葬送 第一部(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101290331

作品紹介・あらすじ

ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。

感想・レビュー・書評

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  • ストーリーは結構どうでも良く、たまに挿入される作者の芸術観や歴史観の方が興味深い。

  • 「葬送 第一部(上)」平野啓一郎著、新潮文庫、2005.08.01
    356p ¥540 C0193 (2023.06.19読了)(2010.10.02購入)

    【目次】(なし)
    千八百四十九年十月三十日
    第一部(上)
    一~十一

    ☆関連図書(既読)
    「ショパンとサンド 新版」小沼ますみ著、音楽之友社、2010.05.10
    「ショパン奇蹟の一瞬」高樹のぶ子著、PHP研究所、2010.05.10
    「愛の妖精」ジョルジュ・サンド著、岩波文庫、1936.09.05
    「ショパン」遠山一行著、新潮文庫、1988.07.25
    「ドラクロワ」富永惣一著、新潮美術文庫、1975.01.25
    「ウェブ人間論」梅田望夫・平野啓一郎著、新潮新書、2006.12.20
    「三島由紀夫『金閣寺』」平野啓一郎著、NHK出版、2021.05.01
    (アマゾンより)
    ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。
    ショパン生誕200年のメモリアルイヤーを彩る、美と感動の長編小説

  • ショパンとサンド夫人は、愛し合っていたのかと思っていたんだけど、この本を読むと、壊れないようにお互いが気を遣っていて息苦しい関係だったように思える。
    ショパンが純粋で優しい。
    ショパンもドラクロワも体調が悪く「どこもかしこも病人だらけ」。
    そういえば、最初の葬式シーンにサンド夫人は出ない。
    ドラクロワはデュマのファンなのか、「家でモンテクリスト伯ばっかり読んでる」らしく、自分も同じものが好きで嬉しくなった。しかし、ショパンともども「面白い、それだけ」という感想。病人には「疲れなくて済む」作品が必要だと共感した。

  • 平野さんの表現方法に挫折。。
    どうしても眠くなり読み続けれない。
    小説の時代背景は好きな時代なので★3つですが、自分の読書能力の低さに悲しくなります。

  • ドラクロワの葛藤が印象的だった。
    何度も画集も眺めながら。

  • 『葬送 第一部 上』
     音楽家・ショパンと画家・ドラクロワを取り巻く人々の物語。
     ショパンの葬式から始まり、そこに至るまでの3年間に何が起こるのかが気になり読み進めていく。
     第一部の上巻は人物説明・描写も多めにとられている印象であるため、少し進みが重たい感じもしたが、後半から徐々に物語に動きが出てきた。
     心に引っかかったのは主にドラクロワの言葉。
     「(アングル派の絵を指して)絵の中にはある奇妙な時間が流れている。たるんだ時間とも言うべき時間がね。」
     これはいかに自分自身が絵画を描くために生き生きと情景を捉え、表現しているかを説いている場面。
     「(今の若い画家を指して)絵は決して語らず画家こそが語ろうとするんだ。そんな絵は、言ってみれば文学の下僕のようなものだよ!だけど、今にそんな退屈な時代が来るよ。」 ここでもドラクロワは自身の苦労を語りながら、若い世代への苦言をショパンに語っている。
     「作品というものは、作者が残そうという努力をしなければ残らないものだというのが僕の持論です。(中略)どうするか?政府に買い取ってもらい、宮殿や美術館に飾ってもらう(中略)そして、そのどちらも官展での勝利なくして不可能なことですよ!」
     「八年経って世間の風潮が変われば、駄作も突如として傑作に変わる。しかも、作品そのものには、ただの一筆も加えることなく!」
     「どのような立場でものを言うにしても、最低限満たしておかねばならない言説の水準はある筈であった。(中略)問題は、何故そのような手法が採られたか、その意義とそこから生み出された結果の是非とを考えることだ。」
     このあたりの発言はドラクロワだけではなくあらゆる芸術家や著者自身にも根差した言葉であるように感じた。
     ショパンについてはまだ印象が薄めであるが、サンド夫人とその家族との関係性の中でどのような結末に至るのか、下巻・第二部が楽しみである。

