春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.76
  • (30)
  • (53)
  • (55)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 379
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101199214

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  時は江戸。
     微禄の小普請組の青年・村椿五郎太の恋と学問の日々を描いた時代小説。
     先祖の失態によって懲罰的に小普請入りとなった村椿家の後嗣である五郎太は、無役の身をかこち、代書の内職で糊口を凌ぐ傍ら、御番入りをするべく学問所に通い、勉学に励む毎日。
     幼なじみで相愛の紀乃とは不用意に擦れ違い、学問の目的を見失いかけ、自信を失くして苦悩する姿は、いつの世も、若者の悩みは大差ないことを示している。
     将来を憂えて不安に惑いつつも、代書屋の仕事仲間や学問の師匠たちと深く関わり合う中で、不器用ながらも成長していく五郎太の真面目さや誠実さが光る。
     人との縁や繋がりを大切にすることで、道が開けてゆく結末は爽やかで、江戸時代の青春小説の趣がある。

  • 村椿五郎太、25歳。先祖の不始末といまいち野心に欠ける遺伝子が災いして、うだつのあがらぬ小普請の身。目下の目標は、学問吟味に合格して御番入りを果たすこと、なのだが、文茶屋での代書屋の内職も忙しい。そんなのんびり男を焦らせたのは、幼なじみの紀乃。学ならずんば、恋もままならず――。どうする、五郎太! 代書屋に持ち込まれる騒動、そして一進一退の恋と学業の行方や如何に。
    (2000年)
    — 目次 —
    月に祈りを
    赤い簪、捨てかねて
    魚族の夜空
    千もの言葉より
    春風ぞ吹く

  • 各エピソードに必ずほろりとさせられる情景やセリフがあるところが心地よい。(HPの日記より)
    ※2006購入
     2006.11.2読書開始
     2006.11.11読了
     2009.4.30売却済み

  •  この著者安定の市井もの。友人の水茶屋で代書屋のアルバイトをしながら御番入り目指して学問吟味試験勉強に励む五郎太をめぐるエピソード。五郎太もそうだが脇役が中々粒ぞろいで、そのやりとりだけで楽しめる。気の強い母親の里江が犬猿の仲の嫌味な平太夫に切る啖呵など胸がすく。めでたく試験に合格して望みの娘を妻に迎えるに至るハッピーエンドの最終話はまあ予定調和というところだが、一つ前の「千もの言葉より」がホロリと泣かせる。

  • 「無事、これ名馬」の太郎左衛門の両親の祝言までの話

    村椿五郎太は、無役の小普請組から出世する為に難関の学問吟味合格を目指す。

    学問吟味を突破して御番入りすることは、幼馴染みの紀乃との祝言の条件でもあり励まぬわけにはいかない。

    内職の代書屋のに持ち込まれる数々の騒動が五郎太の人生を変えていく。

  • たろちゃんの両親の話。これより前巻のたろちゃん話の方がおもしろかった。

  • 宇江佐真理さんの初めて読んだ小説。ジャケ買いだったけど、この本を読んでファンになりました。
    読みやすく、入りやすい。
    宇江佐さんの描くキャラクターに愛着を持てます。

  • あまり起伏というか、波がなく終わっちゃったわ、という感想です。悪くはないけれど、宇江佐先生の著書としてはもうすこしググっと欲しかったです。

  • のんきな貧乏御家人の話。
    ハッピーエンドです。

著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宇江佐真理の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宇江佐 真理
宮部 みゆき
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×