エンキョリレンアイ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101309729

感想・レビュー・書評

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  • 本屋のアルバイト中に出会ったあの人は、
    翌日にはアメリカに行ってしまう人だった。
    そんな人に、恋をした。それは、運命の恋だった。

    詩人だという作者の比喩をはじめとした表現があまりに素敵で、
    どこか幻想的にも思えるその描写にすぐに引き込まれました。

    「そんな風にして、あのひととわたしはつながった。果てしなく広い海で、巡り合えた二匹の魚のように」
    「あのひとは笑った。春の木漏れ日のような笑顔」
    「そこにあのひとの視線を感じて、そのちょうど下にある心臓が、飛魚のように跳ねた」

    恋愛をしていると、ちょっとこれは運命かも!なんて思う瞬間ってありますよね。
    メールをしようとしたらメールがきたとか、物語の中の電話の件もそう。
    私も遠距離恋愛をしていたことがあるから、わかるなーと思う部分もたくさん。
    物理的に近くにいなくても一緒に生きている感覚もわかるし、
    心から信じていても物理的な距離に負けそうになることもあるし、
    ベタなストーリーかもしれないけど、共感する瞬間がぎゅっと詰まった物語でした。

    そして、何より切ない。
    最後を奇跡と見れば、ハッピーエンドかもしれない。
    けれど、きっとそれは幻想で、そう思うととても切ない。
    どんなに離れていても心は繋がっていられると思うけれど、やっぱり距離に比例してすれ違いはおきやすいですよね。
    好きな人とは同じ場所で、同じ時間を生きていきたい。

    会社について、登場人物について、大筋以外の内容もとても興味深い。
    言葉も美しいし、景色も美しいし、週末の夜にいい余韻が残りました。

  • エンキョリレンアイ…通信手段のメインはメール。届いているかいないかで一喜一憂。同じメールを読み返しても、前向きである時には素直に喜べ、気持ちが落ち込んでいる時には突き放されたかのような疎外感を覚え疑心暗鬼にとらわれる。嫉妬、猜疑心、不信感、自己嫌悪。逆に、ちょっとした一言に元気をもらったり、勇気づけられたり、日常のちょっとした事に幸せを感じる事ができたり…。離れていても心は繋がっている。ベタな恋愛小説かもしれないけど、いい歳して泣いちゃいました。あ〜涙腺緩みきってるなぁ。

  • 私自身が国内だけど遠距離恋愛してるから凄く共感しまくりだった。特に花音がメール待ってるときとか、親友の言葉に「愛」を考えるとか。遠距離あるあるですね。離れてても、海晴がいうような「また会える」とか、花音の「あのひとはここにはいない」という根拠のない確信も経験したことあるからすごくわかる。
    ファンタジーっぽいって思われるかもしれないけど、遠距離恋愛している人は特に共感できる部分が多いのでは。

    でもハッピーエンドとはいえ、こんなの辛すぎるから星は4つ。タイミング大事ですね。

  • 全体的にさらりとしていて、読みやすかったです。
    主人公の花音ちゃんと海晴の運命的な出会いから13年間が描かれていますが、内容的には出会ってから1年間?の話がメインです。

    タイトルがカタカナである理由が、物語の中で分かり、納得するとともに、小手鞠るいさんの書く文章は綺麗だな〜!と思いました。

  • 恋愛小説はあまり好きじゃないので普段なかなか読まないのだけど、「エンキョリレンアイ」の経験もあるので読んでみた。ザ・恋愛小説だった。詩のような小説。花音が海晴に夢中になっている感じを今でこそ冷めた目で見てしまうけど、20代前半の恋に恋する感覚は分からなくもないなぁ。まさか中国人のせいで10年以上も離れ離れになるとは。。空白の時間を埋めるように、2人はずっと一緒にいるんだろうな。

  • ──驚いた!こんなことって、あるのね?

