天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101302829

感想・レビュー・書評

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  • チヤグムはカンバルとロタの兵士とともに新ヨゴ皇国の都へ。戦況だけでなく洪水の危機を一刻も早く伝えねばなりません。バルサはチャグムと別れてタンダを探しにゆきます。ずーっと気になって気になっていたけどようやくタンダのことを書いてくれた、という気持ちでした。父帝と対峠する場面も、これまでの苦難の道が思い出され何とも言えません。ジンの涙にもグっときました。帝はこれまでは冷徹で人ならぬ神の子、という描かれ方をしていたように思いますがチャグム自身も為政者となる立場となって初めて、共感はできないながら父の生き方を理解できる境地に達し、悲しいめぐり合わせの父子でしたが、最後にそういうある種の和解が描かれていて良かったです。そしてやはりくせ者ヒュウゴがここでこう来たか!という役割を果たし、やっぱり彼を主役に据えたお話をいつか読みたい!と思いました。

  • 完結  
    長かった  
    読み終わるのがもったいないと思う余裕もなく、一気に読了  

    精霊〜虚空〜蒼路〜天と地、このシリーズはチャグムが成長し、一国の王(帝)となる過程の物語という側面も強かったと思う  
    本当に最後に、帝として生きた父親を理解したチャグム  
    父は父なりに、国を思って、帝のあり方を信じて生きてきた  
    帝がチャグムを嫌っていたのは、『人』としてではなく、『帝』としてだったんだなあ……  

    チャグムを支え続けたバルサは、シリーズ通してぶれない、芯の通った人だった  
    女性でありながら「最強」と言ってもいいほど強かったけど、そんな描写に違和感やご都合主義な感じを受けなかったのは、書き手が上手だったんだろうな  

    タンダが生きていてなにより……というか泣いた  
    最後まで立ち位置がヒロイン……  

    為政者としてのチャグムを支えるのは、やっぱりシュガ以外にいない……!!  
    こっちに戻ってくるって信じてて良かった……  

    ナユグは長い春を迎えた  
    タルシュ帝国内でも変化が起こりつつある  
    新ヨゴではチャグムが帝位につき、シュガ達の支えのもと、国を変えていくだろう  

    本当に大きなお話だった…………

  • クライマックスで
    ババーが全裸で
    生肉食らいながら
    大樹と一体化して
    緊急洪水警報ながしていた

    そう考えると漫☆画太郎作品っぽいな

  • 読み終えて1週間以上経ってからのレビューですが……。
    前作でついにチャグムとの再開を果たしたバルサ。この第二部・カンバル王国編では、北の諸国の同盟を実現するため、チャグムはバルサと共に王都を目指します。

    チャグムがバルサと共に旅をしたのは、第一巻「精霊の守り人」以来。当時11歳だったチャグムはバルサに守られてばかりでした。しかし、それから歳月が経ち、17歳になったチャグムは今回の旅ではしっかりとバルサをサポートしています。彼の成長が微笑ましく感じられます。

    いつも上手く行きそうで行かないじれったさによって、物語に引き込まれます。
    そして最後、全ての道が閉ざされたかと思った次の瞬間に、どーんと糸口が開くどんでん返しが爽快です。しかも、これがいきなりな展開ではなく、振り返ってみればその伏線がちゃんと紡がれている事に、さすがだなと思わされます。

    タルシュ帝国との戦争という「サグ(この世)」の出来事ばかりに目を奪われがちですが、今巻の最後では「ナユグ(精霊界)」絡みの大事件が起きます。
    タルシュとの戦いには希望が見えた反面、ナユグの事件はどうなるか分からないという終わり方。最終巻に向けての期待をこれでもかというほど高めてくれる作品です。

