淋しい狩人 (新潮文庫)

著者 : 宮部みゆき

• 新潮社 (1997年1月29日発売)

感想・レビュー・書評

[くーさんの感想 · 2017年7月4日]

　この本を読むのは２度目になります。
　タイトルのイメージとは裏腹にこの本を２度目に手にしたとき、「あ、これ楽しかった本だ」と初めて読んだときに感じた思いが甦りました。そして都合のいいことに肝心のオチを忘れていて、新鮮な驚きも感じることができました。
　古本屋田辺書店の店主イワさんの周囲で起きる不可思議なミステリーを描いた短編集です。孫の稔とイワさんの関係がとても好きでした。

[nogiyunaさんの感想 · 2017年4月2日]

(2017-04-02L)

[nob274さんの感想 · 2017年3月19日]

既読でした。
古本屋のオヤジを中心に描く短編。短編だけに気軽に読めるけど、模倣犯や楽園に通じるような人間の嫌な部分を見せるようなとこもあり。

[のり坊さんの感想 · 2016年12月21日]

志賀直哉に勝るとも劣らぬ純文学の騎士　宮部みゆき
「詫びない年月」が良かった。深い！

[mai0430さんの感想 · 2016年12月5日]

田辺書店が出てくる連作短編集。
田辺書店の雇われ店長のイワさんと、高校生の稔を中心に引出物の本「歯と爪」に隠された秘密、自費出版の本が大量に棚に合った父と息子の話、棚から拾った文庫本に挟まっていた名刺の相手に会いに行った、女性の話。

あとがきにあるように、稀覯本をめぐる蘊蓄やこだわりの本好きは出てきません。イワさんのたちの家族や、出会った本で自分の生き方が変わる人達の物語です。
古書の買取も書いてあって古本業界もちょっと覗ける楽しみもあります。

[コハマさんの感想 · 2016年11月28日]

古書店。祖父。孫。親友から託された古書店で店主として頑張るイワさんと孫の稔。古書店に持ち込まれる謎を解決していく。ミステリだけでなく、祖父と孫の関係、家族の関係も描かれていて、宮部さんだーって感じる。何度目かの再読。

[tatsuyaokamotoさんの感想 · 2016年10月2日]

ミステリー小説の短編集。舞台は古本屋、そこの店主とその孫を中心に話が展開されていく。経過や結末にはわりと残酷なことが書かれていたりするのだが、背筋に寒気を覚えることはない。「心あたたまる」なんていう読了後の他の書評も見受けられる。それがこの作者の強みなのかもしれない。強烈なインパクトを求める読者には物足りないだろうとは思う。

[月花さんの感想 · 2016年7月28日]

読み終わってから発行された日付を見て驚いた。いつ読んでもどこか新鮮に感じる物語はずっと読み続けられる。

[immrmさんの感想 · 2016年5月13日]

再読だが、最初に読んだのがかなり前で、祖父と孫が開いている古本屋の話であること以外は忘れていた。
持っている新潮文庫の表紙の絵がこれとは違ってた。

けっこうきつい事件を、喪失感でなく希望でもなく現実的に、しかしじんわりと感じて終わらせるのは宮部ワールド。

以下、読書メモ。

六月は名ばかりの月
結局犯人は被害者。途中からなんとなく何かあると思ったが。

黙って逝った
亡くなった父親の書棚に300冊の同じ本が。
父と息子、本の作者とその息子の、それぞれの関係と偶然。

詫びない年月
家の建て替えのために取り壊したら、防空壕から遺体が出てきた。その家の惚けたご隠居さんの行方がわからなくなったが、その行き先が、、、

うそつき喇叭
万引きをした少年は虐待を受けていた。盗もうとした「うそつき喇叭」という児童書の内容が、虐待事件と重なり、やりきれない。

歪んだ鏡
電車の網棚に置かれていた文庫本に名刺がはさまれていた。なぜ本が置き忘れられていたか、名刺が栞代わりになっていた理由はなぜか、名刺の人物はどういう人か。
秘密はその本「赤ひげ診療譚」の内容に隠されていた。

淋しい狩人
事故で亡くなった（と思われていた）ミステリー作家の未完の小説が事件を引き起こす。その小説のタイトルが本編のタイトル。
孫と水商売女性との恋も祖父との間に問題を引き起こす。

[harupinnnさんの感想 · 2016年2月26日]

本屋のおじいさんとその孫が出くわすストーリー。さまざまな犯罪に巻き込まれたり、その一方で孫の成長もあり、面白かった。こういうの、本好きにはいい。一つのものだと思ってたものが蓋を開ければ全く関係ない二つのことが偶然くっついてただけという、他の物語だと別々のものが実は一つの筋になってたというのがほとんどだから、いつもと逆で面白かった。

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。