- Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101252247
作品紹介・あらすじ
あなたが世の理不尽に拳を振りあげたくなったとき、人間関係のしがらみに泣きたくなったとき、本書に綴られた55章が、真剣に悩むこころの声の微かな震えを聴き取り、トラブルに立ち向かう秘策を与えてくれるだろう。
感想・レビュー・書評
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【読もうと思ったキッカケ】
村上春樹氏の『職業としての小説家』を読んだ際に、村上春樹氏が唯一河合隼雄氏だけが深い共感を感じることが出来た人物と書いていたので、興味を持ったのがキッカケ。
【読了後、感じたこと】
恥ずかしながら、『職業としての小説家』を読むまで、著者である河合隼雄氏のことは全く存じ上げなかった。経歴としては京大教授として、日本におけるユング派心理学の第一人者であり、臨床心理学者。
本の構成は、55章からなり1章が4ページ構成に区切られているので、隙間時間に読むことも出来る為、かなり読みやすい構成だった。
読了後に最初に感じたことは、「この本は、今後の人生で何回かは読み返すだろうな」と思ったほど、自分の中に著者の言葉が素直に身体に沁み渡った。
また、難解な言葉が全くなく、終始平易な言葉で語ってくれているのが読みやすかった。
【特に心に残った章】
1章 『人の心などわかるはずがない』
臨床心理学の専門家の著者が、人の心など分かるはずがないと思っており、「人の心がいかに分からないかということ、確信を持って知っていることが、専門家の特徴である」と言い切ってしまうところが、清々しくもあり、心に響いた。
3章 『100%正しい忠告は役に立たない』
「己を賭けることもなく、責任を取る気もなく、100%正しいことを言うだけで、人の役に立とうとするのは虫がよすぎる」
自分のことを言われている様で、身につまされる心持ちになった。
10章 『イライラは見とおしのなさを示す』
「イライラは、自分の何か、多くの場合、何かの欠点に関わることを見出すのを防ぐために、相手に対する攻撃として出てくることが多いのである」の文章が新たな発見で、イライラしているのは、他人のせいでは無く、相手の表面上の欠点から感じれる、深層にある自分の欠点を隠すことにより、自分の心に矛盾が生じ、その心の矛盾を解消する為に、イライラするのかと自分の中で腑に落ちた。
20章 『人間理解は命がけの仕事である』
「私は、他人を真に理解するということは、命がけの仕事であると思っている。このことを認識せずに、「人間理解が大切だ」などと言っている人は、話が甘すぎるようである。
この章が最も心に響いたので、この章だけでも気になった方は読んで欲しいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「心の処方箋」は、未知の可能性に注目し、そこから生じてくるものを尊重していくうち生まれてくるーと結ばれる第1項・人の心などわかるはずがない。で始まる。
わからないとおっしゃりながら、多くの(55項)普遍的な悩み事にわかりやすいアドバイスがなされる。
「フムフム」と読んでいったら、後書きで、「フムフム」は自分の知っている事が書いてあるからです。常識を書きました。と、行動まで読まれていた。
○マジメも休み休み言え
○嘘は常備薬・真実は劇薬
中でもこの2項は、生き方を楽にしてくれそうだ。
平成4年刊行で、多少家族関係あたりの考え方に古さを感じるところもあったけれど、社会に出る前や家庭を持つ前などに一読も良いかもしれない。
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この本も私にとって必要な本でした
この本は再読して、もっと理解したいと思います
二つ良いこと さてないものよ
初めて聞くフレーズで、なかなか覚えられなかった言葉でしたが、最初の方に出てきて、何度もそこを読みました
これは良い言葉を教えてもらった!と思いました
当たり前のことや、毎日の生活で気づいてないことに気づける本です