  • そして父、帝との和解。
    チャングムは色んな人との交わりで成長し、色々なものが見えるようになりました。

  • シリーズ通して文句なく面白かった。
    精霊から夢まではバルサを主人公としたファンタジー色の強い一話読みきりだったのが、虚空の旅人以降、チャグムとバルサの物語が縒り合わさる太い糸のように結びつき、そこに様々な人物や国、習俗や伝説、政治と生活が鮮やかに絡み合って大団円のうちに終わったという印象。
    完全な架空の世界でありながら非常にリアリティがあって、特に十代の若い人に読んでもらいたい。
    作中の食べ物も美味しそうだった。
    また文庫版に収録されているあとがきや解説、特に天と地の対談は、東北の大震災を踏まえて泣けてきた。
    日本のファンタジーの最高傑作の一つだと思っている

  • 遂に完結!!
    …というか、これで最後かと思うと読み終えてしまうのが惜しくて、買ってからしばらくは手をつけられなかった。

    この巻で一番忘れられない場面は、第二章にあるバルサがタンダの腕を切り落とすところ。
    切な過ぎて、やるせなくて……。
    なんて酷い運命をバルサに科すのだろう!
    と、ちょっぴり作者を恨んだくらいw

    あと、最後まで相容れないチャグム親子も切なかったなぁ……。
    息子は過酷な運命を背負いながら、それでも立派に真っ直ぐ育っていったのに、国が滅びの窮地に立たされても尚、帝として『天ノ神』で在り続けることに微塵も疑問を抱かぬ父。
    生まれた時からそういう生き方しか教わらなかったとはいえ、実の息子の言葉すら受け入れられない、あまりに頑ななその姿勢は、憐れとしか言い様が無かった…(T_T)

    最終的に、チャグムは国を護り、バルサにはタンダやトロガイと共に暮らす穏やかな日々が訪れたが、個人的には、頑張ったチャグムをもう一度バルサに会わせてあげて欲しかった!
    これから国を建て直して行かねばならないチャグムには、まだまだ苦難が降りかかるはずだから、この先、帝として頑張っていく彼に心の糧みたいなモノをあげても良かったのでは…と、思ったのは私だけ?

    何にしても、涙なくして読むことの出来ない一冊だった。

  • へぼ弟子と罵りながらもタンダを思うトロガイ師に涙。

  • 守り人シリーズ本編、遂に完結。最も大きなうねりが到来し、全てが結末へと向かっていきます。帰還したチャグムと帝の対話の結末は、最善ではないにしても今まで築き上げた自分達の立場から考え得る精一杯のものだったのでしょう。また、バルサがタンダを救う為の並々ならぬ決意を持った行動も素晴らしかったです。トロガイもきっちりとその存在感を魅せつけたことにはあの緊迫した場面でも爽快な気分を味わせてくれました。そしてようやく訪れた平穏への兆し。彼ならきっと最後の温かい光景を守れる国を築いてくれるはず。短編集も楽しみです。

  • とうとう旅が終わってしまった。充足感と寂寥で胸がいっぱい。

    タンダの腕のシーンがものすごく印象的で2人がお互い思いやり、共有しあっている感情が一気に流れ込んでくる感じがして泣けた。
    タンダ:切り落とす時の痛み、その直後から長期間闘わなければならない激痛への恐怖はもちろんだけど、それ以上に、バルサにこんな辛い役割を負わせてしまうことの悲しみや申し訳なさ、 片手を失うことで今後ずっとバルサに負担をかけてしまうのではというやるせなさなど。
    バルサ:自分が切らねばならない辛さよりも、タンダの激痛、無念、長期に渡るであろう心身の苦悩を思いやっている感じ。

    帝はチャグムに愛情がなかったわけではないことが最後の最後で分かって少し救われた。
    精霊の守人から通して振り返ってみると、チャグムの成長ぶりは本当に圧巻だった。
    為政者と民衆が、みんなどこかに責任を投げているようなところ・・・現実に置き換えても耳が痛い。

    ナユグも自然も天も地、ただあるようにあるだけ。
    この考え方は西洋よりもやっぱり東洋的なのかなと思う。個人的にも最終的に行き着くところはここかなと思う。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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