「少年A」14歳の肖像 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101304328

作品紹介・あらすじ

一億人の心臓を鷲づかみにした「神戸連続児童殺傷事件」。審判は終わった。真実は詳らかにされることなく、少年Aは闇の中に消えた-。彼の内なる「酒鬼薔薇聖斗」はいつどんな家庭で産声をあげたのか。母親は魔物の誕生に気付かなかったのか。第一級捜査資料に綴られた生々しい「肉声」。少年が初めて語る狂気と虚無、そして両親の慙愧…。今ようやく浮き彫りとなる驚愕の全貌。

感想・レビュー・書評

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  • こういうドキュメンタリーは当たりハズレが大きいが、
    これは事実を淡々と描いている印象。
    周辺事実はいろいろと勉強になったが、
    この少年の内面はやはりわからない。

  • この手のルポみたいなものは
    嫌いじゃないけど少年Aに関しては
    読み込んでしまう。

  • 神戸連続児童殺傷事件の少年A、彼がどんな場所で、どんな家庭で育ってきたのかに主に焦点をあてて書かれた高山文彦さんのルポルタージュ。

    場面ごとの風景描写が丁寧だと感じる部分が多く、その都度イメージを持ってから本筋に入ることができるような感じで、内容がより入ってきやすい印象を受けました。

    過去の作文やカウンセリングの内容などこの事件関連の他書籍では見かけなかった少年Aについての情報もあり、地震の際に隣人を懸命に助けた場面は特に印象的でした。宮部みゆきさんの解説部分も短くシンプルながら、とても考えさせられる文章でした。

    少年Aの家庭環境に全く問題がなかったとは思わないのですが、だからといって故に事件が起きたという簡単な理解もできないし、わかりやすい理由や明確な問題点などないのだなと思いました。すべて読んだうえでそう思えただけでも、読んでよかったと感じます。

  • 加害者側メイン

  • 少年A=酒鬼薔薇。
    その猟奇性で世間を震撼させ、捕まってからは未成年による犯行だったことがまた世間を脅かした。

    彼の生い立ちを追い、なぜあんな行動を起こしたのか迫ろうとしたルポルタージュ。

    こういう本、私は時が経たないとなかなか読む気になれなくて…

    もうどうにもならない倦怠感に襲われた深夜、酒を飲むか本を読むか…と思って、手に取った。

    一気に読んだ。

    結論はわかっていて、「わからない」。

    近づくけれど、こうでこうでこうだからこう!みたいな、単純な理解は強烈に拒む、それが誰であれ人のこころというもの…

    これを、わからないままに、わかろうとすること。それが大人に求められる精神の強靭さだと思う。

  • クッソおもんね!

  • 文章の書き方が好きだった。読みやすかった

  • 孤独はこわい。

  • 被害者の心情を考えると「この手の本は!!」ということになりますが…。
    全てが正しいかはわかりませんが、少年Aの心情がよくわかりました。
    少年法。
    なかなか難しいですが、やはり少年であろうと障害者であろうと重大な犯罪を犯した場合は重罪に処すべきだと個人的には思います。

  • あの事件はおそらく何かの分岐点であっただろうと思う。もう二十年も前になるというのに、多くの者が今だに投げかけられた問いに答えられないでいる。この書は核心にできるだけ肉迫しようと心血を注いだ1冊であろう。しかしその努力は認めるとして、Aを止める術はなかったのか、なぜ犯行をあそこまでエスカレートさせなければならなかったのか、Aは特別の存在として切り捨てることはできるのか、闇は変わらず闇のままである。

  • 少年Aはどうやらあのまま大人になってしまったようだけど、御家族はどう暮らしているのだろうか。昔家族だった彼のことを毎日思い出すのか、思い出さない日もあるのか。

  • 多分この少年Aは子供の頃相当寂しかったんだろうな。1歳の時自我が芽生えるまえに弟が生まれ、しかもその弟は喘息持ちで母親は付きっ切りでいなきゃいけない。十分に甘えられず、しかも自分は長男だからという理由で叱られる。こんな理不尽なことはないとおもう。

    こういう事件が起きると被害者やその家族がかわいそうだって思うけど、この少年や他の事件の未成年も運命と混沌とした社会により加害者にされてしまいった被害者なのかもしれない。だからちゃんとどうしてこういうことしたのか、どんな家庭環境にいたのかをきちんと知って、社会が抱える問題を解決していくべき。

    これを読むと少年法は正しいのだろうと思えてくるけど、被害者家族からしたら更生して社会に出るなんてとんでもない話だと思うけど、国際的に18歳未満の死刑は禁じられてるから死刑はできない。うーん難しい。

