吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101323510

感想・レビュー・書評

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  • ー自己の中心で愛を叫ぶー

    何なんだこの本は!!


    こんな不快な描写中々書けませんよ。


    迷惑な妄想逆ギレ男
    夫の帰りを正座して待つ壊れた妻
    生地獄を味わう可憐な美少女
    虐待される寝たきり老人


    4つの短編集なんですがどれもこれも強烈です。


    何と言っても半蔵への嫌悪感がヤバい。
    こんなに不快な人いる!?ってぐらい。


    読んでてムカムカ、イライラ。
    とにかく気持ち悪

  • 新堂冬樹にハマったきっかけとなった本
    短編集

    「愛」と「狂気」は紙一重、
    っていう言葉がぴったりの作品です

  • 『半蔵の黒子』は、主人公の毒島半蔵がとにかく醜い。容姿、性根から行動までことごとく醜い。しかし、自己中心的で自惚れの強い半蔵の、やたら前向きな思考と行動には妙に笑えるものがある。それにしても、「肉ウジチャーハン」って…。
    『お鈴が来る』は、女は怖ろしさを描いた作品。妻が「お鈴」の話をする中盤あたりで何となく結末が読めてしまったが、佳作といってよいのでは。
    『まゆかの恋慕』は、他の3作品とは異なり、哀しい恋の物語。まゆかがあまりにも救われない…。
    『英吉の部屋』は、『半蔵の黒子』の半蔵とは異なる意味で醜い。自己正当化の権化ともいうべき、いっそ清々しいほどの下衆。自己正当化の徹底ぶりは、半蔵と同じく妙に笑える。
    いずれの作品もグロテスクな描写が満載であるにもかかわらず、楽しく読めてしまう。極上のエンターテインメント。

  • 人間が怖い話のオムニバスで、きっと世に言う後味の悪い話。だけど、個人的には大好物なジャンルで、どの話もひぇ~!と思いながらも読了後はおもしろい!!!となる。歪んだ愛、 恐怖!!!
    「半蔵の黒子」のデブで不潔で欠点しかない男の妄想力とか、「英吉の部屋」の鬼畜で下衆で実の娘への虐待を本気で愛のムチとか言っちゃって悪びれない英吉とか、いやー!わたしの常識と想像を上回る思い込み野郎どもね。実際いるんだろうね、こういう妄想勘違い野郎が!実際絶対出会いたくないけど、物語の中だとなんでこうもおもしろいのか。ひどい話ばっかり。

  • いいねー!ナイス新堂さん!短編集やから、そんなに期待してなかったけど四編とも面白かった!その中でも一番はやっぱり『半蔵の黒子』かなぁ…勘違いっぷりが半端ない!

  • 吐きたいほど、というより、吐き気がするほど、という印象。表紙の虫が大変恐ろしいのでブックカバーをつけて読んだところ、中身にもわりと虫が多くてなかなかにダメージを受けた。
    精神的なおかしさが、虫を出すことで安易に見えてしまったのがちょっと残念かな。
    どれもこれも清々しいほどに後味が悪い。素晴らしい。読み始めのフラットな状態から、だんだんと登場人物のおかしさが明らかになっていくこの絶望感がたまらない。まあ、まゆかの一遍はまだ純愛に近いような気もするけれど……。
    英吉と毒島の、あの自己洗脳と言うか、便利な言い訳を次々と考えついて自分を騙しているようなあの感じが、憎らしくも上手だった。
    幼女レイプのシーンの描写は忘れられそうにない。

  • 新堂冬樹、たまにテレビで見かけるけど、どう見てもその筋っぽい風貌で、およそ作家という職業と結びつかない。

    どんな作品を書いてるのか好奇心で読んでみたけど…

    おぞましい、の一言。
    うなされそう。

    狂気の果てを知りたいならどうぞ。

  • 自己だけを中心に物を考える人達
    の究極の姿が各編で描かれていて
    ここまでなってしまうもなのか?
    とドキドキしながら読みました。

    自分のためなら他人は蹴落とす、
    それが残虐でも、どうであっても
    自分がよければなんでも構わない

    こんな人が本当にいるわけない!
    と思いたくなる内容なのですが、
    近くにいるかもしれないですよね
    意外と自分がそうだったりして…

    「英吉の部屋」がお気に入りです

  • 愛――、それは気高く美しきもの。そして、この世で最も恐ろしいもの。
    毒島半蔵の歪んだ妄想が、この世を地獄へと塗り替える。
    虚ろな心を抱える吉美が、浮気を続ける亭主に狂気をぶつける。
    傷を負い言葉を失った、薄幸の美少女・まゆか。
    実の娘に虐待され続けている、寝たきり老人・英吉。暴風のような愛情が、人びとを壊してゆく!
    新堂冬樹にしか描けなかった、暗黒純愛小説集。

    毒島半蔵は、自分の醜い容貌などを棚に上げて、自分はもっと幸福であるべきなのにと、周りに自分の責任を押し付け逆恨みして迷惑行為を繰り返し、ついに取り返しのつかない破滅に向かって暴走する。
    亭主の浮気に気づいた吉美が、浮気相手から監視されてる妄想に取り憑かれ常軌を逸していく。
    周りの人達や家族すら虐げて、利益を貪ってきた報いを受けた英吉。
    彼らは、自分の欲望や妄想を押し付けて、拒否されると逆恨みして暴走して破滅していく。
    あなたのアパートの迷惑行為を繰り返す隣人、バスの中で見ず知らずの人に暴言や暴力を振るった人など、頭の中が、ズレている人のような身近な恐怖が、リアルに描かれている。
    また人肉とウジを具にした肉ウジチャーハンや腐った刺身や生ゴミがウジやハエが集る台所や黒ずんだぷよぷよした畳などのグロい描写が、ますます壊れた人間の狂気を凄惨なものにしてる狂愛サスペンスホラー小説。

  • 短編集ながら、1作の内容が濃く私はとても好きでした。他の人から気持ち悪いと思うようなところも、私としてはかなり好みに刺さって気付いたら読み終わってました。どのお話もすきですが、歪んだ愛のものから当人同士のピュアな気持ちの表現がある物もあり、おすすめです。

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著者プロフィール

1998年作家デビュー。2003年『忘れ雪』が大ベストセラーとなる。『ある愛の詩』『あなたに逢えてよかった』と続く“純恋小説”という新ジャンルを打ち立て、話題となる。著書に『動物記』『ブルーバレンタイン』など多数。近年、『虹の橋から来た犬』がスマッシュヒットとなる。

「2023年 『なごり雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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