シズコさん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.78
  • (69)
  • (93)
  • (79)
  • (19)
  • (3)
本棚登録 : 994
感想 : 122
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101354156

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私自身は母との関係は悪くはなく、素直に感謝もしているので、あまりこの本に共感はしない。

    ただ、この人の放つ個性の根源がここにあるのだと理解した。

  • “母親”という幻想の生き物に囚われ、多大な期待と愛情を求めた。それが満たされない気持ちを、“嫌い”だと表現し、本当は「大好き、どうか私に振り向いて」言っているように聞こえてならなかった。言葉の端々に、最初から最後まで。

    散々、嫌いだと言っている反面で、7人の子供を産み(そのうちの3人を亡くした)家事を上手にこなし、夫にも先立たれた女手の身で4人の子供を大学まで出し、家まで建てた母親を尊敬し讃えている。

    親子でも夫婦でも他人でも相性があり、関係を形成する事は決して容易くはない。諦めたら終わりだけれど、諦められないと苦しくて面倒くさい。

    本書は佐野さんの母親に対する愛情を存分に書き記したものだ。と、同時に遺書だったのではないか。



    「私も死ぬ。生まれて来ない子供はいるが、死なない人はいない。
    夜寝る時、電気を消すと毎晩母さんが小さな子供を三人位連れて、私の足もとに現れる。夏大島をすかして見る様に茶色いすける様なもやの中に母さんと小さい子供が立っている。
    静かで、懐かしい思いがする。
    静かで、懐かしいそちら側に、私も行く。ありがとう。すぐ行くからね。」本文238ページ

  • 義母の介護中に読みました。佐野さんの実母との関係は、恐ろしいほど共感することばかりですいすい読めました。この先来るであろう実母との時間を思いながら。義母との介護生活はほんとにいい時間だっただけに、わだかまりのある実母との関係を、未提出の宿題のように思い出していました。

  • 佐野洋子さんの晩年の母と娘を書いたエッセイ。
    中国で幼少期を暮らし、日本に帰ってからは、兄と弟をなくし、子どもにこぶしをふるうようになった母との関係。

    時々繰り返される場面、同じ人を書いているのに別人かと思われるようなエピソード、晩年の佐野さんが、つかえていたものがあったとしたら、全部書き出すことが出来たらいい。
    良いだけも悪いだけもないんだと、教えてもらった気がする。

    母のことが嫌いな娘がけっこういるのだ…と、少しだけ息をつけた。
    嫌いだと思う別のところでかわいそうだと思う気持ちも。
    どこかで、このぐちゃぐちゃな気持ちが混じりあうこともあるのか

  • この前の白いしるしの本の中に、
    以前借りた人の、貸し出しレシートが挟まっていて、
    その人は、
    西加奈子さんの白いしるし
    夏目漱石のそれからと三四郎
    そして、佐野洋子さんのシズコさん
    たぶん登場人物の、名前が題名の本が気になって、
    この本にたどり着きました。

    娘の洋子さんが、母親に対するシズコさんへの思いの本。

    読んでて、小説ではほとんどない?
    なんども同じことが何回も出てきて、
    なんかこの本の良さがわからず、
    早く読み終えたいなぁとも思ってた。
    でも、最後の22のところから、
    紙のロールみたいなものが、
    いろんなきれいなもので開くように、
    どんどんどんどん開いていった
    その訳は、たぶん洋子さんがやっとお母さんに素直になれたからだし、
    ずっと、お母さんに対してうまくいかない洋子さんも見ていたからかなぁ?

    呆けるって人間を越えられることなのだろうか。
    って洋子さんが書いてた。

    最後作者の作品見ると、
    佐野洋子さんって、100万回生きたねこを書いたかたでした。
    小さい頃、にぃーちゃんと私によく絵本を読んでくれた
    お母さんが、 読んでくれた絵本のひとつだ。
    わたしも、お父さんとお母さんが、
    じぃーちゃんばぁーちゃんになるなんで想像できないけど、
    お母さんがいつか言って、
    長生きするお母さんを見るのも辛い。ようなこと言ってた。
    呆けることは長生きのおまけかなっ?
    って。
    こころもからだも元気にいきたいもんです

  • 名作絵本として名高い「100万回生きた猫」の佐野さんが実母とのこじれた関係を赤裸々につづった自伝は私には共感できる部分がひとつも無くて読み進めるのがとてもつらく時間がかかりました。母との不仲を心苦しく思っている人ならば読む価値はあると思います。

  • 旅のお供として。図書館の無料持ち帰りコーナーで見つけたもの。文庫本だから、ともらってったのをようやく読んだ。確執のあった母に対してのエッセイ。実話なんだろう。同じエピソードが何度も出てくる。母が高齢になって認知症になって施設に入れてからの日々と過去が入り乱れて出てくる。これを母の日の前日に読んだのも何かの縁だなぁ。ほんと母とよい関係でいれることをありがたく思う。こんなにいじめられた覚えはないし。弱い母だとは思っているけど。佐野洋子が谷川俊太郎と結婚したことがあったなんて知らなかった。離婚してるけど。しかしこんな和解する日がくるなら、ボケるのも悪くないんだろうな。しかし毒親という言葉ができるくらいだからな。やっぱ時代によって人間関係も変わるんだろうなぁ。弟の嫁のことをけちょんけちょんに言ってるけど、すごいよな。

  • 不快。まだ親のおいを受け入れられないせいか、実習でみた老人ホームの匂いを受け入れられないせいか。

  • 「最後に口紅をつけて口を結んで『ムッパッ』とすると別人の母が仕上がるのだ。」
    そうそう95歳の私の母も「ムッパッ」してました。母の名は「シヅ」という。洋子さんは実に正直な人だと思う。最終章に近づくほどに笑いと涙。二人のベッドインの会話は・・・・・
    私の母は要介護5を取得。満面の笑顔で私に問う、「どちらさまですか?」。返事はにっこりと笑顔だけ。そして我が家にも佐野さんの絵本「100万回生きたねこ」が有るのにビックリ
    米子さんに貸したが音無し

  • 母親が「貴方には貸したくない!読まれたくない」って渡さないのを無理矢理、パクって読んだ一冊。読了後、直ぐに思った事は・・・これだけ母親との事を思い出せて語れるんだから、好きなんだなぁ~て思った。本当に嫌いだったりしたら、、何一つ語れないし思い出すらないから。(経験上w)何だかんだ言って、ここまで母親を語れるんだから、、愛してきたのね・・・て思ってしまいました。

全122件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家。ベストセラー『100万回生きたねこ』のほか『おじさんのかさ』、『ねえ とうさん』(日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)など多数の絵本をのこした。
主なエッセイ集に、『私はそうは思わない』、『ふつうがえらい』、『シズコさん』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『死ぬ気まんまん』などがある。
2010年11月逝去。

「2021年 『佐野洋子とっておき作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐野洋子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×