- Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101240213
作品紹介・あらすじ
教育実習のため母校に戻った広瀬は、教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。彼をいじめた者は"報復"ともいえる不慮の事故に遭うので、"高里は崇る"と恐れられているのだ。広瀬は彼をかばおうとするが、次々に凄惨な事件が起こり始めた。幼少の頃に高里が体験した"神隠し"が原因らしいのだが…。彼の周りに現れる白い手は?彼の本当の居場所は何拠なのだろうか?
感想・レビュー・書評
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なるほど、これはスケールがすごい。
430ページを一気読みしてしまった。
ロングセラーのシリーズものは今まで手を出すには遅すぎて手をつけてこなかったけれど、勇気を出して取ってみた。
教育実習生の広瀬。
不思議なオーラを放つ生徒の高里。
高里の周りでは不思議な現象や変死事件が多発する。
あまりにも多くの人が無惨に死んでいくけれど、これはシリーズものの序章で、その裏には何かあるということを知っていたから、ホラーではなくファンタジーとして楽しめた。
が、高里の正体。表と裏の世界。
あまりにもたくさんの伏線が張り巡らされていて、これを最初に発表したときにはすべて作者の頭の中で世界観が成立していたとなると、すごすぎる。
頭の中はどうなっていたんだろう?笑
そして広瀬、君にも必ず何かありそうだな…。
次の巻を読むしかない結末だった。気になる。
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4.3
十二国記が読んでみたくて、この本から読み始めました。
そこそこ期待してた訳ですが、期待以上に面白かった。
何となく想像していた話とは、だいぶ異なりましたが、そもそもこの本は十二国記の序章的扱いとのことで、次の作品からが本番らしく、さっそく次を読んでみたいと思います。 -
シリーズが長いので手を出しあぐねていましたが人に強く薦められ手に取り。そしてはまった(笑)
正直こういう怖くて異世界もので、というジャンルは得意ではありません。むしろ避けて来たところ(宮部みゆきさんのは別)
しかし面白かった。というか文章の力にはまりました。え?二十数年前ですか?読ませる描写が本当にうまい。グロテスクな描写も目に浮かぶくらいに詳細かつ冷徹に描き出していく。これでもか!というくらい人が理不尽に死んでいき、追い詰められていく様が容赦ない。「まだ死ぬ?」って呟いてしまった(苦笑)
でもここまで追い詰められていく理由が最後にはわかる。そしてその世界観もわかる。
そしてその孤独な彼と、彼に自分と似たものを感じて引き寄せられていく広瀬の心理描写も巧み。
そこを通して、高里の孤絶感がまた際立つという構成も手練れ感が。
今後の壮大なストーリーがこの時から作者の頭のなかにあったのかは知りませんが、これは簡単には終わらない話が、世界が来るぞと読者は引っ張られていきます。
今年の自分の大きな楽しみ、課題作です。ゆっくり既読の皆様に追い付きたいと思います。 -
「この本はホラーだから」と聞いていたのだが、成程、この本を単体で読んだら確かにホラーだ!
しかし、私は十二国記シリーズの今出てる最新刊の後にこれを読んでしまった為、もうこの物語は泰麒でしか有り得ず、全くホラーでもなくスイスイと読めてしまった。
読む順番が違っていたら、全く違う物語になっていたのだろうなぁ。 -
「行ってください。あなたは、人なのだから」
神隠しから帰ってきた少年。
彼に危害を加えるものは皆、偶然の事故に遭う──
この世に居場所がない、失った故郷があると感じる青年と、故郷より流されてきた、帰る手段も忘れてしまった少年の話。
得体の知れない何かがひっそりと陰に潜んで、訳のわからない問いを投げてくる、理路の通じない危害を撒き散らす、あたりが恐ろしいのだけど、「風の海、迷宮の岸」を読んだあとは180度読み方が変わるのが本当に面白い。
劇的な運命を背負った高里を巡って、しかし物語としては、何者でもない広瀬が自分は何者でもないということを知らしめられるというのがなんとも印象的。エンオウお出ましの大災害が僅かにしか触れられないのが逆に恐ろしい。
ということで最強の伏線ホラー。なんと全編が伏線、というか前日譚なわけですけど、前日譚だけ先に出るって凄いですね…。刊行当時の評判を聞いてみたい。
来月の18年ぶり新刊を前にして何度めかの読み返しを始めたけど、あとひと月じゃ全然読み終わりそうになかった。若い頃と一緒にしちゃいけなかった。
仕方ないから慶の話は飛ばして、泰の話だけの読み返しにしよう。 -
面白かった。ストーリーテリングも上手いし、抑制された文体もいい。
ん?十二国紀シリーズなの、これ?
読んだの失敗だったかなぁ・・・。 -
十二国記プロローグ。30周年に突入とのこと。
この世界観を発表当時から、今まで共有してきた人達が羨ましい。異世界と現社会を接点を持ちながら繰り広げる壮大ファンタジー。ストーリーの端々に人間としての道徳感さえ問う。そして、これは、序章。
これが発表された頃、それまでに筒井康隆•星新一•半村良・小松左京等々、SFやミステリーを読み漁った後、一人静かにミステリーとは少し距離をおこうなど愚かな時代を過ごしていた。
臍を噛むってところですね。 -
これが最初だとしたら、
うーん、
これを最初に読んだら十二国記を読んだだろうか・・・
泰麒の神隠しの話から王を選び角を失って日本に戻り、さらに十二国に帰る話を先に読んでから読むと、壮大な世界が見えるし、この中には書かれない様々なものが見えるのでとても面白いが、
この話からだとあまり気持ちよくないなあ。
でも、これを書いた時点で十二国が構想されてたとしたらすごい! -
新刊に備えて再読。最初はホラーと思って読んでて最後のほうでポカーンとなったのを思い出す。でも最初の描写をよく覚えてたので風の海読んだときの衝撃もすごかったなあ。
相変わらず広瀬がみじめでしょうもなくて好き。わたしらはこの人だよね。せめて後藤さんになりたい。
今読むと、汕子ごうらん、お前らー!って思うけども。学校とか、どうやったんじゃ。とうてつが怖いのかこれ。