デンデラ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101345536

感想・レビュー・書評

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  • 姥捨山に放置され死を待つのみだった老婆達が生き延び独自のコミュニティを形成する奇妙な話。『楢山節考』の様な命の尊厳について問うた厳しい話かと思いきや、とんでもないおとぼけサバイバルエンタメ小説だった。とても老婆とは思えぬ精神力と体力を持った山ガール達50人が飢えた羆と対峙する展開は笑わずにいられない。違和感溢れる台詞回しやです・ます調が緊迫感を退屈なものにしてしまったのが残念。ネタ的には面白い作品。素材はいいけど料理の仕方が…といった感じ。

  • 110519

  • 「村」には掟がある。
    70歳を迎えた老人は山に捨てられるが、そこで死ねば極楽浄土へ行ける。

    それを信じた斉藤カユは、しかし、同じく捨てられた老婆たちの集落「デンデラ」に保護される。最初は反発するカユだが、熊の襲撃、謎の疫病と戦ううちに生きる気力を取り戻していく。

    出てくるのは皆70歳を過ぎた老婆たちです。それだけでも新鮮な感じがするんですが、彼女たちの生への執念には脱帽する思いでした。

  • 童話調の地の文で、進む姥捨て山の共同体の話。
    主人公は死を受け入れていたが、姥捨て山の老婆だけの隠れ里に拾われる。主人公は隠れ里に疑問を持ちながら、里の方針、熊の襲撃、病気の蔓延に翻弄されつつ、終わったはずの人生の目標を考え直す。最後には、死を受け入れ熊を倒すため、命を懸けて熊を村に誘導する。
    童話調な感じや無茶な設定で、ファンタジー感が強い。

  • 最初から最後まで面白かったな〜
    ですます調で書かれてるのもよかったし、
    登場人物全員が70歳オーバーなのを考えると
    セリフ読みながら笑えた。
    AKBぽくて笑えるし
    終わり方もかなり好み。

  • パニックホラーかと思いきや、純文学?!

    この極限状態でも、老婆達のやり取りは知的で哲学的。

    禅問答のような会話が舞台シナリオのよう。
    熊の描写は吉村昭氏や熊谷達也氏のほうがリアルかも。


    生きるとは 死ぬとは?を 人生の先輩に問いたくなったらどうぞ!その代わり 熊もいます。

  • 私には合わなかった。読むのが苦痛で途中飛ばし読みしてやっと読了。

  • 設定が怖い。
    山に捨てられた老婆たちが自分の村をつくり、
    その村が熊に襲われる。

    救いがない。

    そして登場人物が多すぎる。

    こんなに、必要だったのかな。

    疑問が残ります。

  • 圧倒的な世界観。

    主人公のカユがお婆ちゃんなのはわかってるのに、頭にはなぜか若く美しい姿が浮かぶ。

    ヤバイ。
    この作品、ヤバイ。

  • カユの生きてきた村では男も女も70になったらお山参りをし、極楽浄土へ行く。カユが待ち望んだお山参りの番がきた。雪山で極楽浄土へ召されるのを白装束一枚で寒さと飢えに耐えながらひたすら祈る。しかし、目が覚めると死んでおらず、デンデラにいた。
    死にかけていたところをデンデラに拾われたのだ。
    デンデラには過去にお山へ行ったはずの老婆ばかり50人。聞けば、30年間もこうやってお山参りで倒れた老婆を拾い続け、集落をなしていた。

    カユは極楽浄土に行きたかった、つまりは死にたかった。しかし死ぬことを邪魔された。死にたい、極楽浄土へ行きたい、だがお山参りをし損なった以上極楽浄土への道は絶たれた。生きるしかない。村以上に貧しいデンデラで生きることは辛いことしかない、そうまでして生きるのに、生きたいのか、何をしたいのか、カユには本心が無い、大目標が無い。何もない。

    それぞれの老婆の大目標、やがてカユも大目標を見つける。
    とにかく面白かった。

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著者プロフィール

1952年北海道釧路市生まれ。
1974年に北海道教育大学札幌分校特設美術課程卒業(美学・美術史専攻)。1976年に北海道教育庁北海道新美術館建設準備室の学芸員、翌年には北海道立近代美術館学芸員となる。1985年北海道立旭川美術館学芸課長。1990年からは北海道立近代美術館に戻り、2004年同館学芸副館長。2012年から2022年まで札幌芸術の森美術館館長を務める。この間、それぞれの美術館で数多くの北海道ゆかりの作家の個展や現代美術展を企画開催。
現在、AICA国際美術評論家連盟会員、北海道芸術学会会員、北海道美術館学芸員研究協議会会員。また旭川市中原悌二郎賞、札幌市本郷新記念札幌彫刻賞、ニセコ町有島武郎青少年公募絵画展、北海道陶芸展などの審査員を務める。

「2023年 『北の美術の箱舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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