数学する身体 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.64
  • (38)
  • (68)
  • (65)
  • (10)
  • (7)
本棚登録 : 1431
感想 : 95
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101213668

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『人は何かを知ろうとするとき、必ず知ろうとすることに先立って、すでに何かを知ってしまっている。一切の知識も、なんらの思い込みもなしに、人は世界と向き合うことはできない。そこで、何かを知ろうとするときに、まず「自分はすでに何を知ってしまっているだろうか」と自問すること。知らなかったことを知ろうとするのではなく、はじめから知ってしまっていることについて知ろうとすること。』

  • 冒頭の「人工物としての”数”」その次に「道具の生態系」くらいまでは斬新でドキドキしたのですが徐々に退屈な内容になっていきました。最初のあたりの内容をもっと展開してほしかったなぁ。

  • ひとつの作品として論理的にまとまって完結している、というよりは、数学の出発点である身体、その肉体的・物理的制限から、数学を通して「心」の可能性をあれこれ探る論考、という感じ。感想としては、頭いい人なんだろうねえ。。という凡人読者特有の距離感につきる。ただ、深い感動や読後感みたいなものはないけれど、ひとつひとつのエピソードに考えさせられることがとても多かった。もともと数学や物理が好きだったのは、何か「理」を探究する学問のような気がしていたからで、その意味で理系というよりは文系(哲学・倫理学)色を感じていた。当たり前だけど数学にも歴史があって、いろんな国や人が培ってきた科学としての背景があって、「数学文化」という言葉がとても印象に残った。数学は文化なのだ。なるほどな。

    個人的にはあまり数学に関係ないけどノイズとリソースの話が好きだった。たぶんしばらくこの二つについて考えることになるような気がする。Whatever works. 脳の外にも心はあると、確かに僕も思う。

  • わかるは自身が変わる、数字という言葉が脳にある記憶を介して自己の世界に認識される。すると、五感により自然を分けようと数字が無意識に機能する。そこに生活が繋がり合理を求めようとする。居心地の良さは数の整列でもある。時流の一方で "0" と "1" に配列されたデジタルが存在するが、果たしてデジタルで人々は幸せになるのか。所詮デジタルでできることはSNSや情報という言葉である。それよりも自然の中にある数字に興味を抱く。例えば植物で "葉の配列や花びらの形成" を言葉に頼らずに "わかる"。自然は言葉以前の根源にある。だからわかると言葉にするときに人は変わっている。人もまた自然であることの証でもある。

  • これを10代で読んでいたら数学に対して興味や愛情を持てた可能性すらあるな…と、数学が大の苦手だった私でさえ思うほど、数学の新しい捉え方を教えて貰った。面白かった。

  • 学生の時に読んだらこの世界にのめり込んだかもしれない、と思うほど、何も知らない人が読んでも引き込まれる一冊。難しい部分は頭が固くなった今では噛み砕くのに時間がかかり過ぎるので流してしまったが、それでも興味深い話が散りばめられていて面白かった。

  • 常に身体と共にあった数学が、証明や記号(+,=)を含んで、どんどん抽象的で普遍的な物へと変わっていく。
    そして遂に「コンピューター」「AI」という産物を生むに至る。
    そのプロセスは「身体」「心」と「物」とを分離していく事であった。
    そしてそれを進めたのは、数学者たちの普遍の追求に対する情熱だった。
    だから、今日の数学は一見身体から数字が離れて一人歩きしている、空虚な物に見える。
    しかし、「コンピューター」「AI」は再び人と人の心を通わせる。
    「物」と「心」はそう簡単には分離できない。

    アラン・チューリング / 岡潔の2人の巨人は、「数学=物」を追求する事で、「心」とは何かを追求した。

  • うーん、難しい。。。
    でも、とても詩的で綺麗な文を書かれる方だと分かる。

  • 知らない世界なので視点がとても新鮮

  • 数学についての一つの見方を示唆してくれる。読んでくにつれ、脳科学か心理学についての本ではないか。ラマチャンドランの獲得性過共感なんか随分おもしろいではないか、と思った。また、著者は随分岡潔に心酔していて、彼の思想の解説をして、岡潔に興味を持って、ここはひとつ彼の著書を読んでみようかという気になった。2021.6.6

全95件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

森田 真生(もりた・まさお):1985年生まれ。独立研究者。京都を拠点に研究・執筆の傍ら、ライブ活動を行っている。著書に『数学する身体』で小林秀雄賞受賞、『計算する生命』で第10回 河合隼雄学芸賞 受賞、ほかに『偶然の散歩』『僕たちはどう生きるのか』『数学の贈り物』『アリになった数学者』『数学する人生』などがある。

「2024年 『センス・オブ・ワンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森田真生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×