ソロモンの偽証: 第Ⅲ部 法廷 下巻 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.21
  • (696)
  • (675)
  • (258)
  • (39)
  • (5)
本棚登録 : 5749
感想 : 541
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369402

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 夜中の3時まで止まらなかった。神原君が柏木君を死なせたんじゃないかすごく不安で最終日の法廷が気になって仕方がなかった。
    真相にたどり着いたので、読み終わった後の満足度も高い。
    柏木君の遺書は全て読みたかった。理解出来なかったと思うが…

  • ついに完結!柏木の悪意に驚き。だけど神原が本当のことを言っているとは限らないと私は思う。結局死んだら負け。自殺は真実を永遠に遠ざけ、大切な人々を傷つける。「負の方程式」で見えた弁護人と検事のその後にニヤリ。

  • 不器用で手探りで
    真実という結論を導き出したとき、
    とにかく興奮せずにはいられませんでした。
    だから読書って面白いんだ、って確信しました。

    勝ち負けだけではなく、真実を見つけるために奔走した夏休み。
    もしかしたら10年後、20年後には何も残っていないかもしれないけど。
    ひとつの死によって、たくさんの事件や出来事が絡み合って、とにかく息つく暇もなく、読み終えました。

    スピンオフの作品も入っていて、大人になった涼子に出会えます。
    とても贅沢な一冊です。

  • 6巻までやっと読み終わった!途中、長い…もっと短く…と思ったけど、最後まで読んだら面白かった!どうやって終わらせるのこれ…?と思っていたけど、想像できなかった結末!

  • 根拠なく自分に都合の良い意見をゴリ推しするのではなく、それぞれの立場の人が、相手を言い負かすことを目的とせず、論拠を積み立てていって答えに近づいていく、これが議論なんだ!

    Twitterとかワイドショーとか国会とか高校生俳句甲子園とか、なんか「議論風だけど議論じゃないな」と思わされる何かを見てきた今、痛快さすら感じました。

  • 自分的には、もうちょい野田君を出して欲しかった感じだった。

  • 被告人の子供っぽさもいじめられっ子の卑屈さもクラス委員の賢さも、中学生のスクールカーストに留まらないそれぞれの繊細な心の動き一つ一つが理解できる。大人になったからかもしれない。
    だからこそもどかしさを感じるところもあるが、人ってこうやって成長していくんだなぁ、自分もコミュニティの中で成長してきたし、生きてきたんだなぁと思った。登場人物全員の心情が慮られて切ないけど清い。希望がある。人間社会はクソだけど捨てたもんじゃないと思える。

    柏木くんは…本当は生きたいと思いたかったんだろうけど、そう思えない要素の方ばかり見つけてしまうし、その要素一つ一つを「ほらやっぱり生きる意味なんてない」と立証(彼の論理で)することで生きることをすっきりさっぱり潔く諦めたかったのかもしれない。生きたいけど生きたくなかった。でも生きたかった。だからこそ自分が突っ込みを入れることができないぐらいに完璧な理屈で生きる理由を神原くんに教えて欲しかったのかもしれない。
    生きる意味なんてほんとはないから楽しんだもん勝ち、ぐらいの気楽さに辿り着けたら良かったけどこれを受け入れるのもまた胆力のいることだと思う。
    人生って中々に厄介。

    中身とは関係ないが、これだけの長編の中でこれだけ読手に登場人物(それもかなりの数の)の感情の機微を想起させられる作家さんって一体どんな脳味噌してるんだ、、、と思う。創作者の人たちはほんとにすごいです。。。

  • 一気に読めた。
    薄々気になってはいたが、という
    伏線も回収、スッキリ。

    個人的には負の方程式も気に入った。

  • 柏木卓也は、早熟な子どもだったかもしれないけれど
    他者との関わりを享受しなかったから
    大人にはなれなかった。
    だから、普通に成長している中三男子は
    彼の遺書が、「こそばゆい」
    後で見返すと恥ずかしいポエムと一緒に感じる。

    私はもう大人なんだけど
    悪意に引きずられないように心しよう。

  • 宮部みゆきさんの長編推理小説「ソロモンの偽証」。

    中学校で起こった生徒の転落死の謎を同級生たちが学校内裁判で明らかにしようとする物語。

    単行本で3冊、文庫で6冊。

    超長編といっていいほど長いけれど、それをまったく感じさせないほどに面白かった。宮部さんの作品の中でも一二を争う面白さ。

    僕も物語の舞台と同じ下町育ちなので、ぞっとするほどに臨場感があった。自分の歳ぐらいになってくると、社会における利害関係もおおよそは想像がつくようになってくる。だけど、例えば自分が属するコミュニティにいくつかの利害があったとしよう(そもそも利害がまったくないということはありえないけれど)。それらはいずれも些細なことだったとしても、そこから悪意が生まれ、悪意が連鎖すると想像だにしない厄介ごとに巻き込まれてしまう。この物語はそういったことを示唆している。

    悪意による負の連鎖をどうやって断ち切るか。それをうまくやるのは大人になってからでないとむずかしいのかもしれない。でも、その連鎖から(自分だけでも)逃げるすべは思春期までに養われたほうがいい。そして、その手助けをいかにするかが大人の責任なのだろう。

    エンタメとして秀逸なのはもちろんのこと、たくさんのことに気づく機会にもなるので、読んでみるといいかも。

全541件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

宮部みゆきの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
池井戸 潤
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×