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何度も読み返す本です。はじめて手にしたときは様々な変化の中で迷いが多く、何か答えを出そうと闇雲に本を読んでいた時期でした。取り上げられている短いお話の中に、そうなのか、思い悩むことはない、と少しずつ縄を解いていった記憶があります。既に他界されてしまいましたが、多くの方の著作、対談の中に著者の言葉が生きていると感じています。
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定期的に河合隼雄に戻ってくるのに、この本は、どの章もいいなあって思った一冊。
一番最初に読もうと思ったのは、自殺しようと思うほど追い詰められていると、止めたくなるのだけど、死ぬ思いを経て(むしろ経ないと)生まれ変わる時もある、という話だった。
それほどまでに、いなくなりたい、消えてしまいたいに込められた否定は強いものなんだと思うし、でも自分が死んで、変わることで、生きることに繋がる可能性もあるんだなぁ……とも思えた。
あとは、100点以外はダメな時もある、も、結構衝撃だった。
人と向き合わないといけない時、逃げてはいけない時、100点の答えを出さないといけない場面。
少しだけ、分かるような気がする。
いつも100点を目指していると、結局ここぞという時に、踏ん張れなくなってしまう。
余裕を持ちなさい、余裕が、本当のピンチに生かされる余力にもなると言われたことがある。
私は、いつも余裕の持ち方が下手で、100点を目指して80点で安心してしまうし、余裕と思うと何もしなかったりする。難しい。
そういう意味では「物事は努力によって解決しない」が名言かな。
でも努力を完全に放棄する勇気もないから、解決しなくてもまあ、努力くらいはさせてもらおうのスタンス(笑)
こんなに頑張ったのに、努力したのに、は、自分以外のものへの憎悪を不必要に高めてしまうんだな。
「権力の座にある者は、孤独に耐えねばならない」も、殴られた。
自分の権威を守るために権力を行使すると、それは孤独ではなく孤立になってしまう。
権力のある者とない者と、同等にはなれない。
だからこそ、その差をよく理解して、適切な距離を保つこと。時には権力を棄てる経験を持つと良いということが書かれていた。
権力を棄てることは、権威を棄てることと同じではない。
内的権威を、いかに磨いていくか。
なるほど。 -
臨床心理学を専門にしている河合先生が「人のこころなどわかるはずがない」とおっしゃっている。とても説得力がある。私などがわかるはずがないww
なにか気が楽になりました。河合先生が呪文のように唱えるという「ふたつよいことさてないものよ」もとてもよいですね。私も唱えよーと思いました。さっと手に取って何度も読みたい本。 -
何度も読み返している一冊です。
丹念に読む、というよりも、さらりと読んで、その時々心に響いた部分をじっくりと読み返す、という感じで読んでいます。
今回響いたのは、
「感謝できる人は強い人」という言葉です。
それも「適切な」感謝であること。
わかりやすい表現の言葉で綴られているけれども、鋭い。
これからも、「こころの処方箋」として、活用していきたい一冊です。 -
高校時代の先生に、
いろいろ迷ってると相談したところ
この本が郵便で届きました。
実はこの本、
前に夢とか目標を追いかけて勉強しているときに
読んでいたので再読。
以前読んだときは、
ふたつよいことさてないものよ
とか
自立は依存があって成り立つ
とか
一章一章ごとを読むことに必死でしたが、
今回は
やっぱり人のこころはわかんないんだなあ~とか
当たり前のことを確認してしまいました。苦笑
この人こんな人なんだろうなあとか
先入観とか固定観念を捨てること、
わからないことがあること、
それを認めて取り込むのって
本当に難しい。
答えが一つではなくて、
前回がこうだったから
今回もそうなんだろうと思ってると
先へ広がらなくなるのかもしれない。
そんな風に年を重ねていくと
凝り固まった人間になっていくのかもしれない。
でも、
子供も大人も何時だって
やっぱり迷ってるんだよなあ。
私も物心ついたころから
ずーっと迷って悩んでいるかもしれない。
あー!
