花宵道中 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101285719

感想・レビュー・書評

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  • 先輩が吉原は他とは違うんだ、あそこをそこらへんのデリヘルとかと一緒にすんなと力説しているのを思い出すわけだが、何が違うって予約していって駅まで車で迎えに来てくれると。でも帰りは歩いて帰ると。ともかく吉原のネームバリューはすごい。

    やっぱ今でも金持ちの娯楽として流行ってんのかな。現代の事は分からんけど、江戸時代のシステムもなかなかにえげつなく、初回はお話だけよ、みたいなのから処女はめっさ価値があるのとか、おっさんの願望をうまく利用するシステムは昔も変わらんわね。

    こういうの読むと、ホント男って勝手だわー、それに比べて女はいつもけなげに頑張ってるのね、って思うけど、まぁこれ小説だよって言われれば、ですよねーってなる。

    でも適度にエロ(R18向けだけど)を交えつつ、切ない感じで攻めてくるんだから大概面白いやね。タッチとか君の名はと同じシステムだわね。

  • 「女の人生」を描いた小説。吉原の遊女という、私とは共通点がなさそうな設定でありながら、悩み、苦しみに共感を覚え、彼女たちの強さや弱さに心が動く。女の生きづらさは、形を変えながら現代にも共通する。

  • 色っぽいです。

  • 遊郭に生きる、女性の恋愛模様
    同じ女性として、安易に感想をのべることはできない。
    単なる物語として気楽に読めたら良かった。

  •  タイトルから予想できるように、女郎たちの短編連作。
    「何これ面白い」となる密度でした。1話1話の情報量がものすごく多い上に、切ない。
    「女による女のためのR-18文学賞」受賞作品だけあり、生々しい単語は出てくるのだけれども、なんというか、こう、切なさを盛り上げるスパイスになっている。女、男、性格、経歴、そして愛情が絶妙なバランスで配置されている短編連作。
     面白かった。しかし、さらりとは読めないので読み甲斐がある。
     この内容を長編で書いたら読み切れないと思うので、この構成は実に見事だ。

  • 儚く残酷な宿命の中で、自分の道に花咲かせ散っていった遊女たちの物語。

    本書が宮木さんのデビュー作。
    非常に官能的で切なく、苦しく痛いけど淡い幸せもある、精神を随分と揺さぶられる作品でした。
    遊女たちの連作小説ですが、この連作具合が非常におもしろくて、思わぬ視点で物語が解き明かされて、不思議な縁によって点と点が結ばれていく様が見事でした。

    この時代、遊女たちは大抵貧しくて売られてきたか、人攫いにあってきたか、その生い立ちは壮絶です。
    時に諦め、時に心を殺しながらも、恋に翻弄されたり、大事な何かを守りながら生き抜いていて、読み終わった後の余韻がなかなか消えません。

    艶やかな衣装や髪型、美しく官能的な遊女に心奪われながらも、叶わぬ恋に、迫り来る死にいかに向き合っていくかという彼女たちの直向きさに何より気持ちを動かされました。
    私なら一体、誰のように生きただろうか、と思いを馳せずにはいられません。

    どんな業か、一番悲しかったのは朝霧の章。
    とはいえ、他の章も引けをとらないくらい悲しくさせてくれますが、そんな中にある淡く小さな幸せが希望の光でした。

    あとがきで嶽本野ばらさんが「全ての人間は尊いという揺るぎない思い込みがなくては、このブレのないストイックな文体は生まれてこない」と書かれていますが、まさにそのとおりだなと思いました。

    安達ゆみさん主演で映画化もされているようで、そちらもいつか観てみたい。しばらく余韻が消えなさそうです。

  • 花魁が好きで、読んでみました。
    吉原の小見世、山田屋を舞台に其々の遊女の人生が描かれた短編集。
    性描写もありますが、割と綺麗に書かれているので、
    そんなに抵抗はないかと思います。
    個人的には十六夜時雨がとても好きでした。
    本気で惚れれば地獄に落ちる…それでも誰かを
    好きにならずにはいられない、
    と云う悲哀感が素敵な作品です。

  • 吉原の遊女の物語。
    多少の性描写はあるものの、それぞれの人生劇場がメイン。
    時間が多少前後しながら、物語は進みます。
    登場する女性がとても魅力的です。
    印象的な場面が沢山あり、まったく飽きることなく読み終えました。

  • 哀しい遊女の生き様。安達祐実さんがそれまでのイメージを一新した、って言われてるけど原作通りならそれにも納得。大奥で公家のお姫様演じてたときも和装似合ってたもんなぁ。男を信じては馬鹿を見る、そんな世界でも恋した方が幸せか…。映画、見てみたい。

  • 遊郭が舞台。遊女たちの報われない悲恋を描いた作品。遊郭が舞台というとどうしてもエロティックな印象が強すぎてどうも苦手意識があるのだけれども、新潮文庫の夏の100冊にも選ばれているし、さやかさんの装画も素敵だし…ということで読んでみた。確かに官能的な描写はあるものの美しい文章と言葉の選び方で嫌悪感を感じることなく読めた。寧ろそんなことよりも登場する遊女たちの叶わぬ恋に胸が痛む。美しく切なく儚い物語。処女作がこれとは素晴らしい。2012/531

著者プロフィール

1976年神奈川県生まれ。2006年『花宵道中』で女による女のためのR-18文学賞の大賞と読者賞をW受賞しデビュー。『白蝶花』『雨の塔』『セレモニー黒真珠』『野良女』『校閲ガール』シリーズ等著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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