- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101235141
感想・レビュー・書評
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2022.10.16
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この本は沢木作品をむさぼるように読んでいた昨年に読もうと思っていたが、殺人を犯す少年が主人公ということで、あえて読むのを避けていた。沢木耕太郎の数少ない小説の一つ。短編集の『あなたのいる場所』を除く長編としては、ボクシングをテーマにした『春に散る』、バカラをテーマにした『波の音が消えるまで』、そして処女作であるこの作品となる。深い作品だった。ある種、沢木耕太郎が内面に持ち続けていたものを小説という形で吐露しているのだと思う。解説者も書いていたが、ある意味私小説なのだろう。なかなか類をみない作品だと思う。
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ナイフのひやりとした重みをポケットに忍ばせておきたい気持ちが分かってしまうから、なんとも危ない小説だった。きっとあらゆる物事には、なにか決定的な原因があるわけではなくてそこにはただ日々降り積もっていく感情があるだけなのだろう。
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実の父親を殺してしまう少年の話で、そこに至るまでは、単に親や学校や社会のせいでなく(もちろん読んでる本のせいでもなく!)、もっと複合的なことが起因していました。初版は、折しも酒鬼薔薇事件の頃だったと記憶しています。不変的名作で、いたたまれない事件があると今でも手に取ります。
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沢木耕太郎初の長編小説。ちょっと怖くて、また気持ち悪い後味が残る話ですが、男子中学生のあの時期の独特かつ孤独な悶々、不器用さをうまく表現しています。終盤にさしかかるあたり、地元の図書館でクラスメイトの女の子としゃべる場面が切ない…。
『一瞬の夏』や『テロルの決算』で取り上げられたテーマが、そこかしこに散りばめられています。 -
21歳の頃に読む。
「カシアス内藤」というボクシング選手に迫った
ドキュメントもの。
スポーツを見ない私には、
人間への迫り方がとても新鮮だった。
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沢木耕太郎氏の初の小説。
重いものの、読んだ後には
風が心地よい感じを受けたような
気分に浸ることができました。