やっぱりわからない!苦笑
本書は、
物事はAという見方もあるけど
Bという側面もあるから
ひとつじゃないというようなことを
優しく語りかけてくれます。-
「この本が郵便で届きました」
良い先生だね、、、河合隼雄の本は、行き詰った時に、別の道もあるコトを教えてくれます。また、遣り過すために時間を...「この本が郵便で届きました」
良い先生だね、、、河合隼雄の本は、行き詰った時に、別の道もあるコトを教えてくれます。また、遣り過すために時間を使うコトの大切さも。。。
だから若い人に必要な一冊ですね。2012/09/06
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著名な臨床心理学者の話。
冒頭、「人の心などわかるはずがない」からスタートしており、好感が持てました。
ふむふむと頷きながら且つ自分の人生を振り返りながら、話半分の姿勢(良い言葉として使用!)で読むと良いと思います。
さて、学んだことを整理していきます。
1.人の心はわからないことを自覚する
⇒よく聞く言葉ですが、専門家は”確信”をもって知っているとのこと。また、人間は絶えず変化することを理解しておく「あの人、昔と変わったなぁ・・180度変わってしまった・・」は当たり前なのです!
2.子どもを完全に理解することはできない。ぶつかることを避けてはいけない
⇒子供と真剣にぶつかることができる親になりたい。もしかしたら、非行少年の多くが、ぶつかってゆける存在(親)を求めているのでは?子供のためにも、親は力強く生きよう。いつか子供に胸を貸してあげられるように。
3.危機の際には生地が出てくる
⇒人の気質は、生まれた時からある程度決まっている。他人からは「楽天家」と言われる私だが、おそらく自分の生地は「心配性」だと思う。だけど、それで良いのだと背中を押してくれる。私は、これからも「楽天家を目指す心配性」で在り続けよう!
〇【さいごに】
著者のあとがきに記されているように、この本は「常識」が大半です。ただ、素敵な言葉・考えさせられる「常識」がぎゅっと詰まっています!
何度も読み返したい作品でした! -
働き始めてから2.3回読んだかな。あまり私の参考にはならない話ばかりだったけど、本を通して、河合隼雄さんの言葉を聞くことができるから、古くなった紙の質感の本ってプライスレス
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何度も読み返したい本。
最初は付箋をつけながら読んでたけど、付箋の数がえらいことになったので、付箋は全部外しました。
付箋をつけた部分だけ読むのももったいないし。
一つひとつの話が短いので、難しい本を読んで疲れた時など、合間あいまに挟んでいきたい。
別の本を読んでいるときに、この本の一文が紹介してあって、気になったので購入しました。
昔から有名な本だったのですね。
そして有名な方だったのですね。
今更ですが、この本にたどり着けて良かったと思います。
本から本につながっていくの楽しい。
あの時、あの本屋で、いろんな本を立ち読みしまくった挙句、あの本を買ってよかったです。
そうやって元をたどっていくと、いろんな本を読むきっかけのきっかけになったところの、あの時、あの人におすすめの本を聞いた自分をほめることができるかな。 -
メンタル系の本は心が病んでから読んでましたが、こちらの本は平常心の時に読んでみました。
病んでからよりも、平常心の時に読んだ方が自分を俯瞰できていいですね。
万が一、メンタルが超病んでしまった時に「あぁ、こういう事なのか」と、ある程度自己解決できる知識を備える事ができるのではないかと思います。
(何か嫌な事があった時に、普通にしているとマイナス100くらいまで落ち込むところを、マイナス10くらいの痛みで済ませる事ができるのでは?と思います)
知っているのと知らないのとでは、生きやすさって違うよなぁ、と感じました。
こちらの書籍は、読んでいるうちに過去の出来事が頭に浮かんでくるもので、自然と自分の経験と著者のアドバイスを照らし合わせてました。
「あの時のあれはそういう事だったのか」、「なるほど、あの人のKYな態度はそういう事だったんだね」等、当時は解決できなかった心のモヤりが解消できました。