    文庫本230p程
    サッと読める

    小手鞠るいさんの文章はとても読み易くて好き

    ──驚いた!こんなことって、あるのね? な恋愛小説(*^^*)

  • 以前から小手鞠るい作品の大ファン。なのに、何故か今まで読み落としていた。

    出逢った次の日からアメリカと日本という遠距離に身を置かなければならなくなった二人が織りなす切ない恋愛物語。
    些細なことからすれ違い、別れを経験し、それでも13年間の時を越えて穏やかなハッピーエンドの予感。
    若い女性向けだとは思うけれど、50代でも充分入り込むことが出来た。

    永田萌さんの解説で「これは長編の抒情詩だ」と書いてあったが、まさにその通りだと思う。
    美しいセンテンスやワードのチョイス、比喩が特に素敵。
    行ったこともないマンハッタンやハドソン河の様子が頭に浮かび容易に想像できてしまう。

    さて、「エンキョリレンアイ」「サンカクカンケイ」「レンアイケッコン」の3部作すべてがすでに私の手元には揃っているが、続けて読みたいところをグッと堪えて、違う作者の本を読みワンクッション置きたいと思っている。
    何となく勿体なくて余韻を楽しみたいから。(笑)

  • 確か某まとめサイトで恋愛小説のオススメに挙がっていて、私自身経験のない遠距離恋愛に興味があったので、読んでみた♪

    あらすじには「13年間の物語」ってあるけど、実質中身は1年間くらい…よね?
    決定的に離れてしまった後のお互いの姿が、全然描かれていなかったのにはビックリ。Σ(・Д・ノ)ノ
    13年間の心のやりとりを期待していただけあって、その部分がちょっと残念だったかな。

    しかも読み始め当初は、海晴さんが苦手だった!(>ε<:)
    なんか、人間味がないというか…デキすぎた男だなぁと。笑
    もちろん、カノちゃんとの間で交わされたメール(時には、電話や手紙だったことも)はどれも素敵だったし、「怒りにエネルギーを与えない」とか、考え方の一つひとつにも〝自分〟を持っててカッコイイ人だな~とは思っていたけれど。
    でも最後の手紙ではちゃんと弱さを見せてくれて、そこからは見方が変わって、きゅんきゅんした♥

    人間、そんなに強くない。強い人間なんて、本当はいないのかも。(-ω-`)
    だって傍目には強く見える人も、実は自分とは違った部分に弱さを抱えていたりする。
    その年齢を見上げていた頃には、ただ漠然と大人だっていう印象を抱いていたかもしれないけど、いざその景色に到達したとき、案外未熟なんだと気付いたりもする。
    海晴さんには、そういうことを教えられたように感じた*

    出逢ったばかりの人と、突然遠距離になってまで続けられる恋って凄い!ヽ(゚∀゚〃)ノ
    でも運命の相手には一目惚れするものらしいから(偉人の名言にそんな言葉がなかったっけ?)、二人にとってまさに運命の出会いだったんだろうなぁ。
    再会はあまりにも奇跡的すぎな気もするけど、そうでなきゃ話が締まらんか。笑

    ひたむきな花音ちゃんが可愛らしく、一途な想いに溢れている作品だった☆゚+.
    遠く離れた相手に気持ちを伝える手段として、今は色々な方法が選べるけれど…やっぱり私は「手紙」に弱いみたいだ。(^ω^〃)ゞ

  • ラストはなかなかあっさりでしたが、読書苦手な私でもさらさらと読めました。
    イノウエがポジティブで、その言葉にグッとくることが多かったです。

  • ところどころに見られる詩的な文章がとても素敵だった。

    愛を育むには時間がかかる。でも、すれ違うときは一瞬。


    ラストはハッピーエンドであることを願いたい。

著者プロフィール

1956年岡山県生まれ。同志社大学法学部卒業。ニューヨーク州在住。
『欲しいのは、あなただけ』で島清恋愛文学賞、『ルウとリンデン 旅とおるすばん』(講談社)でボローニャ国際児童図書賞を受賞。主な著書に『優しいライオン やなせたかし先生からの贈り物』(講談社)『星ちりばめたる旗』(ポプラ社)ほか、主な児童書に『心の森』(金の星社)『やくそくだよ、ミュウ』(岩崎書店)『シナモンのおやすみ日記』(講談社)など多数。

「2024年 『新装版 まほうの絵本屋さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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