リオ―警視庁強行犯係・樋口顕― (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101321516

感想・レビュー・書評

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  • はからずもシリーズを逆順に読むこととなった樋口シリーズ1作目です
    登場人物たちを掘り下げてくような感じでこれはこれでおもしろいかも

    当然樋口の良き相談相手の氏家との出会いも語られることになると思い楽しみにしていました
    なぜ樋口は氏家には素直に相談できるのか?まあ類は友を呼ぶということなんでしょうが氏家の外側に向けたポーズの内面に誠実さがあるからなんでしょうな

    それから相変わらず樋口の自己評価の低さなんですがこれが本当にひどい、ひくつと言っていいくらい
    最新巻に比べてだいぶひどい、ということは逆にちょっとづつ自信をつけてるということなのかな
    そして妻の恵子の評価がほぼ樋口の自己評価と一致しているのが微笑ましく樋口の内面をちゃんと理解してる一番の味方なんだなぁと

    そして樋口シリーズのシリーズ通してのテーマはズバリ「家族」だということがはっきり分かりました
    犯人や容疑者はほとんど家族に問題がある人ばかりだし
    樋口家のような家庭を維持するには努力も必要!
    努力…足りてるかなぁ?

  • 今野敏「警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ」第1作目(1996年7月単行本、1999年11月文庫本)。
    「隠蔽捜査シリーズ」全9作を4〜5月に読了して竜崎伸也のキャラクターの大ファンになった。そして今野敏の新たなシリーズをまた読みたくなり今シリーズを手に取った。竜崎伸也のキャラクターとは立場も人柄も全然違うが、今シリーズの主人公の樋口顕も興味を注がれるキャラクターだった。

    警視庁捜査一課強行犯第三係長で警部補の樋口顕40歳が主人公。1955年生まれ、全共闘世代後の世代で、全共闘世代の後始末を負わされたという被害者意識を持ち、謙虚で真面目で人の目を気にするが、個人のプライドより効率を優先し組織を上手く利用し、そして上司同僚からも信頼されている優秀な刑事である。しかし本人はそうは思っていない。それでも捜査における状況判断や洞察力は抜きん出ており、容疑者や関係者から話を聞き出すのも上手い。考え方はどちらかといえば保守的で家族を愛するマイホーム主義でもある。妻の恵子40歳と娘の照美16歳の3人家族だ。

    事件は3人の中年男が次々と殺害され、いずれも高校生くらいの美しい女が現場で目撃され、3人目の現場ではその殺人現場で確保される。捜査本部ではその女性飯島里央を容疑者として逮捕、自供を迫るが里央は否認する。樋口だけが里央犯人説に違和感を持ち、所轄の刑事の氏家譲38歳と別行動で捜査するというような物語。
    3人の被害者はデートクラブのオーナーだったり、暴力団がらみのパブを経営していたり、いかがわしい撮影プロダクションの社長だったりで、ドラッグをやっていたことがわかった里央が犯人であることの可能性が高かった。
    樋口が真犯人の可能性として考えたのが二人、DJで里央に惚れている吉田晴彦(通称ハル)、もう一人が里央の通う高校の担任教師の梅本玲治だ。樋口の捜査は強引な捜査ではない。人の話を聞き、相手に安心感を与え、信頼され、そして優れた洞察力が武器だ。慎重に事を進め、自分ではなかなか自信が持てないことが欠点だ。
    そういう状況での樋口の独自捜査に助言して協力するのが強行犯第一係の係長で警部補の天童隆一47歳。若い頃の樋口に刑事の仕事を教えた先輩刑事だ。樋口を信頼し、理解し、上司からも信頼されている。
    理事官が池田厚作50歳、そして捜査一課長が田端守雄、警視だ。田端も樋口への信頼は厚い。このメンバーがおそらくこれからもシリーズで登場してくるということは想像出来るが、捜査一課長の田端守雄は「隠蔽捜査シリーズ」でも同じ捜査一課長の警視正で登場していて何か嬉しくなった。まさか竜崎伸也は登場しないと思うが、これから知っている刑事が登場してくるかもしれないと思うとちょっと別な楽しみが出てきた。
    しかしながら樋口の里央に対する恋愛感情は不自然だ。こんな情けない樋口は要らない。「隠蔽捜査シリーズ」の「疑心」でも竜崎の恋心が描かれていたが、両方とも愛情たっぷりの素晴らしい守る家族がいて、理性的な主人公で、保守的な価値観を持ち、この恋愛感情は釣り合わない。
    事件の真相は、予想通りの展開なのであまり感動はなかったが、これから樋口がどんなキャラクターを見せてくれるのかは、期待が膨らむ。シリーズ次作も是非読んでみたい。

  • 刑事物はあまり読んだことがないのですが、わかりやすく読めました。

    なんにでも過程があり、結果があるというのはそうだと思うが、物事を複雑に考えすぎて、単純なことを複雑に考えるあまりどんどん見えなくなっていくというのは、よくわかる。

    経験を積めば詰むほど、おちいりがちな事象だと思う。

    登場人物も少ないし、刑事物をあまり読んだことない人にいいと思う。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    「彼女が容疑者だとは、思えない」警視庁捜査一課強行犯第三係を率いる樋口警部補は、荻窪で起きた殺人事件を追っていた。デートクラブオーナーが殺害され、現場から逃げ去る美少女が目撃される。第二、第三の殺人が都内で起こり、そこにも彼女の姿が。捜査本部は、少女=リオが犯人であろうという説に傾く。しかし、樋口の刑事の直感は、“否”と告げた。名手が描く本格警察小説。

  • 樋口のキャラクターが良い。
    警察社会の中では弱いように見えるが堅実な仕事ぶりは評価に繋がり、自信が無いのが丁度良く思える。
    続編も読んでみよう。

  • なかなかの疾走感。キムチにはアンタフェミンがふくまれている。


  • 樋口さんの設定が、絶妙。

  • ちょっと変わった主人公が登場する警察もの
    その悩める姿は、共感できるところがあります
    それにしても今野さんは、人を描き分けるのがうまいですね

  • 犯人が教師とはありがちなのにずっと飽きない。
    一目気にしてしまうことに悩む樋口の設定がいい。
    氏家とのコンビのラストが心地いい余韻。

  • 警視庁強行犯係・樋口シリーズ第一弾。
    なんとなく、隠蔽捜査シリーズと
    似ていて(警察ものだから当たり前か)
    読みやすくて2日で読んだ。
    続きも全部読もう。

著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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