(具体的な事例は伏せますが)
読書なのにスポーツをした後のような爽快感を感じる事ができました。
章の始まり(ページの右上)には全部違うハートが書かれているのが興味深かったです。
人の心は千差万別という事でしょうか。 -
日本におけるユング心理学の研究を確立したあまりにも有名な筆者が、1988年から4年ほど連載したものに書き下ろしを加えた55の心の「処方箋」。著書もあとがきで述べられていますが、多くは「常識」的なことが書かれています。ただ、何となく分かっていたことを、的確な筆致で一章ごとに各4ページにまとめてくださっており、心にストンと落ちます。また、30年以上も前の書籍でありながら現代にも通じるアドバイスであることに敬服です。
特に心に残ったものの中から、以下の5つを紹介します。
第5章「『理解ある親』をもつ子はたまらない」
真の理解などということは、ほとんど不可能に近いという自覚が必要である。そんな難しいことの真似ごとをやるよりは、まず自分がしっかり生きることを考える方が得策のように思われる。
第12章「100点以外はダメなときがある」
ここぞというとき100点をとっておけば、それ以外は60点でいいのだ。平均点は80点以下でも、その効果はまるで違ってくるのである。(中略)100点はときどきでいいのである。
第21章「ものごとは努力によって解決しない」
一切の努力を放棄して平静でいられる人は、これは素晴らしくて、何の言うこともない。(中略)しかし、われわれ凡人は、努力を放棄して平静でなどいられない。いらいらしたり、そわそわしたり近所迷惑なことである。そんな状態に陥るくらいなら、努力でもしている方が、まだしもましである。それにひょっとして解決でも訪れてきたら、嬉しさこの上なしである。
第47章「二つの目で見ると奥行きがわかる」
ものごとの「奥行き」を知るためには、二つの異なる視点をもつことが必要だと言えそうである。ひとつの見方だけだと、平板な見方になってしまって、立体像が浮かびあがってこないのである。(中略)そのときの状況に応じて必要と感じられる、二つの目の組み合わせ(甘い目と厳しい目、主観と客観等)により、状況を立体的に把握しようとすることが大切である。
第48章「羨ましかったら何かやってみる」
自分にとって実に多くの未開発の部分があるなかで、特に何かが「羨ましい」という感情に伴って意識されてくるのは、その部分が特に開発すべきところ、あるいは、開発を待っているところとして、うずいていることを意味しているのである。(中略)「羨ましい」感情が強いとき、自分のなかに何かが未だ注目されずに捨てられているはずだと思って、探してみたり、いろいろ試みてみたりするのは、それほど悪くはない。そのためにエネルギーを消費する方が、他人に愚痴をまき散らしたり、他人の足を引っ張るためにエネルギーを使うよりは少しはましだと思われる。
23年前に購入した本を何度めかに読んでみました。読む時の自分の状況や立場によって、必要な「処方箋」はその都度違うと思います。今後もちょくちょく手に取りたい一冊です。
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2つの目を持つ意識、善悪や、自分他者など。
100%正しい忠告は役に立たない。
イライラするのは見通しがつかないから。より理解しようとしてみる。
休み休み。
ソウルメーキング、自分がどんな人生を歩むのか、歩んだのか。
適度に感謝する。
1人でも2人でも生きていけるようにする。
道草によってこそ、道の味わいがわかる。
羨ましいと感じた時は何かしてみる。
精神的なものが精神を覆い隠す。
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2001年12月5日刊行された「河合隼雄著作集 第2期 1巻『コンプレックスと人間』」には河合さんを応援する人々のエッセイ(冊子)が付属しています。その中に、宇宙飛行士の毛利 衛さんの大変おもしろいエピソードが語られていたので、是非とも紹介したいです。
