リカーシブル (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2328
感想 : 180
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  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287836

感想・レビュー・書評

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  • なるほどと伏線回収に感心する作品でした。
    都市伝説が現実になっているような、まるでファンタジー要素のある作品なのかと思っていたら、まさかのラストで、今まで不思議だった部分が全て繋がる伏線回収は素晴らしいです。
    また自分は連れ子であり、血の繋がった父親も居ない、完全な他人とわかっていながら、母に愛情を求めてしまう。弟ともどこか距離を置いてしまう。そんな主人公の葛藤と前に進んでいく覚悟が、物語をより魅力的にしていると感じました。

  • 因習のある地域でのミステリーで全体的に薄暗い雰囲気
    未来予知でSFめいた要素があるのかと思いきや、町全体の大勢が関わった仕掛けで狂信的な怖さが出ていてよかった

    主人公だけでなくリンカの複雑な心境ももっと深ぼりしてほしい

  • 後先の見える子と呑み込みの早い子、それぞれの諦観と虚勢が痛ましいというか。中学1年生に背負わせるにはちょっと荷が重いようにも思うけど、それでもお姉ちゃんは強かった? あるいは強くなったというべきなのかな。あの母親は、本当は色々な意味でとっても「弱い」んだろうなぁ。

  • 違和感が積み重なって確信に変わっていく感じが気持ち悪いけど心地良い
    まさかそんなわけないよな...と思ってたことが本当になっていくことで変な意味で爽快さを感じる

    にしてもこういう街ぐるみでとんでもないことするっていうのは現実でもあり得るんだろうか
    この時代明らかになっていない情報なんてないように思うけど、関係者が全員消されてたとしたら...という想像までしてしまう

    自分の知っている世界なんてほんの一部でしかないんだよな

  • 過疎化が進行する地方の街に漂う閉塞感。弟の奇妙な言動や、いびつな家庭環境。やたらとクラスでの立ち位置を気にする主人公。
    不穏なムードに包まれ、一体どう展開するの!? と続きが気になってページを繰る手が止まらず一気に読了。
    謎が解決しても、登場人物たちの人生はきっと誰一人として好転しない。それでも〈わからないもの〉に対峙して、謎をクリアにする経験を経た彼女なら、きっとこれから先も大丈夫だと信じられるラストだった。

  • 日常の平凡系と思いつつ読み進んでいくので、最初の方はちっと微妙なのかも?とか思ってたわけです。が、微妙な違和感が少しずつ溜まっていくこの不快感は好きなんよ。
    あえて例えさせて頂くならばテクノなんかでジワーッと次の曲に繋げていく際に少しだけ音階をずらしながら行くけど段々と次に繋がって行ってあれいつの間にか次の曲にキレイに流れているというあの爽快感が!
    と勝手に例えつつ、田舎にはありそうななさそうなしきたりだかなんだか分かんない世界とか全体的にドカンとなるようなネタではないんだけどだからこその絶妙さが職人っぽいというかいや適当にフィーリングだけど自分的にはずっぽりハマったですよ。

  • 本棚から読んでない米澤穂信発見!積読のまま本棚に紛れ込んでいたようです。
    文庫初版だったので、積読歴8年!長いこと積んでしまった…

    米澤作品は白米澤と黒米澤があると思っているのですが、これはグレー〜黒米澤!
    中学生女子が主人公の米澤先生得意の学生ミステリかと思いきや、最後はしっかり黒い。
    黒い中にも少女の芯の強さがキラキラしてるのですが…。
    だいたい最初から怪しい雰囲気がプンプンしてるんだよね。怪しいってか不気味。匂いまくりでそれが逆に良い味なのです。
    ずるいわー!それ期待しちゃうじゃんね!
    そしてその不気味な雰囲気に合う結末。間で民間伝承もしっかり絡めまくっててよき。

    お母さんの黒さがなんとも怖くてよかった。黒いね、1人で血の繋がらない子を育てるのも、環境から我が子を守るのもしんどいもの。
    手放しちゃうあたりが黒いわー。

    大好きまで行かないけど、それでもやっぱり好きだなぁ米澤穂信と再確認する作品でした。

    余談ですが、田舎に住んでいるものでして、しっかり『講』も残っている地方でして…。
    もちろん作中みたいな怖いものじゃないけどさ!お葬式のときに駆り出されるくらい!
    だけど、色々想像しちゃうよね…笑



    @手持ち本

  • 仲の悪そうな弟と、「ママ」と一緒に田舎に引っ越して来た子の話。

    ハルカの置かれた家庭環境がなかなか分からないし、謎も伏線がたくさん出てくるのみで繋がりが分からなくてモヤモヤとしながら、はっきりさせたくてどんどん読んでいきました。
    よく分からないけどなんか不穏な空気だけはずっとあって、母親(継母だったけど)に気を遣ってたり、新しいクラスで過剰に空気を読んでいる様子が痛々しかったです。

    謎の全容もなかなか私には辿り着けなかったですが、りんかがどんな存在なのかよく分からないまま終わりましたね。
    ハルカがサトルを連れ帰ったことで、母親への講からの配慮はどうなるんだろう。
    中学までは面倒見ると言ってたママの態度も変わるのかな。
    でも水野報告が手に入ったなら謝礼が貰えるのかな。
    ハルカが渡さなくても、再現なりでいずれ手に入ればもう用無しだから配慮はなくなるのでは。
    ママ的にはまだまだ見つからないから、まだまだ保護されると思ってたかもしれないよなー

    辛いことばかりで可哀想なハルカ。。
    逞しく、賢くなって欲しい。

    地方の謎の信仰をモチーフにした「内側」と「他所」の対比は面白かったですが、実際には体験したくない…

  • 姉弟のやり取りが好き

  • あえて王道の展開から外したなぁ、という感じの終わり方だった。リアルっぽい雰囲気の作品によくありがちな、フィクションほど吹っ切れてないせいで感じる不完全燃焼感がどうしても気になる。

    途中(半分越えたあたり)は面白かった。
    やや閉鎖的で退廃の香りがする街での謎の風習、それを調べていた人が危険な目にあって、超常ホラーか?!とワクワクした。
    あと個人的には、お母さん……お母さんがものすごく引っかかった。エンディング後あんなんいる家に帰らなきゃいけないの……?

    古典部シリーズからの流れで他のも読んでみたい!と買ったうちの1本目だけど、正直女子中学生視点書くの向いてないかな……と思った。奉太郎がすごい合ってたから、余計におじさんの考えるちょっと大人びた女子中学生って感じが気になった。地の文が特に。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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