  • フレデリック・ショパンとウ-ジェ-ヌ・ドラクロワ、共に好きな芸術家であり、名前の響きがとても素敵な芸術家です。
    とても繊細な2人はシンパシ-を感じつつ、同じような境遇(愛人となり、病弱の身体となり)で、お互いにかけがえのない存在となっていきます。
    ショパンの愛人、執筆家ジョルジュ・サンドとの関係が崩れていく過程を、非常に細やかな心の動き(あ-、繊細過ぎる)を通して覗くような‥ そんな作品。
    残念ながら、人の心の中は見ることできませんからね、想像してみてください。

  • 幼少期からクラッシックピアノを習っていた
    10年は習ったのだろうか…
    世の中のクラッシックファンの前では口が裂けても言えないのだが、とうとう一度もクラッシックピアノを好きにならずに大人になってしまった
    好きでもないことを練習するのは子供心に相当苦痛であったため、余計に屈折した拒絶反応を身に着けてしまった気がする
    しかしながら、唯一ショパンだけは違った
    ショパンだけはなぜか好きだった
    理由は今でもわからないし、ショパンのことは何も知らない…(恥)
    先日読んだ「また、桜の国で」の作中での「革命のエチュード」を久しぶりに聴いたこともあり、本書を読みたくなった

    物語の舞台は19世紀中盤のパリ
    1846年11月から天才音楽家ショパンの死まで、2月革命前後の約3年間に焦点が当てられる

    ショパン、ドラクロワを中心とした芸術家たちの心の葛藤や孤独、彼らを取り巻く人間関係をその時代の流れと同じようにじっくり描かれている
    ファスト文化に慣れ親しんだ最近の我々には、もどかしさを覚え、こういったじっくり読みものを通読できない人も多い気がする(もちろんブクロガーさん達のことではないですよ!)
    しかしこの時間のゆったりと進む時の流れを面倒くさがらず向き合い、とことんこの時代のパリ、そしてたくさんの登場人物達の元へタイムスリップする…
    そんな醍醐味が得られる作品だ

    文体も時代を感じさせるよう工夫が凝らされ、まるで一昔前の翻訳した作品のようで良い味を出している
    また心理描写の文章の長さや古典的な技法もあちこちに散りばめられ、深いこだわりを感じる

    平野氏が3年以上の月日をかけて書かれたと聞く
    この時代の出来事や知識を相当な時間をかけ、調べ抜き、労力を惜しまず完成させた感が随所に溢れている
    フランス語の原文でフランス文学を読まれているだけのことはあり、一貫して全く日本人が描いた作品には思えない!
    「マチネ…」しか読んだことがなかったためか、驚いた
    重厚だとは聞いていたがこれほどまでとは…
    その時代、その場所にすごい力で持っていかれる

    というわけでここでは本書の本題にも入らない程度の紹介にとどめる
    なんせ長いから慌てる必要もない(笑)

    次回から本書の内容に触れていきたい

  • 2021.07.04 ショパンを聴きながらショパンをWikipediaで調べていたら、ショパンが生涯最も長い時間を伴にした女性がジョルジュ・サンドであることを知り、二人の関係を著した本書に行きつく。
    平野啓一郎25歳の作品にて、塩野七生が大絶賛。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%AC%E9%80%81_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)

  • ドラクロワとショパンの二人の芸術家を中心に、ロマン主義の大きな潮流に包まれる19世紀パリの社交界をえがいた作品です。

    著者は、作品におうじてさまざまな文体を使い分ける作家ですが、この作品では翻訳小説を思わせる文体と、とくに第一分冊となるこの巻ではドラクロワの芸術観が長いセリフを用いて描写されており、独特の雰囲気にどっぷり身を浸すことができました。

    ドラクロワは、感性の表層的な動きにしたがうような流行の芸術をしりぞけつつも、古典的な美の理念を墨守することも拒否し、ダイナミックな理念を追求しようとする意志と明確に示しています。そうした彼の芸術観が、パリのサロンにおける名士たちとの交流のなかで語られており、現代の小説ではなかなかあじわうことのできない作品世界が構築されています。

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著者プロフィール

作家

「2017年 『現代作家アーカイヴ1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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