忘れないと誓ったぼくがいた (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101354811

作品紹介・あらすじ

大好きなのに、いつまでも一緒にいたいと思ったのに、ぼくの心を一瞬で奪った君は"消えてしまった"。君の存在を証明するのはたった数分のビデオテープだけ。それが無ければ、君の顔さえ思い出せない。世界中の人が忘れても、ぼくだけは忘れないと誓ったのに-。避けられない運命に向かって必死にもがくふたり。日本ファンタジーノベル大賞受賞作家による、切ない恋の物語。

感想・レビュー・書評

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  • あらすじ:自分の存在が人の記憶から消される女の子にある男の子は一目惚れをする。その事実を知った男の子はその女の子の存在をなんとか記憶に食い止めようと色々な努力をする…。

    感想:現実的ではないお話で、少し物足りないような気がする。

  • 読みやすかったけど、なんか物足りないような…。

    その後は消えておしまい?
    エピローグにもう少し織りこんで欲しかったな。

  • 大学受験を控えた高校三年生・葉山タカシはが織部あずさと
    初めて出会ったのは、地元の眼鏡ショップ。
    一緒に眼鏡を選んでくれた「織部」さん波長がピッタリ一目惚れ。
    しかし、何故か彼女の顔立ちをほとんど憶えていない…。
    眼鏡を受け取りに行った時会える事を期待するが、
    対応してくれた店長も「織部…?」あやふやな対応…。
    偶然にも同じ高校で彼女を見掛ける…。


    存在が、時々消えてしまうと言うあずさ
    あずさ自身が消えてしまうだけでなく、周りの人から忘れられてしまう…。
    その頻度が多くなるにつれ、周りの人に完全に忘れ去られる。
    タカシは、大好きな彼女を救いたい!
    この奇妙な現象を止めたい!
    自分が忘れなければ、止められるのではないかと
    彼女との出来事を全てノートに記し、毎朝全て読み直し思い出す。
    忘れたくない!忘れるものか!
    あずさの事を自分だけは忘れない!
    タカシが受験勉強も投げ出し、日々の生活も滅茶苦茶に陥りながら
    ノートに記し、ノートを一から読み思い出すを繰り返す。
    真っ直ぐな愛情の深さに胸が締め付けられた。
    その様子は、苦しかったなぁ。切なかったなぁ。

    何だか、ある種死ぬより辛い状況を作ってる。
    そして、エピローグ
    切ない!切ない!切ない!
    一生忘れられないよね…。
    それでも、前向きに進むタカシ

    読了感は、切なかったけど爽やかだった。

  • 近い将来に自分が『消え』て、みんなから忘れ去られてしまう。
    自分の大切な人がそうなったら耐えられないな。
    それこそタカシのように、なりふり構わずつっぱしってしまうかも。

    記憶って曖昧。
    だから私は記録するのが好き。
    でも、その場の感じって、その時にしか味わえないんだよね…。

  • 主人公の初恋の相手・織部あずさは何の脈絡もなく、突如として姿を消す特異体質とも言えるような性質を持っていた。彼女の意思に反して消えてしまい、周りの記憶からも存在自体が抹消されてしまう。あらゆる記憶媒体に残すなどして、なんとか彼女をこの世に留めようと運命に抗う。

    ———

    どうやら平山瑞穂という作家は、一作ごとに作風を大胆に変えることで有名らしい。それもあってか、初めて読んだ同著の作品「あの日の僕らにさよなら」とは、まったく違う印象を受けた。本作は、ライトノベルかのように文体がとても軽やかだったので読みやすかったものの、起伏のないストーリー展開に少し退屈さを感じてしまった。

    読み終える寸前までは二点で考えていたが、最後のビデオテープに吹き込まれた人生の有限性を訴えるセリフが心に響いたので三点にした。

  • ストーリーは面白いのに、なかなか読み進められませんでした。そんなに文量はないので、著者さんの作品は初めてだったので、読み慣れていなかったからかなぁと思います。

    中盤から終盤が、同じような話の繰り返しのように感じられました。もう少し決定的なシーンとか台詞があって、2人の結びつきが感じられればよかったかな、と。

    違う表現で、このストーリーをもう一度読んでみたい


  • ストーリーは悪くないのだが、文章表現があまり好きになれない。
    「忘れたくないのに忘れてしまう」というような表現が繰り返し出てきてくどい。
    たしかに序盤と終盤ではその気持ちの重さは大きく違うとは思うのだが、何か違う表現方法で切なさを描くことはできなかったものか。

    主人公とあずさの関係性があまり変化していないように見えることも問題。
    あずさが消えないように何かしようとするも何もできず、かといって思い出を残そうという方向にも行かない。
    そういうわけで、印象に残ったシーンがない。

    最後のあずさからのメッセージも、それまで何かに打ち込んでいたり、何かを諦めた描写もないのに、あんなことを言われても・・・・・・と思ってしまう。
    バイトをいろいろやっていた理由も、最初に話した時に話せばよかったのに。

    あまりあずさの心の中を知ることができなかったのが残念。

  • 存在が「消える」という不思議な現象が彼女の身に起きている。単に姿かたちが消えるだけでなく、彼女の記憶ごと世界から消え、忘れ去られてしまう。
    その運命を静かに受け入れようとする彼女と、そんな彼女と出会い、惹かれ、彼女を忘れないと誓う主人公の僕。
    非現実的な設定ですが、その現象がなぜ起こっているのかという理由や説明は全く必要性を感じません。
    死とは違うやりきれなさ。
    どんなに大切なことでも、どれだけ相手を想っても記憶は消えるという選択肢しかない。不条理な運命に抗う主人公の必死さがせつない。