  • どんなに美しく純粋な存在であっても
    捌いてみれば血みどろの内臓と糞便が詰まっているのだ
    そのギャップに萌えてナメクジだの猫だの解剖するうち
    とうとう人間を試してみたくなったのか
    わからない、これは僕の想像であるが
    この世界におけるもっとも純粋な存在を消せば
    あとには混沌だけが残るだろう
    何をやってもよい自由な世界である
    新たな神を人間が造り
    新たな秩序を構築することも可能であるのに違いない
    そっそんなバカな

  • あの当時にニュースで見た怖くて、不気味な事件のルポルタージュです。
    同じ14歳の子どもを持つ母親として、あらためて読み進めました。

    亡くなられたお子さん、そのご両親を思うと、言葉になりません。

  • いろいろなつぎはぎだらけで、他の本を読んだらこちらはあまり価値がないかな

    少年が最終的に土師淳君を殺害に至るまでに、多くの問題行動があったにも関わらず、止められなかったという事実があったことがこの著書からわかった。

  • 育った環境、家族の風景、凶行とその前夜、家族。行動やできごと、会話の内容を綴る。

    事件を知っているだけに、偏見なく書くことも、読むことも難しいです。

  • 「酒鬼薔薇聖斗」少年A
    神戸連続児童殺傷事件のルポルタージュ。

    少年Aが生まれ育った家庭環境を通して、
    「酒鬼薔薇聖斗」という存在がどのようにして産まれていったのか…
    少年Aの光と闇に入り込み、彼の輪郭を浮き彫りにしてゆく。


    この本を読んでいくと、少年Aの(ダリにも似通った)秘めたる才能(可能性)を感じることも出来る。
    あの個性を一つの才能として開花させることが出来ていたら、尊い一つの命もまた奪われることはなかったのではないか。
    少年Aのなかに確かに潜んでいた闇。
    しかしその闇の中には、犯罪(殺人)とはまた別の発展性もあったのではないか。
    そう思わずにはいられない。

  • [重闇]世紀末の日本を震撼させた神戸連続児童殺傷事件。自らを「酒鬼薔薇聖斗」と名乗り、凄惨な殺人を犯した少年はどのような人生を送ってきたのか、どのような問題を抱えていたのか、そして周りの人間は彼をどう見ていたのか......。今なお明かされない側面が多々ある「少年A」の実像に迫った作品です。著者は、ノンフィクションライターとして長年「少年A」に関わり続けている高山文彦。


    自分が小学校の中学年の頃に起きた事件だったこともあり、おぼろげな概要は覚えていたのですが、改めてこの事件の深いところを知ると、紡ぐ言葉が見つからない程の衝撃を受けました。と同時に、少年Aの心象の図式化はできても、その心象そのものの把握は決してできないであろうという思いにもとらわれ、そこまで厚い本ではないのに読んだ後にとてつもない疲労感と無力感に襲われました。


    本書の本質的テーマとは少し離れるかもしれませんが、個人的に興味を持ったのは著者の執筆動機。その執筆動機により、公的な形では許されない少年Aに関する情報の遺族への提供を、結果として私的なもの(=本書)が行うという形になっており、それにより、少年犯罪に関わることになってしまった人々がそれぞれ有する(べき)権利について、読者に考えさせることへとつながっていると思います。

    〜Aは私たちにとって近親憎悪をかきたてさせる、もっとも親しい隣人だったのである。〜

    重い。本当に重い☆5つ

  • 「神戸連続児童殺傷事件」の犯人「少年A」に関するルポルタージュ。
    少年犯罪に関する本は多くあるけれど、その報告の中にいつも欠けていて不思議に思っていたのが「思春期の性」についてだった。
    大人はいつも「そんなことはありませんでしたぁ」みたいな顔をして思春期のグダグダ状態を、忘れてしまったのか、口を閉ざしているのか、語らないけれど、思春期における犯罪を考える場合に、「性」を抜きにして考えるのはどうみても無理があるだろう。
    その点、本書は専門家による鑑定に「性」についての調査がなされ、「結果」が報告されている事が画期的だ。
    というより、専門調査では当然のごとく「性」についても調査しているが、その部分には巷の報道ではふれていないという「報道の”闇”」が問題なのかなと。
    ”ノーマル”な性というものが社会の中でどのように形作られていくのかを考えるのに参考になるものだったな。

  • 平成26年8月20日読了。

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著者プロフィール

1958年、宮崎県高千穂町生まれ。法政大学文学部中退。2000年、『火花―北条民雄の生涯』(飛鳥新社、2000年)で、第22回講談社ノンフィクション賞、第31回大宅壮一ノンフィクション賞を同時受賞。著書に『水平記―松本治一郎と部落解放運動の100年』(新潮社、2005年)、『父を葬(おく)る』(幻戯書房、2009年)、『どん底―部落差別自作自演事件』(小学館、2012年)、『宿命の子―笹川一族の神話』(小学館、2014年)、『ふたり―皇后美智子と石牟礼道子』(講談社、2015年)など。

「2016年 『生き抜け、その日のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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