最初のミッションが社会的な使命だとしたら、今回は自分のプロの宇宙飛行士としてのプライドへの挑戦だった。ジェット機の操縦やサバイバル訓練なども含め、NASAの宇宙飛行士としての資格を取るための2年近くの多岐にわたる訓練。それは、ダフさを誇っていた自分の精神的余裕を想像以上に失わせるものだった。すでに宇宙経験があるゆえから来るプライドと、アメリカ人の若い闘争心に負けまいとする競争心を毎日奮い立たせることの厳しさであった。最初のミッションに比べ楽しみよりは苦しみの連続だった。家族も日本と米国に別れ別れになり一家の団らんはまるでなくなっていた。
ある日、それを見かねた家内が日本に帰国の折、河合隼雄さんの『こころの処方箋』を5冊買ってきた。家中、私の手の届く至る所に置いてあった。河合さんの他の本は以前にもフムフムといくつか読んではいた。しかし、これほど身近に置かれては、トイレやベッドに入るごとに目を通さざるを得ない。55編の作品を収めており、1編5分から10分で読めるので忙しい訓練の予習の合間でもすっと気分転換になる。内容は簡単で人間として当たり前のことに、当たり前のように気づかせてくれる。
この本は、すぐさま私のナイトキャップ、いやバイブルになった。恥ずかしながら分別のつく50歳になって、人間として当たり前のことの多くに改めて気づかされた。その結果、若いNASAの宇宙飛行士達との競争から落ちこぼれることもなく、何とか2回目の宇宙飛行に漕ぎつけた。最後は自信を持って楽しみ、NASAからも高く評価される地球観測ミッションに参加できた。
河合先生にお会いしたときに、家内へ書いていただいた、「ふたつよいことさてないものよ」のサインは額に入れベッドサイドに置かれている。(もうりまもる.宇宙飛行士、日本科学未来館館長)
私:『こころの処方箋』を5冊買ってきた!!どんな顔の奥さんなんだ!?
残念ながらネット上に、奥さんの映像は見つかりませんでしたが、このエピソードはおもしろいですよね。「奥さん、やるな~」と奥さんにエールを送りたい気分になりました。 -
心のあり方が理論的に書かれてあったので少し視野が広がった。
ふたつよいことさてないものよの考え方は良いなぁと思った。
感謝される者こそ強いというところが印象的だった。相手にしてもらったということを認められた上で感謝できるから。翻って、自分が尽力したのに感謝されない時はうやむやすることもあるが、相手がそこに至っていないと考えると自分も救われる部分があるのかなと思った。
自立と孤立の違いを考えたことがなかったけれど、改めて読みながら考えるとひとりというところは共通するが根本として異なるんだなとわかった。自立は、ひとりであるがそれが成り立つ元に他に信頼できる物事があることが前提としてある。そこが印象的だったし、他人を、自分を自立させようと思った時に役立つかもしれないと思った。 -
心理学、楽しい
後書きにも常識を言葉にした文章とあったけれど、既に自分にとって理解していることと、新たな視点を得たものとどちらもあった。
自分の中としっかり向き直って、まさに「言葉から出て言葉に出る」経験をして得たこと、友達や親に影響されて気づいたこと、
そして最近自分の中で考えていても、なかなか終着点や悩み自体が分からなくなっていた物事がトピックとして含まれていて嬉しかった
自立ということは、依存を排除することではなく、必要な依存を受けいれ、自分がどれほど依存しているかを自覚し、感謝していること〜
人間の信頼が存在する上での「どっぷり」
個性と大いにかかわるものとして、創造の源泉となる
どっぷりつかるのと溺れることは似ているから、恐怖感が伴う
適切な感謝
一人でも二人、二人でも一人で生きるつもりができているか、それをどの程度やっているかについて自ら知っていること
心と魂
内的権威
ふたつよいことさてないものよ -
健全なこころを育むために、どんなことを考え行動すべきかを誰にでも分かりやすい平易な文章でフムフム ( ・ω・)と受け入れながら読むことができます。
同じ河合さんの本でも「無意識の構造」とは印象がまったく異なる本でした。
p.235
河合さんがよく口にされる言葉が三つある。ひとつは「分かりませんなあ」、もうひとつは「難しいですなあ」、そして三つめは「感激しました」である。