    こうした現象がなくとも、大切で大事な記憶も時間が経つとどんどん曖昧になっていく。忘れたくない記憶、忘れてしまう記憶、どうしようもない事実についても考えさせられた。

  • 『なんていうか、弱みを握られている安心感っていうのがあるのかな。変な言い方かもしれないけど。ほっとするんだ』

    『本当にやりたいこと。ぼくにとって、それは何なのだろう?今まで、それを真剣に考えたことが一度でもあっただろうか。〜〜何がしたいかを本気で考える前にどうせ無理だろうと決めつけて、自分で道を狭めていはしなかったか。』

  • 自分の記憶なのか、記録から再現した想像なのか、曖昧なところは、幼い頃の記憶とよく似ている。
    記憶とはなんなのか。覚えているというのはどういう状況を意味するのか。

  • 主人公「ぼく」の想いが、苦悩が、とにかく切なくて、美しい物語。テーマは一貫していても作風が毎回変わる平山瑞穂さんの作品の中で、この本を最初に手にとることができたから、他の作品も読もうという気持ちになったんだと思う。幸運だった。 記憶というよくあるテーマで、こんなに真正面から恋愛小説を作れるとは・・・最後の最後まで、呆然とするくらい切なくさせてくれる。
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    再読。出かけるとき、とりあえず鞄に入れて、好きなところから何度も読み返している本。色々な視点で読めるけれど、理屈を抜きにして、ただ真正面から心を震わせたい。想いが記憶になっていく辛さの先にある、「記憶」が「記録」になってしまう切なさを、そのまま読みたい。大切なもののために一所懸命になるこの物語に、自分の綺麗だった心を閉じ込めるように。”悲しい”と公式のように唱えていたあずさが、最後に「悲しい」と言って消えていった変化が、いつまでも印象に残る。

  • 本当の死は忘れられること、というのはよくあちこちで聞く話だけど、忘れられることを生きるあり方を描くこの作品は、唯一無二ですね。

  • 誰からも忘れられてしまう少女。その少女に恋しながらも脳から抜け落ちるように彼女に関する記憶が削除されていく。絶対に忘れないと抱きしめたはずなのにその瞬間に彼女はいない。次第に追い詰められていく彼は彼女が消えてしまう事を防ごうと足掻き苦しむのだが・・・。

    自分をいくら覚えて貰っても、次会った時にはすっぽりと忘れられてしまうとはなんとも辛い。世界で一人ぼっちと同じですもんね。知り合いがいないだけなら作ればいいけど、忘れられてしまうならば全くの無意味です。
    名作とは言わないけど面白い本でした。

  • 私にとって今まで読んだことのない話でした。現実ではあり得ないけど、ふわふわ、透明感のある作品でした。主人公やあずさの心の動き、切なさが印象的。主人公のラストの選択もとても好きです。

  • 「忘れないと誓った僕がいた」平山瑞穂◆やがて存在が消えてしまうと言う少女あずさと出会ったタカシ。彼はとにかく彼女が《消える》ことを全力で阻止しようとし、一方で彼女は悟ったようにその時を待つ。ありえない設定ですが、全く気にならない。物語全体が瑞々しい青。ベタベタしていなくて、好き。

  • 余命ものよりもはるかに切ない。

  • 映画を見て、原作も読んでみたいと思って購入しました。
    原作の方が描写が丁寧で、文章から情景がより浮かびますが、映画も決して悪くなかったです。
    演技という点ではいたらない部分もあったでしょうが、早見あかりさんのみずみずしい存在感は想像していた以上で、消えていくあずさの存在に大きなコントラストをつけたと思います。
    映画でじんわりしたあと、原作でじっくり感情移入して泣けました。
    よくあるファンタジーモノと偏見を持たずに、多くの人に読んでもらいたい良作です。

  • これは良かった
    死 じゃなくて 消える

    これは面白い。自分も死ぬじゃなくて
    消えたいと思ったことがあったから

    これができたら良いと思ったり
    悲しんでくれる人がいて幸せだともおもった

  • 思ってたよりもファンタジー要素が強かった。それにしては他の設定が普通で、なんだかちぐはぐな感じが…。
    いまひとつのめり込めなかった。

  • いちご同盟みたいな話だった。早見さんの出演はさておきこれが日大芸術学部映画学科卒の堀江さん監督で映画化されることがすごくグッとくる。

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著者プロフィール

平山瑞穂(ひらやま・みずほ)
小説家。1968年、東京都生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年に『ラス・マンチャス通信』(角川文庫)が第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。著作には、『忘れないと誓ったぼくがいた』(新潮文庫)、『あの日の僕らにさよなら』(新潮文庫)、『シュガーな俺』(世界文化社)、『プロトコル』(実業之日本社文庫)、『マザー』(小学館文庫)、『四月、不浄の塔の下で二人は』(中央公論新社)、『午前四時の殺意』(幻冬舎文庫)、『ドクダミと桜』(新潮文庫)、『さもなくば黙れ』(論創社)など多数。評論に『愛ゆえの反ハルキスト宣言』(皓星社)、エッセイに『エンタメ小説家の失敗学』(光文社新書)など。

「2023年 『近くて遠いままの国 極私的日韓関係史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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