- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101171371
作品紹介・あらすじ
気がつけば、おれは石川五右衛門だった…。神出鬼没に時空を飛ぶ作家一家。読者を物語のブラックホールに突き落とし、ねじれた迷宮へと誘う表題作。被害者の遺族が死刑囚の刑を執行するという狂気の設定で、獄中で執筆し続けた囚人作家の断末魔を描く『天の一角』。長年の忍従に暴発した作家夫人の怒濤の糾弾を活写する法廷劇『妻の惑星』等、表現への熱い慟哭が刻まれた傑作7編。
感想・レビュー・書評
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筒井らしいスラップスティックな狂気に満ちた短編集である。本作のテーマは狂気ではないかと思うぐらいに狂った短篇が多い。
「九月の渇き」はスカトロ趣味が混在した異様な短篇である。特に大便がうず高く積まれて期限切れのアップルパイのように層をなしている便所の描写や、液体を欲するあまり、他人の小便に打たれてアンモニア臭で赤く目を腫らした赤目こと「能客派」などの怪人など、静かに狂ってしまった世界の描写がとにかく生々しい。
「大官公庁時代」は今となっては時代性を感じるが、それが言い訳にならないぐらいに露悪趣味に溢れた短篇である。組織の仕事の全容を把握している人間は誰一人としておらず、末端の不始末が全てを狂わせていくという描写もさることながら、小悪人が奸計を働かせ、どうしようもなく狂った世界の中で欲望のままに行動するという人間のあさましさが出ていて非常に良い。はしたない、あられもない嬌声をあげるから橋内アラレという名前も悪意に満ちていてひどいが、さんざん慰みものにした後、翌日会社にやってきたら混乱はよりひどくなっており、日報課長が馬になっていたというトボケ具合も中々である。狂騒的かつ、不条理ではあるものの、狂った理由が意外にちゃんと説明付けされていたのには驚いた。この短篇集の中ではこれが一番好きである。
筒井康隆の短篇集の面白いところは、明確なオチが予想できず、オチすらも投げっぱなしになる予測不可能さである。当初想定していた話が思いもよらない方向へ転がり始める様がとにかく楽しい。巧みな描写力に裏打ちされた自由自在な発想力と露悪趣味こそが筒井文学の真骨頂だろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
笑どころはありつつもシリアスな短編集でした。文学色強め。
死刑執行の行く先を描いた「天の一角」は今まで読んだ筒井の短編の中でかなり好きな作品になった。 -
2011.11.24(木)¥73。
2011.12.1(木)。
重複購入
2015.4.2(木)¥130+税。(-2割引き)
2015.4.2(木)。 -
ずいぶん前に読んだから、ほとんど忘れてしまったなぁ。
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☆3ってかんじ
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・5/19 思い出したように読み始める筒井だった.それにしてものっけからエグい.
・5/20 と思ったらあっという間に終わってしまった.どれも初めて読む作品ばかりだったけど、やはり一種独特な面白さがなんとも言えない.結構私小説染みてるのが比較的多かったかな. -
08/29
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読むべき