銀齢の果て (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 694
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171517

作品紹介・あらすじ

増大した老齢人口調節のため、ついに政府は70歳以上の国民に殺し合いさせる「老人相互処刑制度」を開始した!和菓子司の隠居、宇谷九一郎の住む宮脇町には、もと自衛官、プロレスラー、好色な神父など「強敵」が犇めいている。刃物と弾丸が飛び交い、命乞いと殺し合いの饗宴が続く。長生きは悪なのか?恐怖と哄笑のうちに現代の「禁断の問い」を投げかける、老人文学の金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • 老人増加対策のために政府が定めた「老人相互処刑制度(シルバー・バトル)」70歳以上が対象となるこのバトルは地域と期間を定めて行われる。舞台は東京の下町宮脇町5丁目、対象者は59名。最後に残った1人だけがその後に生きる権利を得るこの戦い……ってすごいなオイ!!

    Twitterで見かけて、軽い気持ちで読み始めたらガチやったわ……。58人プラスαがバタバタ死んでいくし、他の地域の中継もあるから、ほんま恐ろしい速度で70歳以上がバタバタいく。最期の瞬間もそれぞれで、フィクションらしさがあり重くはないんだけど、合間にチラリと見えるリアルさが怖い。

    一番怖いのは、そろそろこういうことがリアルで起こりそうだということよな。
    コロナ禍の救急車が間に合わなくて、みたいな話はまさにコレだし(バトル期間中は区外から往診不可で持病の悪化でってのもあった)
    筒井康隆氏、恐るべし。

  • 増大した老齢人口調節のため、ついに政府は70歳以上の国民に殺し合いをさせる「老人相互処刑制度(シルバーバトル)」を開始した。

    ご老人版バトルロワイヤル、刃物と弾丸が飛び交い、命乞いや画策があり、血まみれスプラッタにエログロ表現の筒井節。姥捨山ベースの「楢山節考」より過激で、シュールな人間模様。

    私の手元にあるものは平成20年発行分で、巻末には歌人の穂村弘氏の文が…!

    • hetarebooksさん
      まっき~♪さん

      こちらこそ、いつも花丸ありがとうございます☆

      うふふふ、すごいですよ。突き抜けていて、なんというか、逆に爽快感が...
      まっき~♪さん

      こちらこそ、いつも花丸ありがとうございます☆

      うふふふ、すごいですよ。突き抜けていて、なんというか、逆に爽快感があります。

      何がすごいってこれを書かれたとき、筒井さんもけっこういいお年なんです。それでいてこんな設定を書いてしまう、という。。。
      2014/03/17
  • おじおばのデスゲーム。それを遠巻きに見ている対象者以外の人間たちがいちばん怖い。
    後書きにもあったように、これは滅茶苦茶な本を書いてるように見えて、近い未来への限りない忠告のような意味が全体を通して孕まれている気がする。
    九一郎VS津幡の一騎打ちではバトル物少年漫画さながらのアツさが見られて良かった。
    様々な老人劇が見られておもしろい、とばかりも言ってられないし、未来の老人は私だ…と少し震える。

  • 「長生きは罪である」と法制度が出来「処刑」を宣告され、しかも「70歳以上老人同士のバトルで」施行というブラックユーモア小説。

     いただけるか、いただけないか読んでみました。

     ブラック過ぎて、のけぞりましたがほんとうのこともたくさんあり、笑えて、うなずいて、しかし、ちょっぴりもの悲しくなりました。いえ、すさまじい殺し合いの闘争がではありません。それは笑ってしまえばいいフィクションです。

     帯にある「後期高齢者医療制度という老人いじめ政策を予見した小説」ではあるような、でもそれを「いじめ」と取るかどうか、むしろそれを「すすめないとこうなる小説」のようです。

     政府の作る制度は必ず裏がある(かもしれません)ので手放しで賛成するのもなんですが、負債多い日本の老人人口爆発によってかかってくる医療費増をどうするか、なんらか方策を講じないと永く生きていられなくなりますよ、ということでしょうか。

