模倣犯3 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369266

感想・レビュー・書評

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  • 『俺は知ってる、お前は俺が知ってるってことを知ってる、俺が知ってることをお前が知ってるってことを俺も知ってる、だから仲良くやろうぜーー』

    『十月の残りは、ある日はダンスする少女のように軽やかに、ある日は死にかけたかたつむりのように鈍重に過ぎていった。』

    「どうしてこんな目に遭わされるのかが判らない。納得がいかない。何故だと問いかけても、答えてはくれない。恨みがあったとか、愛情が憎しみに変わったとか、金が目当てだったとか、そういう理由があるならば、被害者の側だって、なんとか割り切りようがある。自分を慰めたり、犯人を憎んだり、社会を恨んだりするには、根拠が必要だからね。犯人がその根拠を与えてくれれば、対処のしようがある。だけど最初から根拠も理由もなかったら、ただ呆然とされるままになっているだけだ。それこそが、本物の『悪』なのさ」

    『よくない考えは、抱かないに越したことはない。よくない予想するという事は、その予想に向かって呼びかけると言うことだ。その結果、それまでは彼女の存在に気づいていなかった「よくない出来事」が、彼女の方に寄ってきてしまう。』

    『嘘をつくのは易しい。難しいのは、ついた嘘を覚えておくことだ。』

    「社会が求めているのは真実だの真心だのなんて安っぽいものじゃなくて、極上のストーリーなんだ。美しい筋書きこそが、本物の力思ってるんだ。こいつには、どうやらそれが理解できないらしいけど」

    『思い出なら星の数ほどある。どの思い出も星のように輝いている。高井和明の追憶という小宇宙のなかには、思い出と思い出が結びついて形を成した星座がいくつもある。そこにも、ここにも。』

    『記憶、記憶、記録。人間は記憶そのものだ。唐突に、そんな洞察が頭の底の方で閃いた。たくさんの記憶を、皮膚と言う皮一枚でくるりと包み込むと、それが人間になる。子供から大人へと成長するにつれて身体が大きくなるのは、それだけ中身の記憶の嵩が増えていくからだ。』

  • そうか、あれは事故だったんだ。ってのが一番の驚き。最初は3人とも被害者だと思ってて、この巻を読みながら“ピースが罪を擦り付けるための謀略か…”っていう風に思い直したけど、最終的に普通に事故ったとは。でも考えてみれば、それが一番もっともらしいですわな。犯人二人が思い描いていたドラマは、思いがけない結末を迎えたけど、この後、残されたピースはどんな幕を開ける?ってのが、後半にかけての見所でしょうか。それにしても、ここまで長編のミステリって、果たして”もつ”かしら?とか思っていたのは、完全に僕の杞憂でした。まあ、作者の技量からすれば当たり前だけど。それにしても先の展開が楽しみです。

  • ヒロミもかわいそうな人間だった。この先はどうなるのか。

  • 今年のお正月に1巻を読み始めたが
    複雑な内容から3巻の途中で中断していた。
    年内で読み終わることを目標にメモを作って再挑戦。
    和明の浩美への想いを知り、語りかける言葉に心動かされたけど、
    運転中に浩美の姉の話をしちゃダメでしょ。
    やっぱり和明は和明なんだとがっくり。
    浩美と和明は交通事故はピースの仕組んだことではなかったのね。
    ピースの初登場時から気になっているんだけど、彼は何者なんだ?
    梅田事件の被害者の息子ではないかと思っているんだけど
    動機が全く見えてこない。

  • 車が転落し、二人の犯人と思われる男性が死亡するという話から進む。
    この二人が犯人なのか真相解明がすすまれていくが、確証もなかなか得られずで、そうしている間にも二人の容疑者の家族は世間から追い込まれていき、心の病気になったり、その土地に住めなくなったりとすさまじい・・・
    カズの優しすぎる人柄が悲しくなる話。
    「こういう女性が巻き込まれる犯罪は、狙われて殺される方にだってなんかしら落ち度みたいなものがあったはずなんだ、だからうちの娘は大丈夫という感情が一滴、二滴と添加される。」
    表現の仕方もあるが、含みがすごい印象を与える。

  • 2014/10/12読了。

  • 2014.10.12読了
    確か2巻で男2人が死んだとこまで書いてあった気がするのだが。3巻はそこまでの流れとなっている。ここからは、ピースvs警察か、カズの家族ってところか。けど、カズは死んで欲しくなかったなぁ。どーなるんだ?って所。早く読まないとスッキリしない感じだ。

  • 2014/09/21 - 2014/09/22
    群馬県の山道から練馬ナンバーの車が転落炎上。二人の若い男が死亡し、トランクから変死体が見つかった。死亡したのは、栗橋浩美と高井和明。二人は幼なじみだった。この若者たちが真犯人なのか、全国の注目が集まった。家宅捜索の結果、栗橋の部屋から右腕の欠けた遺骨が発見され、臨時ニュースは「容疑者判明」を伝えた――。だが、本当に「犯人」はこの二人で、事件は終結したのだろうか?

  • 悲劇の予感はここにして回収され、当初僕が予想していたものよりも残酷な展開であった。しかし、この先により一層残酷な仕打ちが待っているのは明らかである。

  • 模倣犯<一>のレビューご参照。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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