春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253367

感想・レビュー・書評

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  • わたなべさん推薦

  • 梨木香歩「渡りの足跡」を読んで、戦時中アメリカの強制収容所に入れられてた男性の話が出てきて、最初の出会いはこの本につづられていると知り、再度手に取る。語るに悲惨な体験、記録にすら残してもらえず、ある日着の身着のままでつれてこられ、財産も奪われ、”だってドイツ人もイタリア人もそんな目にはあっていないわけですよ”。抵抗し、虐待され、アメリカ市民権を放棄して戦時中の日本へ、しかしそこでも…と。そしてもうひとつ大きなながれは、ウェスト夫人(きっとどこかで誰かが書いてそうだけど、「村田エフェンディ滞土録」のディクスン夫人の造形に多大な影響を与えているんだろうなと思いつつ)とのやりとり。「女は自分の信じるものは他人にとってもそうなるはず、と独り合点するところはなく、また人の信じるところについては、それを尊重する、という美徳があった」(p.100)。そしてそれは「理解はできないが受け容れる。ということを、観念上だけのものにしない、ということ(p.230)、価値観や倫理観が違う人間同士の間でどこまで共感が育ち得るか、という課題(p.127)につながっていくんだなあ、と。

  • 異国の情景、匂い、文化がすぐそこにあるかのような、読んでいるけれど感じているような。
    心地が良い

  • 姫路大学附属図書館の蔵書を確認する→
    https://library.koutoku.ac.jp/opac/opac_link/bibid/SS00024756

  • 静謐な文章。静かでしかも日本の冬の空気のような張り詰めた清々しさがある。読んでいて須賀敦子さんの文章を思い出した(解説も言及)。「…覚悟を決める瞬間は、外から見てどうであれ、個人の体験としてはいつでも自力で思いドアを押して向こう側の空気に身を晒すような清冽なものだ。」印象に残ったところ(解説も言及)。

  • 理解は出来ないけど、受け容れる。分かってあげられないけど分かっていないことは分かっている。この考え事や姿勢がとても好きだなぁ。色々な人がいて、価値観や生き方が違って家族でも衝突することがあるけど、こんな風にお互いの考えもうまく受け容れていくことが出来るようになれたら…と思った。自分の中で人との向き合い方に悩んだときに、読み返して確認したくなる大事な本だな…と思う。

  • 家守綺譚を読んで、同じ作者の本を読みたくなりました。
    家守は日本的な話だったので、イギリスに語学留学されていたことに驚きました。
    梨木さんに更に興味が湧いてきました。

  • この人のエッセイ面白い

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • できること、できないこと。
    ものすごくがんばればなんとかなるかもしれないこと。初めからやらないほうがいいかもしれないこと。やりたいことをやっているように見えて、本当にやりたいことから逃げているのかもしれないこと。
    けれど、できないとどこかでそう思っていても、諦めてはならないこともある。

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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