     長寿が嬉しいのかどうか、寿命とはなんぞや。でも、102歳で元気に鉛の玉を投げている(お昼のTV)前向き男性を見ていると、目的をもって元気で、長生きしたいなーと思うし、やっぱり勝手だわね。

     ということでいただきましたこの小説。

  • デスゲーム的な話が好きなので読んでみたが、あまりに悪趣味で読むのがしんどかった。
    ブラックユーモア的な文体も生理的に受け付けないし、
    場面転換も唐突で全体的に読みにくい。
    全く別の場面や人物の話に移るとき、行を空けるとか章を区切るとかするものじゃない?と思うのだけど…。
    唐突に次の行から話が全く変わるので、最初は面食らった。
    バトロワとかクリムゾンみたいな感じを期待していたが、人間ドラマやスリル、サスペンスなど全然なくてガッカリ。

  • 社会がああだこうだ施策を練る。それに盲目的に従っていいのだろうか。無視するだけじゃ社会不適応者だけど、反抗するのはいいじゃないか、その中に人権をうたう国民の権利が含まれている。声をあげよう。SNS上の揚げ足取りは半熟未熟!と蹴散らそう。快活な惨劇が社会の病理をえぐり出す傑作。

  • 筒井氏の世界に入っちゃ危険(笑)と思いつつ・・どんどん引きずり込まれました。
    何となくですが、「俗物図鑑」の梁山泊に立てこもる人々とイメージが重なっていました。不思議です・・。ギリギリのところに追い詰められる感じが似てるのかもと考えたりして・・。

    ラストは壮絶なんだろうなと思ったのですが、確かにある意味壮絶ですが、また違った意味で驚かされた作品です。

    結構タブーに挑んでいますね。それが筒井氏らしいと思います。そして引きずり込まれる感じ。いつまでも筒井ワールドは変わらずそこにありました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「筒井氏の世界に入っちゃ危険」
      ブラック・ユーモアの見本と言うか権化ですからね、この作品も、いつか遣って来るコトじゃないかと思ってしまいます...
      「筒井氏の世界に入っちゃ危険」
      ブラック・ユーモアの見本と言うか権化ですからね、この作品も、いつか遣って来るコトじゃないかと思ってしまいます。。。
      2012/10/29
    • aquaskyさん
      nyancomaruさん、筒井作品は、ちょっと読み始めると止まらなくなりそうで怖いです。笑) そのうちに実際に起こってしまうかもですね・・...
      nyancomaruさん、筒井作品は、ちょっと読み始めると止まらなくなりそうで怖いです。笑) そのうちに実際に起こってしまうかもですね・・・怖い怖い。
      2012/12/18
  • 浅ましい老人がたくさん出てくる小説。
    老いても欲望も、生への執着も捨てきれない。
    若者には貶まれ、社会のゴミと呼ばれてもいい目を見たい。
    人間だもの。

    みつを

  • 日本の高齢化問題はますます苛烈なものとなり、政府は70歳以上の老人たちに殺しあいをさせる「老人相互処刑制度」(シルバー・バトル)を実施します。宮脇町に暮らす77歳の宇谷九一郎は、かつてのシルバー・バトルの勝利者である、元刑事の猿谷甚一の協力を得て、生きのこるための戦いに参加します。

    生に執着するすがたをさらす者、二人いっしょに死のうとするも、思い通りにいかず苦しむ者、強者に協力しつつ出し抜く機会をうかがう者などが登場し、さらに元大学教授であり、生と死をともにあじわいつくそうとする津幡共仁、元自衛官である是方昌吾、かつて見世物の小人プロレスで活躍した乾志摩夫といった個性的な面々が、本気のバトルをくり広げます。

    老人たちの「バトル・ロワイヤル」というべき内容で、著者らしいブラック・ユーモアに満ちた作品でした。

  • ~p142

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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