「分かる」だけが答えに近づく道ではなことを、河合さんの「分かりませんなあ」は指し示してくれるが、それは言葉を失っていいということではない。そこのところを、河合さんは上田閑照の言をひいて「言葉から出て言葉に出る」と言っている。
河合さんは大変な学者であるにもかかわらず、万人に「分かる」言葉で語る。その重みは常にクライアントを通して実人生とのかかわりを失わないところから来るのだろう。河合さんは世界中の学者たちから学んだのと同じくらい、いやそれ以上のものをクライアントから学んでいるのではないだろうか。
→ とても楽しそうなので、自分も安易に「分かりませんなあ」「難しいですなあ」「感激しました!!」を口ぐせにしてみます。谷川詩人の言葉に感激しました!! -
職場でこの本の話題が出たので読み返しました。優しい言葉が心を撫でたり守ってくれたりしてくれてるような感覚になります。
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心が落ち込んでいる時に読むということだが、まだ自分の中ではこの本をきっかけにした向上は感じられていない。まだ読み返す必要があると感じている
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心が弱ってる時に「そんな辛い目にあってるのだね。よしよし、そんな辛い気持ちの時はこんな風に考えてみれば楽になるよ」といったことが書いてあると期待して読み始めたので、最初の感想は「思ってたんと違う」
古くさくてちょっと読み難いと思いながら、読み進めるうちになんだか楽しくなってくる。おっとりしたインテリなおじいちゃんが、気の向くままに含蓄のあるお話をしてくれるのを毎日楽しみに聴きに行くような気持ち。 -
心理学者として日本で最も有名じゃないかと思うのだけれど、著作はほとんど読んだことがなかった。何となく読み始めたら、滋養に溢れたスープのように、痩せた心に染み込んできた。
「言いはじめたのなら話合いを続けよう」 相手に文句を言ってそれで終わりにしないで、ちゃんと話し合うべき。(確かに)
「灯台に近づきすぎると難破する」理想を目指していたのに、その理想になったら難破してしまう。理想なしで生きるのは味気ないけど、理想は人生を照らす灯台に過ぎず、到達点ではない。(なるほどー)
「己を殺して他人を殺す」 自分のやりたいことを後回しにして己を殺し生きてきた人が、他人に害を与えるようになってしまった。己を殺すといっても殺し切ることは出来ず、半殺しになった部分が後で復活する。こういう人は自分の考えや欲望を殺して生きているつもりだが、周囲から見ると勝手なことをしている。言わばチグハグ。(当てはまる知り合いがいる。でもこれ読んでって渡しても自分のことだとは思わないんだろーなー)
「100点以外はダメなときがある」 努力してるのに報われないという人がいる。そういう人は絶対に失敗してはいけないというときに80点しか取れない。そうでなく絶対必要な時に100点を取り、そうでない時には60点で良い。(うーむ、名言じゃ)
「一番生じやすいのは180度の変化である」 大酒飲みが、酒をピタッとやめるような真逆の変化は起きやすい。でも元にも戻りやすい。20度変わるよりも楽だから。(そーなのかー)
「心の中の勝負は51対49のことが多い」 表面的には2対0で圧倒的にこうだと思える人でも、心の中では極めてビミョウなことが多い。(ふむふむ)
「どっぷりつかったものがほんとうに離れられる」 人間関係でも趣味でも離れるには一度どっぷりつかる必要がある。そうすれば適度な距離がとれるようになる。中途半端だから心残りがするのだ。どっぷりつかるのと溺れるのは違う。溺れる人はあちこちしがみつき、離れられない。(うーむ。確かに確かに)
というような名言の数々でクラクラしてきた。凡百の自己啓発本とは、月とスッポンだった。 -
「人の心などわかるはずがない」から始まるテーマ毎に短くまとめられておりとても読みやすい。生きるのが、人との関わりが楽になる一冊。
