- Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101285719
感想・レビュー・書評
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書店のポップで気になっていた作品。先日、信用出来る筋(氏は甘口に過ぎるトコあるが)の推しもあって手にしました。
普段、歴史小説、時代小説の類とは縁遠い、自分。
コレは江戸時代末期の吉原遊廓を舞台にした連作短編集。
各章ごとに主人公は異なりますが、それぞれがリンクしあっていますので、順を追って読んで下さい。
色々とあり、読了まで四日かかってしまったが、中五日とか空けたくはなかった。とても素敵なはなし。
表題作「花宵道中」「青花牡丹」「十六夜時雨」は特に良かった。
そして、「大門切手」オーラスが八津でなかったのに、グッときた。八津だったらたぶん、評価★★☆☆☆に下がってしまったろうな……。
自分程度では、色彩やディテールで映像喚起しにくい部分あるのも否めないが、映画化(読んでる途中で知った)は、様々な意味で興味そそられない。
コミックは読んでみたいかな?!
R-18文学賞受賞作だけに官能系とみなされる部分もあろうかと思うが、根はソコでないと、自分は感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸末期の吉原を舞台にした連作短編集。
楼閣山田屋で起こった出来事を時間軸を前後しながら描いていく。
デビュー作でもある『花宵道中』は、女郎朝霧が偶然であった男と恋に落ちる悲恋。
短編のため勢いでごりごり進み漫画的な非現実感があるなと感じた。
『薄羽蜉蝣』
朝霧の妹女郎・茜が初見世を迎えるまでの話。
『青花牡丹』
『花宵道中』で起きた事件の真相が明らかになる。父親に捨てられたあと、女郎となった姉と、着物職人となった弟が交互に物語を進める。
時間が行ったり来たりして若干わかりにくかったが、『花宵道中』とセットで読むとうまく仕掛けた話だなと思う。
『十六夜時雨』
朝霧の妹女郎で、茜の姉女郎である八津が主人公。
他の女郎たちが恋に破れ死んでいく姿を見て、自分はああはなるまいとシニカルに構えている。
『薄羽蜻蛉』の伏線を回収している。
一番スッキリした結末に感じる。
『雪紐観音』
山田屋でとびきり美しい女郎の緑が初見世を迎えるまでの話。『十六夜時雨』と平行して起きた出来事。
『大門切手』
少し時代が進み、山田屋の楼主が主人公となって自分の過去を振り返る。
うじうじしておらず、明快な生き方でトリとして相応しい物語だった。
ほとんどの登場人物が女でかつ女郎のため、名前で以外の判別が難しかった。書き分けられていない部分があるのか。
同じ人物が複数の話で出てくるが、どれも印象が違って、「色々な面がある」という表現より矛盾に感じてしまった。
掲載順に書かれたのかは不明だが、明らかに後半の作品のほうが読みやすく感じた。
でもデビュー作でこれは上等だと思う。 -
さすが宮木あや子。
女が読んでエロい。
解説で嶽本野ばらさんが書いているように、吉原が舞台で女郎がヒロインだからこそ、このエロティシズムは成立しているんだろうね。
実際には過酷だと分かってはいても、山田屋の禿になって姉さんたちに可愛がられてみたいなぁと思ってしまう。 -
凄くせつない。
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なんとなく気になって購入した一冊。
今まで読んだどの吉原女郎の物語より哀しくて儚くて美しい。
女性ゆえの哀しさや優しさや強さに共感さえ持てる。
きっとみんな生まれ変わっても女を望む気がした。 -
江戸は吉原、中見世の山田屋で遊女達が織り成す物語。女による女のためのR-18文学賞受賞作らしいが、とても風情がある連作短編集。一つ一つの話もいいが、縦糸と横糸が絡まりあい、いわく言いがたい織物が編み上がる。非常にいいです。
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女郎たちの本気の愛や悲哀がたまらない。生きていくことも死も近くにあり過ぎて…
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華やかな着物とか白粉の匂いとか、
街の喧騒が伝わってくる感じで、
するりと吉原にタイムスリップ。
花街って興味はあったけど、
今まで本とか映画とかみたことがなくて、
でも、これ読んで一気に興味が加速。
歴史ものってあんまり得意じゃないんですが、
これはわかりやすいいし、おもしろかったです。
何ともいえない色っぽさがツボ。
☆☆☆☆ ホシ4つ -
吉原を舞台にした連作集。まず吉原の描写が官能的で、現実ではない異世界に読者を誘う。一方で、さまざまな境遇の遊女たちの生き様や矜持は、人の強さも弱さも感じることが出来て、地に足のついた感情を呼び起こし胸を打つ。このバランスが見事!"エロくて泣ける"傑作。
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校閲ガールが面白かったので、宮木さんの本二冊目です
いやぁー
面白かった
花魁の様々な女性の生き方
一冊を通して其々の人生が絡み合っている
お見事でした