わが友マキアヴェッリ 1 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181387

感想・レビュー・書評

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  • マキャベッリ本人の伝記的な記載は極力控え、
    彼が生きていた時代背景や地理を
    説明することによって、
    人物像や著作を浮かび上がらせている。

    さすがだな、と思った。


    佐藤優さんの解説は要らなかったかな。

    解説というより、自分と自著の宣伝みたいに
    なっているし、気負いすぎ。

  • 第一部は
    「マキアヴェッリは、なにを見たか」
    で、マキアヴェッリ本人はあまり登場しない。

    主人公はロレンツォ・デ・メディチ。
    マキアヴェッリより20歳ほど上のロレンツォの動静を描くことで、マキアヴェッリの思想背景を理解することが第一部の目的のようだ。

    相変わらずの淡々とした筆致だが、最後までペースを落とさずに読み切ることができる。

    中世イタリアの事情にそれほど詳しくはないが、大まかな時代背景は理解できた。

    第二部は
    「マキアヴェッリは、なにをしたか」。

    ようやっと、具体的な話に入るのは2巻。


    そして、文庫本で触れなければいけないのは、佐藤優の解説。

    解説だけで20ページもある。
    佐藤優の重厚さが伝わってくるし、これだけでも読む価値があるほど。
    ついでに佐藤優の本も読みたくなってしまう。

    ということで、第2巻も楽しみだ。

  • マキャベリはフィレンツェ出身の政治家である。
    君主論の著者としても有名であるが、古典を読むときはその歴史、背景の部分を理解しないといけない。
    15世紀のイタリアは西からはスペイン、北からはフランスそして東からはオスマントルコが中央集権化が進められている時代であり、もはやフィレンツェ共和国のような独立国はやっていけない時代である。
    そこで生まれが君主論であるが、マキャベリはその生涯で何を見て何を感じ、その結果なぜ君主論を著したのか。

  • 15世紀後半。フィレンツェ。1巻の主役の1人は、ロレンツォ・デ・メディチ。メディチ家当主。侵略されそうなところでの強運。つきがよいのは民衆の心をとらえる。支配体制は確固なものになる。敵の懐に入るという勇気が運を呼び込んだ。主役のもう一人はジロラモ・サヴォナローラ。一時は民衆の信望を集めるものの、「虚栄の焼却」が禍をもたらす。最後は絞首刑の後の火刑。時代のうねりの中で運命に翻弄される人々。マキアヴェッリもその一人。まだ、「君主論」は登場しない。2巻以降「ご期待乞う」。

  • 16世紀のフィレンツェ共和国に仕え、権力者たちの素顔を間近で見つめ続けた官僚。自由な精神で政治と統治の本質を考え、近代政治学の古典『君主論』を著した思索者。そして人間味あふれる愛すべき男。

  • 感想は3巻でまとめて

  • 中世イタリアの歴史を物語として読んでいけるが、若干説明的な部分が多い。

  • 引き込まれる16世紀のフィレンツェ。
    ロレンツォ・デ・メディチに魅了される。

    塩野七生ルネサンス文学の最高峰。
    このあおり文句もスッと入ってくる読後感。

    表題通り、マキアヴェッリが主役の物語だ。
    マキアヴェッリと言えば、
    『君主論』くらいしか思い浮かばない。
    なぜマキアヴェッリを書いたのか。
    どんな人物なのか、と思って読み始めると、
    いきなり肩すかしされる。

    導入で読書が進まなかったことを告白したい。
    いきなり、フィレンツェの市街から
    マキアヴェッリが『君主論』を書いた山荘のある村への
    道の話から始まる。
    しかも、地名を含めて詳細に書かれていく。
    イタリアの土地勘もないし、
    何でそんな道の話をするのか。
    そんなまどろっころしさを感じながら読み進み、
    たどり着いた序章のラストは感動的だ。
    道の距離は、マキアヴェッリが公職を追放されて
    花の都フィレンツェから、田舎に住まざるをえなかった
    その心理的距離を表していた。
    そして、マキアヴェッリの山荘の庭から
    フィレンツェがかすかに見えた。
    そのとき、塩野はいつかマキアヴェッリを書こうと思った、
    そうしたためる。その一文から物語は始まっていく。

    一巻はマキアヴェッリがほとんど登場しない。
    当時のフィレンツェを理解するために
    メディチ家について書いていく。
    中でも、ロレンツォの活躍は
    それだけで一篇の映画になりそうだ。
    このエピソードに心躍った。
    そして、メディチ家の没落、再興。
    そこにマキアヴェッリの運命がからんでいく。

    塩野は豊富な知識を自らの中で血肉化して
    見てきたように、往時の物語を紡いでいく。
    語り口はゆったりと、しかし、豊かだ。
    そして、塩野が提示する知識や知恵をかみしめながら
    読者は次第にフィレンツェの只中にたたずんでいる気分になる。
    そうなったら、もうこの世界から出ることはできない。
    そんな魔力に満ちた塩野文学だ。
    一巻を読み終えて、改めて目次を見ると
    その構成の確かさと無駄のなさに気づかされる。

    イタリアに住み、イタリアの歴史を愛し
    イタリアという国のあり方が
    自らの生き様にさえ重なる塩野が紡ぐ物語は
    感情を交えない語り口でありながら
    あふれんばかりの情熱を感じてしまう。

  • 第2巻が楽しみ。

  • マキアヴェッリが書記官として働き始めるまでのお話.マキアヴェッリ本人よりもフィレンツェの当時の状況がメイン.マキアヴェッリの活躍を早く知りたい人は退屈を覚えるかもしれない.

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