- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101403212
感想・レビュー・書評
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なんだか子供の頃頭に思い描いていたような情景が小説の中で繰り広げられている。
もとい、ファンタジーなどではなく、残虐さや醜さをすべて併せ持ったような想像の世界。
でも、必死になって読み進めてしまう…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
独特の語り口調に入り込めず、読むのが苦痛だった。
読み終えた後にも、「面白かったような気がする」というあいまいな感覚が残る。 -
読者に「ふざけんなボケ!」と思わせるのも作者の手の内なのでしょう。たぶん。
いつとも知れぬ時代、辺境の王国イラハイの末期の様相を描く、壮大といえば壮大なファンタジー小説。
妻となるべき女性を婚礼の日に攫われた主人公が彼女を取り戻すべく冒険の旅に出るというストーリーが一応設定されているものの、そこに至るまでの前置きで全ページの半分ぐらいが費やされるというすごい構成。確かにその前置き部分がなければ物語が始まらないのだけど、読んでいるうちにいったい何がメインストーリーだったのかわからなくなる。で、わからなくなってきたところで、意地悪くそのことを思い出させるような仕掛けになってます。
読後感が異様に爽やかなのも「してやられた」という感じ。
無駄だらけのようでいて、何かを省くとそこから物語全体がガラガラと崩れ落ちそう。何も無駄がないとするか、この小説そのものが無駄ということにするしかないのかもしれないです。 -
日本ファンタジーノベル大賞、第五回の大賞受賞作品。同賞の他の受賞作同様、ファンタジーとしてというより、エンターテイメント文芸小説として非常に非常に非常に面白い。ただしこの面白さは、読み手によっては腹立たしいだけということもありえ、作品に対する評価も賛否両論分かれると思う。
最近読んだ同賞受賞者の森見登美彦氏と比較すると、佐藤哲也氏のこの作品は、森見氏の文体を更に硬質かつ回りくどくし、森見氏の作品世界を更にくだらなく無意味にしたような感じ。読み手にかなりの集中力を要求しておきながら、読み応えたっぷりの文章を読んだ先に広がる物語世界の展開は脱力せざるを得ないほど徹底的に無意味で、その、解説の福田和也氏言うところの「豊穣」な無意味さが、私個人の好みとしては、ものすごくツボに入った。他の作品もこれほど強く個性が発露されているのか、ぜひ読んでみたい。 -
第5回日本ファンタジーノベル大賞。
イラハイという架空の国を舞台にした「分別と愚かしさ」の物語。序盤では、この国の不思議な風習、不思議な国王、不思議な職業が描かれるが、どれもファンタジックにナンセンス。
後半からいよいよ物語の主人公・ウーサンの冒険がスタート。暴漢や兵士、殺人カエルや殺人イルカの荒波を越え、無事に花嫁を助け出せるか…。
文体のところどころに「論理的な屁理屈」がちりばめられ、クスクス笑える面白さ。 -
イラハイ、という架空の国の中の、よくわからないお話。
花嫁をさらわれた青年の話なのか、国ができてから壊れるまでの建国話なのか、分別と愚かしさを図るための言葉遊びなのか。
イラハイという国で、花嫁をさらわれた青年の話を、大体中心に、たくみな言葉遊びというか、よくわからない理論展開で、国のさまざまな決まりごとが変わっていったり、変な生き物が現れたり、青年が冒険で巻き込まれた事件のせいで、国が終焉を迎えるという、ほんとによくわからない話。
よくわからない論理、テンポ、なんだか化かされてるみたいな気もするが、なんでか読んでしまう、不思議な話でした。 -
伊坂幸太郎がものすごく好きな小説だそうなので読んでみた。
なんというか・・・
何度か読むのを止めそうになったけど、結局止められないどころか、途中からはどうなるんだ!と夢中になってしまった。
読んでいてものすごく森見登美彦と同じにおいがしたら、森見登美彦のあとがきを書いていて、妙に納得。 -
第五回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
くどい(-.- とにかく文章がくどい(-.-;
いや、もちろんこれはわざとなのですが(^ ^;
一応のストーリー運びとしては、
架空の国「イラハイ」に住む青年の
愛と冒険の物語...ということになるのでしょうが...
設定は荒唐無稽だし、話の筋は不自然だし、
登場人物は皆「魅力的でない」人ばかりだし、
聖書っぽい口ぶり...と言うか、
「外国語直訳文体」パロディみたいで、
決して読みやすくない。
いや、むしろ「積極的に読みにくい」(^ ^;
でも面白い、という不思議な作品(^ ^;
発表当時...というか審査員の間でも
ものすごく賛否両論が分かれたのもうなずける。
実は1993年に初版を手に入れて、
その時は途中で読むのを諦めたという過去が(^ ^;
Book Offで百円で売ってたので、再挑戦(^ ^
短気な人には絶対読了できない逸品(^ ^; -
子供の頃、北杜夫のさびしい王様やドクトルジバゴ、または井上ひさしの吉里吉里人などが好きだった私からすれば
何とも懐かしい、でも緻密に構成された感のある小説。最近、こういうものを書く人がいなくなったというか、
ライトノベルに流れたような感じもしないでもないので、嬉しかった。ただ決して、指輪物語みたいなものを想像してはいけない。
読むのがすごく大変なのは同じだが。。
ファンタジーノベル大賞受賞作ではあるが、むかしはこういうのユーモア小説って言ってたんじゃん。 -
イラハイという国に住む屋根穴職人ウーサンの物語。独特な文章、登場人物たちが魅力的に描かれており、歴史書のような感じでもある。風俗や風習、行為などが現実離れしていることもあって、不思議な話だというのが最初から感じる。「物語が始まったので、ウーサンは走った」という一文は秀逸。繰り返し繰り返しの連続だが、それがまた面白い。