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心が楽になるかもしれない、と思い手にとってみたが、意外と厳しいことも書いてあったりする。現実と理想の狭間で揺れる氏の考えがとても有用なのだと感じられる一冊だ。もちろん基本的には、困難に立ち向かうための気の持ちようみたいなもので、氏のカウンセラーとしての豊富な経験を背景としており感心させられる。著者のあとがきにも書いてあるが、これは言語化されていない「常識」である。そしてその常識をわれわれは忘れすぎている。かつて、常識は「自然」だった。河合隼雄が亡くなってずいぶん経つが、そのことだけでも忘れないようにしたい。
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・人間の心は分からない、をきちんと認識しているのがプロである。人間の心の法則は好きでは無いが「ふたつよいことさてないものよ」という法則が割と好き。愚痴や文句を言っている人はその人が言っている悪いことが何か良いことのバランスのために存在している事を見抜けていない事が多い。
→石原 明のメルマガで転職の名言として
「転職で100%満足できることはないんです。良くて80%、残りの2割は自分で埋めるしかないんですよ」
という知人の言葉を挙げている。ふたつよいことさてないものよ、だと50/50だ。
(Sさんへ)
・100%正しい忠告はまず役に立たない。
(Kさんへ)
・…子供の側からすると何かしら不自然なのである。子供は何かが足りない、と感じたり、何か変だと思ったりするが、その「何か」が言えない。言葉では言えないのである。しかも、この際、親は子供を窮地に追い込んでいるなどと思わず、子供のために自分たちは努力していると思い込んでいる。子供のためと思ってやっている開発事業が、自然破壊につながってゆくのである。自然破壊が進行すると、子供たちは言葉によらないいろんな「サイン」を送り始める。それをキャッチする事が、大人に取って非常に大切であるように思われる。
・イライラしているのは何かを見通していないからだ。
(Mさんだけじゃないよ?沸点の低い人みんなに。)
・己を殺して他人を殺す人。ここぞというところで勝手をすると周囲に見られるのは、スタンダードで自分を殺しているからたまにはいいじゃないかと思うが、タイミングが不適切で復讐しているかに見える時すらある。
(Iさんへ)
・人生にはここぞという100点以外はダメなときがある。それ以外は
60点でもいいのだ。だがそれを認識しないで、そのような時で、あらかじめ分かっていても、90点くらいでいいかというくらいの考えで臨む人がいる。それで、自分は成功しないと言っていても心得違いというものだ。
(Aさんへ)
・心の勝負は51対49の事が多い。お前となんか話さないと言って背を向けても、もしかしたら分かってくれるかもという気持ちが49だったり、逆に何でもやってみますという協力的な人もそう簡単にわかってたまるかが49だったりする。しかし、行動として表に出るのはその片方。それがもっと50対50に接近しているのにその片方を主張するには、大きい声、強い態度で表出せずにいられなくなる。
・変わるときは180度変わるのが変えやすい。風見鶏みたいに一定の風が原因としてあるならなおさら。
・現代人は心に失望しつつ、魂の重要性を再び認識しかけているのだが、そんなものは知らぬのでそれを飛び越えて体をやたらに大切にするのではなかろうか。ジョギングなどしている人に宗教的情熱を感じさせられることがあるのもうなずけるのである。
(Iさんへ)
・ものごとは努力によって解決しない(クリシュナムルチ)。
(Nさんへ)
・たましいの特徴は矛盾に満ちている。人間の心はその中に矛盾が存在するのを嫌うので、たましいの方は矛盾をかかえこむのだ。仕事人間のそれ以外の生き甲斐とか。特にそれを痛感するのが、老年の生き方だ。若い時からの趣味がそれまでは心の支えと思っていたのに、急に重荷に感じられてくる事がある。俳句が好きで句会を楽しみにしていた人が、70歳くらいになって急に嫌になる。それどころか、人生すべて灰色という感じになる。そんなとき人は、家に閉じこもっていないで句会に出てみたらなどと言うのだが、逆効果をもたらすだけである。その人にとって必要なことは、自分の心ではなく、たましいは何を欲しているのか、と問い直してみることである。
(ジブンに。君はたましいの求めで本を読んでいるのか?本当はこころを支えようとしているだけ?)
