容ともに充実した一作です。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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