王国〈その1〉アンドロメダ・ハイツ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359342

作品紹介・あらすじ

「あんたは山を降りなさい」。薬草のお茶で身体の悪い人を癒してきた祖母の言葉が、十八歳になった雫石の人生を動かす。自給自足の山の生活を離れ、慣れぬ都会で待っていたのは、目の不自由な占い師の男・楓との運命的な出会い。そしてサボテンが縁を結んだ野林真一郎との、不倫の恋だった。大きな愛情の輪に包まれた、特別な力を受け継ぐ女の子の物語。ライフワーク長編の幕が開く。

感想・レビュー・書評

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  • 「つまりはちょっとゆがんたおとぎ話だ。」
    このお話のことを雫石は本の冒頭でこう称した。
    ゆがんでいる?
    私にはそうは思えなかったけど、2冊目、3冊目と読み進めていくと印象が変わるのだろうか。
    でも、この物語は優しい。
    優しいと感じるのはもしかしたらゆがんでいるからなのかもしれない。
    逆にゆがんでいないものって何だろう?
    きっと触れたら痛いんだろうな。

    物語の中のサボテンの描写に懐かしい気持ちになった。
    少しの間一緒にいてくれたあの子のことを思い出して。
    ひどいことをしてしまった。本当にごめんなさい。

  • なんだか面白そうだったから手に取ってみた。スラスラと読み進めることができた。まだ最初なので今後どうなっていくのか楽しみ。どうなっていくのか。

  • 何かしてあげている気になったら、おしまい。
    正しい時間をかけて、謙虚に。

    忘れちゃいけないね。

  • 今まで読んだ中で一番よしもとばなな色が強かった気がする

    よしもとばななの本は、字数を割くポイントが自分に合っているんだなと思った
    優しさとか、温かさとか、そういう大切なものを、ものすごく丁寧に、いろんな角度からいろんな言葉で書いていて、やっぱり素敵だなと
    そこに費やされている字数から、そのものの深さや尊さがわかる

    安直なので部屋にパキラを置きたくなったし、なんならサボテンとお話しできないだろうかとか考えてる

  • 山のなかでおばあちゃんと一緒に薬草のお茶を作っていた雫石が都会にやってきた。

    サボテン好きの男性と不倫し、目のよくない占い師・楓の手伝いを始めるが、住んでいたアパートが火事になってしまう雫石。

    楓と片岡さんが日本を離れる間、雫石は楓の家に住ませてもらえることになった。都会で出会った人たちの色んな種類の優しさに守られて彼女の生活は続く。

    ---------------------------------------------

    山の暮らしと町の生活がぜんぜん違うのはわかるけど、ずっと”山と比べて都会はこんなに違う”と言い続ける雫石はどうなんだろうと思ってしまった。
    前の学校の話を続ける転校生みたいで、それじゃいつまで経っても馴染めないんじゃないかと不安になってしまう。まあ、優しい人たちに囲まれているから大丈夫なんだろうけど。

    アパートのおかしな隣人への雫石の態度もちょっと違和感があった。そんなにネガティブな気持ちで接したら相手にも伝わってしまうのでは、と思った。結果的に薬で狂って殺し合った上にアパートまで焼いちゃったからどうしようもない人たちだったんだけど、もっと何かあったんじゃないかと思えてしかたがない。
    不倫してる自分を肯定的に見てるのも、うーんなんだかなあ、という感じ。

    複雑な気持ちのままその2へ続く。

  • ばななさんの作品は開くとき宝物を開けるみたいで、どきどき。読んでみると期待を上回る世界で至福の一時でした。ほっこり。ばななさんにしては、珍しく長編小説なので続きが楽しみ。

  • 幸せってほんとに繊細で、ひとのたった一言で、たったひとつの振る舞いで、舞い上がりもするし、壊れてしまうこともあるんだな。
    ぎりぎりの選択をした人たちの物語。
    すごく強くて、美しくて、切なくて、3人の気持ちを思ったら、ぽろぽろ涙が出た。

  • 素敵な小説だ。
    もっと早く読めばよかった。
    この本を薦めてくれた人がいて、その人に感謝しなければ。
    でも連絡とれないな。
    cloverさんありがとね。

    続きも読まなきゃ。

  • 森で暮らしていた雫石が街に降りてきて、生活を始める。まるっきり自然の中で暮らし、研ぎ澄まされた感性を持つ雫石が街で生活すると、いろいろと感じてしまうものがあるだろうな。今後の展開が楽しみ。