・二つの目で見ると奥行きがわかる。甘い目だけだと表面上の言葉だけしか見えていないことがあるし、かといってすぐに「口先だけで良いことばかり言ってもだめだ」などというのは厳しい目のみであり、馬鹿げている。男の目と女の目、主観と客観、鳥の目と虫の目、など色々挙げられる。
→宮本武蔵の「見の目弱く、観の目強く」を思い出した。普段の人付き合いなら、定点観測できるから、言葉と言葉、言葉と行動、を比べられるのだけれど。
・気を使って心配事から疎外するとボケることがある。心配も苦しみも共に向かい合えば楽しみのうち。
・すべての人が創造性を持っている。
人間が生まれてくるということは、そのなかに「創造の種子」を持っているという事なのであろう。それがその人の属する集団の価値と一致すれば、伸ばしていくのが容易であろうが、創造性は周囲に見えにくいし、安易になって自分の中の創造性を見出すことを怠ることにつながるかもしれない。逆に属する集団と異なる場合は生きる上で困難が大きい。
心理療法家はその「創造の種子」が発芽し、伸びていくのを援助したいという気持ちを持っている。それはその人の社会と反する生き方をすることにつながることもあり、苦しみを倍加させる困難な道であることもある。戦ったり、妥協したり、方向転換したりしながら、その人の人生そのものである「作品」が出来上がってくる。方向を見出し、自分で創造活動を続けられるとなったときに、その人とわれわれは分かれることになる。
この経過の中で一般的にも評価される芸術作品を生み出す人もままある。しかし、私が大切にしているのは、そのような事も含めて、その人の生き方全体の創造であり、「私が生きた」と言えるような人生を作り出すことなのである。創造には犠牲がつきものだが、そのことも明確に意識し、そのような犠牲の責任者としての自覚を持って、「私が生きた」と言える事が必要である。それが明確になればなるほど一般的な社会的評価はそれほど気にならなくなるし、それはもっともっと普遍的な存在の一部としての責任を果たしたという自己評価につながってゆくだろう。 -
ちょっといつもとは違う本を。
初めて河合隼雄を読みました。
河合さんの文章は、昔、国語の授業で出てきて、
チンプンカンプンだった記憶が残っていたので、
ちょっと敬遠していたのですが、
この本は予想に反して非常に読みやすい本でした。
特に僕は、河合先生の視点の多さに驚かされました。
物事を多面的に見ることによって得られるほんの少しの''気づき''が
人の人生をハッピーなものにするのでは!?と考えさせられました。
河合先生までとは言いませんが、
少しでもこんな考え方ができたらいいな~。
心の重荷がほんの少し軽くなる一冊! -
著者の優しさと客観性を大事にしている姿勢が滲み出ている文章だ。
1つ1つのトピック自体が面白いんだけど、読んでいくうちに体が軽くなったり心が弾んだりして、自分がスッキリした気持ちになる。
自分にとって良いカウンセラーとはこういう人なのかもしれない。
…なんて感じましたわ -
よく考えたら以前も読んだが、手放すと忘れてしまうのでまた読んだ。一つ一つ「なるほど」と思い参考になったが、読み終わる頃には忘れていた。それくらいで良いと思う。読んでは忘れてまた購入しては読む、という種類の本は確かに存在する。
頑張りすぎることなく、程々に生き、「その時が来た」と思ったら一生懸命頑張り、小賢しいショートカットなど使わずに祈るように頑張ること。時折、闇の中で息を凝らすこと。など。最近不穏な様子のある自分の人生の中で、何か覚悟を決めつつ、のんべんだらりと英気を養う糧として。