祖国とは国語 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101248080

感想・レビュー・書評

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  • 解説者に同感、、著者に文部科学大臣になっていただきたい。。。
    10 Apr, 2011

  • やはり読書。

  • 国家の根幹は、国語教育にかかっている。国語は論理をはぐくみ、情緒を培い、すべての知的活動・教養の支えとなる読書する力を生む。国際派の数学者だからこそ見えてくる国語の重要性。全身全霊で提出する血涙の国家論的教育論「国語教育絶対論」他、ユーモラスな藤原家の知的な風景を軽快に描いたエッセイ集・

    小学校から英語教育を導入するというのは確かに近年流行りのスタイルではあるが、この考え方には自分自身も正直賛同しかねる部分がある。
    その疑問について、藤原氏はこの本の中で見事に論破してくれている。
    人間としてもっとも重要な時期に母国語ではない言語を学ぶことは、アイデンティティの形成にも大きな影響を与える。必ずしも、早い時期からの外国語教育が正しいわけではないのだという考え方をする人が識者にもいて、頼もしい気持ちになった。

  • 「国家の品格」、「若き数学者のアメリカ」などの著者。

    本著では、「祖国とは国語」をテーマに、小学生の段階での国語教育絶対論を熱く語っている。
    これを数学者であり、英語も達者な著者が主張するだけに説得力がある。
    自分が言っても全く無いけど・・・。

    他にはユーモアたっぷりのエッセイを集めた「いじわるにも程がある」、著者の生地である満州を訪ねた「満州再訪記」を収録。

    ほんとにこの人の文章は読みやすく、全く新しい視点で読むことが出来る。おすすめです。

  • 国語と日本人のアイデンティティーを直接結びつけて論じている点に感動しました。

    小学生の国語教育に、もっともっと力を注ぐべきという考えには、深く納得しました。

  • 素晴らしい。この人は本当に真っ当な人だ。わたしは真っ当な人間が一番正しいと思うんだ。

  • 情報科教員MTのBlog(『祖国とは国語』を読了!!)
    https://willpwr.blog.jp/archives/50570322.html

  • (2006.04.05読了)(2006.03.24購入)
    数学の先生なのに、国語論である。国語がきっちりできていなければ、何もできないと考えている。数学をやるにしても、特に文章題になると、国語力が無ければ解きようがないということです。なかには、国語力は無いけど、人に問題の意味を説明してもらえば、どんな難しい問題でも解いてしまうという人も無いわけではないけれど、これでは、いつも説明員が必要ということで、実用的ではない。
    「論」としては、「国家の品格」と重なる部分も多いので、「国家の品格」を読んだ人は読む必要が無いかもしれない。ただ、「満州再訪記」があるので、新田次郎・藤原てい夫婦と藤原正彦に興味のある方には、欠かせない部分もあります。
    藤原さんの妹さんの書いた本もあります。これを書きながら思い出したので、ついでにメモしておきます。まだ購入していないし、読んでもいません。
    「父への恋文-新田次郎の娘に生まれて」藤原咲子(著)、山と溪谷社
    「母への詫び状-新田次郎、藤原ていの娘に生まれて」藤原咲子(著)、山と渓谷社

    ●読書(17頁)
    読書は過去も現在もこれからも、深い知識、なかんずく教養を獲得するためのほとんど唯一の手段である。読書は教養の土台だが、教養は大局観の土台である。文学、芸術、歴史、思想、科学といった、実用に役立たぬ教養なくして、健全な大局観を持つのは至難である。
    ●論理(20頁)
    現実世界の「論理」とは、普遍性のない前提から出発し、灰色の道をたどる、というきわめて頼りないものである。そこでは思考の正当性より説得力のある表現が重要である。すなわち、「論理」を育てるには、数学より筋道を立てて表現する技術の修得が大切ということになる。
    ●情緒(22頁)
    他人の悲しみを悲しむ。他人の不幸に対する感受性。懐かしさ。これらの情緒を養うのは、文学である。
    ●祖国とは国語(29頁)
    祖国とは血ではない。どの民族も混じり合っていて、純粋な血などというものは存在しない。祖国とは国土でもない。祖国とは国語である。ユダヤ民族は、ヘブライ語を失わなかったから、再び建国することができた。
    ●国語力低下(34頁)
    国語力低下は、知的活動能力の低下、論理的思考力の低下、情緒の低下、祖国愛の低下、を同時に引き起こしている。この四つの低下は確実に国を滅ぼす。
    ●英語力(48頁)
    日本人の英語力はさほど低くない。TOEFLにおいてアジア21カ国中18位、という結果がよく持ち出されるが、ベストスリーのフィリピン、インド、スリランカはすべて米英の旧植民地であり英語を公用語としている。その上、一位フィリピン、三位スリランカ、五位ネパール、六位インドネシアの合計受験者数が約300名に比べ、日本は一国で10万を超えている。同列に比較できるデータではない。

    著者 藤原 正彦
    1943年 旧満州新京生まれ
    故・新田次郎と藤原ていの次男
    東京大学理学部数学科大学院修士課程修了
    1978年 「若き数学者のアメリカ」で日本エッセイスト・クラブ賞受賞
    お茶の水女子大学理学部教授

    ☆藤原正彦さんの本(既読)
    「若き数学者のアメリカ」新潮社、1977.11.20
    「数学者の言葉では」新潮社、1981.05.20
    「父の旅 私の旅」新潮社、1987.07.05
    「遥かなるケンブリッジ」新潮社、1991.10.15
    「父の威厳」講談社、1994.06.27
    「心は孤独な数学者」藤原正彦著、新潮社、1997.10.30
    「天才の栄光と挫折」NHK人間講座、2001.08.01
    「世にも美しい数学入門」小川洋子共著、ちくまプリマー新書、2005.04.10
    「国家の品格」藤原正彦著、新潮新書、2005.11.20

  • 彼の国語教育重視論を読んでみたくて、買った。

    拾いものというとバチが当たるが、「満州再訪記」は稀に見る傑作だった。歴史的事実を延々と述べたところは冗長というか余計という気がしないでもないが、藤原家(父は新田次郎、母は藤原てい)の過去といま、満州の過去といまがくっきりと、かつ味わい深く描かれている。おすすめだ。

    さて、本題の国語教育重視論。数学者が国語教育の大切さを説くのは一見逆説的だが、それには彼の研究者人生、留学経験を通じての強い確信が背景にある。ほぼ全ての文が断言調で、論旨に賛成できない人には嫌悪感を催させるかもしれない。けれど教育論、特にゆとり教育反対論としてはかなり骨太なものと思う。

  • 2007.3.30

著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2020年 『本屋を守れ 読書とは国力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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