コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181035

感想・レビュー・書評

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  • 世界史を習う誰もが知っているであろう歴史的出来事。この都市を千年守り続けてきたテオドシウスの城壁。新兵器ウルバンの巨砲。オスマン艦隊の山越え。両陣営とも実に魅力的に描かれている。

  • ☆☆2011年11月のレビュー☆☆

    1453年に陥落したコンスタンティノープル。
    その一大文明の終焉をその場に居合わせた人々の証言(記録)を元に、現代に甦らせた名作。
    この時を機に、小アジアはキリスト教徒の手からイスラム教徒の手へと渡った。

    ☆☆2017年4月のレビュー☆☆

    このスケールのでかいストーリーを読んでいったい何を書けばいいのか。歴史物語を読んでいた思うのは、人々には「命より大事なものがあった」という事。ビザンチン帝国最後の皇帝、コンスタンティヌス11世は、「コンシタンティノープルを明け渡せば命の保障はする」と交渉を持ち掛けられていた。しかし、異教徒に降伏することを良しとせず、帝国とキリスト教徒運命を共にした。現代の日本人にはわかりにくいが、それほど「信仰」「誇り」というのは重要で時には命よりも重かったのだろう。


    2012年7月のイスタンブールを訪れたので、ここに出てくる土地の感じがわかる、だからますます面白い!!ボスフォラズ海峡にそびえるルメール・ヒサリ。ジェノバ人の居留地ガラタ、金角湾。東西の交流地点であるこの街は魅力的だ。

    「あの街をください」
    というのは、当時21歳のマフメト2世が発した言葉。この恐れ知らずの若者は、1000年以上の歴史を持つ、双頭の鷲ビザンツ帝国を滅ぼした。筆者は述べる。
    「一都市の陥落が、長い年月にわたって周辺の世界に影響を与え続けてきた一文明の終焉につながるとなると、人類の長い歴史のうえでも、幾例を数えることができるであろうか・・・」その日、その時、ピンポイントで歴史が変わる。歴史とはなんと悠大で面白いものだろう。

    • accoさん
      トルコに行くまでにぜひ読んでおきたい1冊だね!
      トルコに行くまでにぜひ読んでおきたい1冊だね!
      2011/11/29
  • 15世紀、コンスタンティノーブル(現イスタンブール)におけるオスマントルクと東ローマ帝国の攻防戦を描く。

    資料から想像した人物造詣が見事で、彼らの動きを追いながら展開される物語はスリリングで読み易い。
    沈み行く帝国と、新興国トルコの対比が見事。

    古代ローマに連なる東ローマ帝国の滅亡は、ヨーロッパ諸国に自らの母胎を奪われるような、大きな衝撃を与え、その後の宗教改革、軍事技術の促進に繋がった他、亡命ギリシャ人によりルネッサンスにすら影響を与えたというくだりは、初めて知る見方で興味深かった。

    日本も、1853年のペリー来航の20年後に国体が一変したことを思えば、
    当時のヨーロッパ人の狼狽が感じられる気がする。

    イスタンブールに行く前にはぜひ一読をオススメします。金角湾の風景が、より深く味わえるかも。

  • キリスト教世界vs.オスマン帝国の3部作の第1弾。コンスタンティノープルが最終的にオスマン朝の手に落ちるまでの経過を、ビザンティン帝国やヴェネツィア人などのキリスト教側からだけでなく、メフメト2世を中心とするイスラム側からも描いている。登場人物の全てにドラマがある中で、個人的にはメフメト2世の豪胆さに惹かれた。

  • トルコ関連本2冊目。ローマ帝国最後の領土となったコンスタンティノープルを守るビザンツ帝国の軍勢7千と、東方より勢力を伸ばし遂に迫り来るオスマンの軍勢16万。

    結果は知っての通り、なのだけれど、結果しか知らんかった。ビザンツには都市国家としてのベネチア、ジェノバ、フィレンツェが加担していたことや、スルタンであるマフメット2世が若干21歳だったこと、すらも初めて知った。

    城壁を巡る攻防や、深く入り込んだ湾を争う展開は、歴史モノであると同時に軍記モノとして面白い。遠いルーツであるビザンツに対し、ローマ周辺の国がどのように援助するのか、という視点も面白かった。

    小姓とスルタンの関係についての記述は、奥ゆかしいんだか直接的なんだかわからん書き方で、苦笑い込みで読んでしまった。

  • 歴史って、奇跡でできてるのだな、と思った。

  • コンスタンティノープル陥落に立ち会った人々の人物描写が主体。当時の様子を彷彿とさせた。
    司馬遼太郎ぽかった。

  • 「Istanbul (Not Constantinople)」という曲で
    「Why they changed it I can't say.
    People just liked it better that way.」と歌っています
    こういう人は本書を読みなさい

    「文明の衝突」という前に
    まず宗教と政治の物語です

    戦いを俯瞰できる快感は確かにあるので
    地図を見ながら読むことをお勧めします

  • 前回のローマ帝国の首都をコンスタンティノブールに
    遷都させた「コンスタンティヌス」からの興味を
    引きずり、東ローマ帝国(=ビザンティン帝国)が滅亡したコンスタンティノブールの陥落が描かれた本書を
    読破。

    最近、西洋史への関心が高いのですよ。だって海外の
    人って確実に歴史を意識した動きをしている。
    現代史は歴史を見れば分かる感じ。
    アメリカもローマ帝国を意識しているしね。紋章が
    鷲だし。(スターウォーズなんてそのまんまだよね。)

    印象に残ったのは最後の文章ですね。

    「西欧の人々はビサンティン帝国の滅亡によって
     はじめて古代ローマという母胎から切り離された
     痛みを感じたのだった」

  •  塩野七生にこれを読んではまった。とても面白い。

     こういう歴史って学校ではほとんど習わなかったので、新鮮です。なおかつ小説なので物語の世界に入りやすい。

     戦いのクライマックス。オスマン軍の艦隊を金角湾に侵入させないため、大きな鎖を湾の入口に渡し、完全に封鎖した東ローマ軍を、とんでもない方法でオスマン軍は打ち破ります。義経の鵯越え、ハンニバルのアルプス越え、ナポレオンのアルプス越えに匹敵する奇策です。これによりコンスタンティノープルは陥落し、東ローマ帝国は消滅します。

     歴史的事実なのでその奇策を書いてもいいのですが、これは最高の山場なので伏せておきます。

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