私たちが好きだったこと (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101307121

感想・レビュー・書評

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  • 父の本棚に置いてあったので手に取りました。
    読後一年ほど時間が経ってからの感想ですが、未だにこの作品の印象が強く頭の中に残っています。
    好き嫌いの否応無く記憶に残ってしまう作品だと感じました。
    正直、話の繋がり方と登場人物の人間性が気にくわない部分があります。(物語の起承転結、スピード感、文章の構成はとてもスッキリしていて読みやすいです。)
    しかし、それを押しのけてでも読ませて、記憶に残す力のある作品だと感じました。
    人と人の間で愛がどのように生まれ作用するか。
    また、そもそも愛とはどういったものなのか、という事について考えさせられました。

  • 感想というか好きな部分。

    「個人のプライバシーに唾吐いて、言いたい放題、書きたい放題。それを読むやつも、なるほどそうなのかて、いとも簡単に信じ込む。どいつもこいつも、口舌の徒になる。俺は、そんなふうになりたくないんだ。逢ったこともなければ、話をしたこともない人を、誉めたり、けなしたりするのは犯罪だよ。

    コオロギもカブトムシも、鮭も鯨も、雀も鷲も、みんな子どもを産む。どうして人間だけ子供を産むことに不自由になってしまったのだろう。命、ばんざいだ。ばんざい、ばんざい、おめでとう。

    時間も偶然も金では買えない。でも、命も金では買えない。金で買えないもののために、金が必要なんだ。金ってやつは、金で買えないもののために真価を発揮する。

    物の秩序は、その膨大な数が偶然の疫病と季節の無慈悲からではなく、産むと同じように、激しく破壊する避けがたい運命のために殺され滅ぶことを求めているのか、私にはわからない。

    俺は、騙してくれって言ってんじゃないよ。嘘をつくってことと、本当のことを口にしないってこととは違うんだ。自分の胸に収めて、黙ってられるかどうかが、人間としておとなかどうかってことだろう?

    他人によって傷つけられるものは自意識だけだ」

  • ドラマで見たい。与志くんは、西島秀俊かな。

  • 不思議な関係。
    語弊を恐れずに言えば、不安神経症の人の相手は大変だと思う。
    なんとも胸が苦しくなる展開。
    ーーー
    工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、不安神経症を乗り越え、医者を志す愛子、美容師として活躍する曜子。偶然一つのマンションで暮らすことになった四人は、共に夢を語り、励ましあい、二組の愛が生まれる。しかし、互いの幸せを願う優しい心根が苦しさの種をまき、エゴを捨てて得た究極の愛が貌を変えていく……。無償の青春を描く長編小説。

  • ひょんな成り行きで共同生活を送る事になった。男女4人の物語。
    4人とも他の人の為に四苦八苦してばかりいる、お人好しなのですが、純粋に人がいいばかりでなく、それぞれクズい部分も持っているんですよね。
    そんな彼らに、次から次へと色んな事が起こり、それによって傷つけ合ったり、絆を深めたりして過ごしてゆく「あー、人間ドラマだなァ・・。」という感じの小説でした。

  • 久しぶりに読んだ宮本輝。良かったです。
    柔らかく、自然な文体で、物語に引き込んでいきます。読み終えてしばらくすれば”そんな馬鹿な”と思う展開なのですが、読んでる最中には何の疑念も無く、物語の中に没頭できます。
    やや軽め、テレビドラマにしたらちょうど合いそうな雰囲気は、宮本作品の特徴でしょう。この作品も映画化されたようです(流行らなかったみたいですが)。

  • 宮本輝はいつか読みたいなと思っていた。たまたまブックオフで見かけたので購入。

    男女4人の2年間の奇妙な同居生活を描いた青春小説。
    読後の感想としては、うーん。
    仕方のないことではあるが、時代がいかにもバブル真っ盛りで今だと首を傾げる部分もちらほら。
    登場人物の誰にも感情移入できず、筋も好みではなかったため、さらさらと読み流してしまった。特にヒロインが身勝手すぎてどうにも後味が悪い。

    次は素直に川三部作を読んでみよう。

  • 人から借りて読んでみたけど
    人の闇を感じた。
    ただ、生活は楽しそうで
    こんな風に暮らしてみたいと思った。

  • 穏やかな文体とは裏腹に物語の展開が非常に早いのが印象的でした。この問題が解決したら次の問題がすぐに起きてという感じで、その中で与志くんを中心とした4人が成長していきます。一つ一つが軽いのが心地よい印象を与えてくれるのかもしれないですが、もう少し余韻に浸る時間もほしいかなと思いました。

  • レビュー評価に惑わされてはいけない。今まで読んだ宮本輝作品の中で一番沁みた。あぁ、なんでそうなってしまうんだろう。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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