  • 植物を大切にしたくなる。
    男と女ってペアリングがださく見えてくる。

    (シリーズ四部作通しての感想)

  • 私が今求めているようなことが描かれていて、不思議だった。出会うときに出会ったと思えた一冊。
    静かな心を取り戻してくれるようで、しとしと雨が降る静かな夜長にぴったりでした。
    シリーズものでうれしい。

  • 心が弱ったときに読みたい本。今は元気になったからかなー、ちょっと思い出せなかった。いろんな大切な言葉いっぱいあったはずなのになー。

  • 大きな流れに乗ってる安心感。
    どんなにせこせこ歩いたって、来るときは来るし、来ないときは来ない。だったら、もっと慎重にゆったり時間を渡って行きたい。
    じーっと葉っぱを眺めたり、雲の流れで夕方の天気を考えたりした、あの時代にいつかは戻っていきたいなって思う本でした

  • 絵本を読んでいるような優しい描写の物語り。そして言葉が絡まり合っていて、心に響きました。

  • 優しい言葉遣い、温かくなれる。

  • よしもとばななさんにハマりそうな予感を感じた。
    あと、文庫本安すぎないですか、学生さん用に安くしておいてほしい一方、作者と本屋さん用に大人からはもう少しとってもいいような…

  • ◯その変化には、たとえ毎日そこで暮らしていても、
    絶対になれる事は無い
    ◯「ずっと変わらない生活なんて全然面白くないよ」
    ◯ありがとうと繰り返し、何回も振り向き、涙でにじんだ私のふるさとを後にした。
    ◯携帯電話の窓に「真一郎君」という次が出ると、私はそれだけで幸せになり、夜道で家の明かりを見た時みたいな気持ちになる。真一郎君の寝顔やいびきなんかを思い出して、早く会いたくなる。体に触りたくなるし、声を聞きたくなる。肩に顔を埋めて、あの落ち着いた匂いをかぎたくなる。   

    好きな描写たち✨

  • 美しい物語だった

  •  現実とはややかけ離れ設定ながら、人の温かさや傲慢さなど、悲喜こもごもが集約されている作品。寂しいとき、心が一人ぼっちになっているとき、そういうときに寄り添ってくれる人がいるというのは大変ありがたいもの。それが人の素晴らしさでもある一方で、そこに嫉妬や妬みなどの感情が沸いてしまう人がいることも事実。
     また、ある人の発するオーラというか波長というか、そういったものを敏感に感じ取れるという人もいる。世の中には様々な人がいるのだが、あたたかく見守るということも大切なことだと感じる。
     最近では、譲り合うとか思いやるということも減ってきたのではないかと感じてしまう。

  • 狭くともしっかりと足を地につけて生きている主人公(*^^*)

    続く王国2が気になります。

  • ほうっとうっとりしたため息が出たり泣きそうになったり。真摯で優しいけれど力強い。癒された。

  • 登場する男性がみんな松田龍平の顔でイメージされました。色白の賢そうな人。

    記憶を見ることのできる男と、植物の力を知り尽くした助手の物語。

    現代とファンタジーの世界観のミックスなのですが、私的にはどちらかに振り切ってほしかった。
    一巻だけでは物語の展開もザ恋愛小説ってかんじなので、ちょっぴり物足りなかったです。

  • 失恋したとき涙しながら読んだ。いたかった。

  • 自然の中でいかされていること、がわかる。
    よしもとばななさん、ひさしぶりに読んだけどやっぱりいいです。その3まで、一気に読みました。
    その4を、なんとかてにいれたい。
    人間のつながりって、いいなぁと思う。切なさやあちかさ、思い合うこと、心の中の違いが分かるー。嫌に思う人の、感じがとてもわかる感じです。
    合う人、合いそうな人は大切にしたいと思えた。

  • 4巻に譲る

  • 中学生のときに読んで、今でも癒しを欲しているときに、たまに振り返ります。
    私はこの世界観や雰囲気がとても好きです。
    すごく若いときに読んだため、その後の考え方にも影響を受けていると思います。

  • やさしい気持ちになれる。なんだかふんわりと包まれたような気持ち。

  • 久しぶりの吉本ばなな。
    すーっと入ってくる物語で、どこか自分の味わったことある感情が呼び起こされるような。薄くパッと読めるので良い、すぐに続編を購入した。

  • サボテンと雫石と楓の物語。その2に向かいます。

  • はじまりに書いてあった詩がきれい

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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