がらくた (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339269

感想・レビュー・書評

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  • 江國香織作品はいつだって細部にお洒落が宿っていて、世の中を冷静に見せてくれる。

  • 「人は人を所有できるが、独占はできない。どうしても独占したいと望むなら、望まないものを含めたすべてを所有する以外にない。」
    狂気を感じさせたが確かにそうなのだろう。
    柊子の原さんに対する愛が狂っていて引き込まれてしまった。最後はうーん?って感じだったけど…

  • 主要な登場人物4人のうちそれぞれ2人にスポットライトを当てた4編の物語といった所だろうか。1話目を読んだ直後は、正直イマイチかもと思ったがそれぞれ読み進めるにつれて全体像が見えて面白かった。
    何故か女性作家が書く恋愛要素のある小説を好んで読んではこなかった。江國香織さんはその代表だったりするのだか、読むとそれなりに堪能はする。この物語に書かれた世界は私の生きてる世界とは全く別次元と感じるのだが、同じ世界線を生きてる人もいるのだろうか。でもそんな私が情景や雰囲気がイメージできるのはすごいなと思う。
    つい最近行った湘南のイメージに合う作品だと思った。

  • 大人にわかって貰えないあの気持ち。子供独特の。
    あの大人の事情とやらを出し、子供のもどかしさを感じさせる。

    愛情を不変のまま保存する事を、ジャム作りで表現した柊子に気づいた時に感心した。
    「原さん」の出現で周りの人物が「がらくた」になる美海は、真っ直ぐで独りでもの悲しい。

    子供を子供扱いしない事が、この小説の肝。

  • 愛するってなんだろうと考えさせられた。
    愛し合っていてもお互い他の身体を求めてしまう夫婦。
    「彼らが納得していればそれでいい」という言葉では済まされない悲しさを感じた。
    その人の全てを受け入れられるくらい好きになるってどういう感覚なんだろう。私なら苦しくて耐えられないと思った。
    美海ちゃんの境遇も悲しかった。

  • 風変わりな果実みたいに独特な、不完全だとしても完全な誰かを

    何処にでも行っていいのに、行けるのに、離れていても側に居てしまう夫婦、なんだろうとっても空くてしあわせだと思った。

  • 45歳で翻訳家の柊子は、母の桐子とともに訪れた海外のリゾート地で、15歳の美海という少女に出会います。帰国後も美海はしばしば桐子の家を訪ね、柊子の夫である原武男と二人で会うようになっていきます。

    「解説」の嶽本野ばらが述べているように、読者ははじめエキセントリックな母親と奔放な夫に取り巻かれながらも自分の位置をうしなわない柊子の立場から読んでいましたが、当初はミステリアスな美少女というキャラクターづけにすぎなかった美海の内面をていねいに追いかけるストーリーをたどっていくうちに、彼女の存在にすこしずつ厚みが感じられるようになり、しだいに美海が物語の主役となっていきます。

    登場人物の性格造形がいささかキャラクター的な作り込みになっていることは否定できないように思いますが、個人的にはこのくらい作品世界の特徴が明確な小説はけっしてきらいではありません。

  • 江國さんの小説のこういう人たちのことが分かってしまうような気がして、魅力的に映ってしまう。この価値観に近いところに戻りたがってる自分もまったく成長していないけれど、それを棚に上げれば彼女の作品はそういうところが罪だな、と思う。

  • 「がらくた」ってなんだ?

    絹のような優しい文体で綴られるハードボイルドな恋愛小説。

    女だったら美海に嫉妬するほど憧れるのだろうか ?
    男だったら柊子の夫に軽蔑と同時に深く感情移入をするのだろうか ?
    しかしこの物語の主人公はやはり柊子だろう。
    人を愛しすぎることはどれほど自分を傷つけてしまう。
    自傷愛とも言えるストーリーが江國香織の上質の言葉たちによって綴られる。

  • 子供と大人の中間で、大人が失ったものと手に入れたものを両方持っていて。いましかないってゆう種類の生命力。それがミミ。その時にその瞬間にしか存在しえないもの。それが凄く美しく、大切なもののように思える。

    不安定と不安定があいまって安定してゆく愛に狂気を感つつも引き込まれてしまう。

    遠い遠いものを見ているように思えるのに、あるときとても近くに感じるような、不思議な感覚。どこか掴み所のないような、そんな物語でした。

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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