涙 下巻 新潮文庫 の 9-16

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425269

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったけど、長すぎる。
    なかだるみした。
    もう少しコンパクトに凝縮してたら良かったのにと思う。
    この作品だけではなく、人が姿を消しその人を探す小説は、探す過程が面白かったとしても、姿を消した理由がすごく大事。そこがキモだと思う。そこがイマイチだと、全体がザンネンになってしまう。
    姿を消さざるをえなかった理由を先にしっかり設定してから話を組み立てているのかなぁ?

  • 陶子と一緒に旅をしてる気持ちで一気に読みました。内容も描写も良かったです。また、他の作品も読んでみたくなりました。

  • 勝の正義感と責任感の強さが招いたことなのか。犯人の方が一枚上手だったということなのだろう。登場人物が幸せになるのは良かった。当時の出来事も作中に出てくるから、分かる人には懐かしいだろう。

  • 上巻の前半読んでいるときは、どうも萄子のお嬢様特有のわがままさや自己中さが少し鼻について感情移入しにくかったが、婚約者の謎の闘争を調べていくうちに大人になる彼女にはひきこまれた。
    60年代の日本の描写もよく描かれており、その点でも興味深い。
    警察が追えてないのに素人がたどり着ける違和感はともかく、
    奥田の最後はなんともやるせない。
    切ない話だった。

  • 辻村さんらしい話。
    世間知らず、周りに無興味、だからこそ魅力的な人と、その人の感情的な部分が振り回す周りの人たちの話。
    イライラする可愛らしさと、対照的に、痛いほどわかる愚かな人間らしさ。

  • 川崎、熱海、焼津、田川…わずかな手がかりをもとに、萄子は必死に婚約者の跡を追った。やがて捜査から、ある男が重要人物として浮上するが、勝が逃亡する理由は不明のまま。勝への思いが消え入りそうな萄子だったが、当時米領の沖縄・宮古島に彼がいる可能性を大阪で知る。島でわかった慟哭の真実とは?’60年代の出来事・風俗をちりばめ、男女の一途な愛を描いた傑作ミステリー。


  • 涙 というタイトルがしっくりくるくらい、涙なしでは読めない。
    ほんのちょっとした事で、人生は大きく変わってしまう。
    あの時こうしてればと思ってももう遅い。
    ラストの宮古島でのシーンは、読み応えたっぷりで、切なくて胸が締めつけられる。
    映画化して欲しい本ナンバーワン。

  • 沖縄返還前の宮古島にて、再会した二人は・・・。

  • 萄子よ、いや勝よ、日本中いろんなとこ行くなあと思いましたが、きっと乃南さんは、この当時の色んな日本を描きたかった、見せたかったのかな。
    まさに萄子と同世代の人なら懐かしさを感じるだろうし、知らない人なら賑わっていた熱海とか、パスポートが必要だった沖縄に旅行するとこんな感じだったんだということがわかるし。
    この当時の沖縄のことが書かれた本とか読みたくなりました。

    勝の話でなぜ姿を消したのかはわかったど、やっぱり誠意がなかったよなあ、という気持ちは拭えません。
    でも別れのシーンは切なくなりました。

    ここに出てくる中で誰の役をやりたいかといえば、断然淳です。性別違うけど。一番おいしい。

  •  年の瀬、萄子(とうこ)の家に、結婚して家を出た娘の真希がひょっこり帰って来ます。軽い調子で話していますが、夫に浮気され、実は相当傷ついているようです。結局、真希は3ヶ月後に離婚しますが、友達に誘われていった沖縄から、立ち直りを示唆する明るい便りが届き、萄子はほっとします。
     ただ、安堵する一方で、萄子は昔のことを思い出してしまいます。人との別れ、沖縄、これらは萄子には、できれば封印しておきたい凄絶な経験と結びついていました。

     「ごめん、もう、会えない」

     東京オリンピックの前日、婚約者であり、刑事の奥田勝は電話でそう告げて失踪。その後、奥田の先輩刑事の娘が惨殺死体で発見されます。萄子はわけがわからないまま、こんな状況に納得できず、彼を探す決心をします。
     世間知らずのお嬢さんだった萄子は、周囲の反対に耳を貸さず、わずかな手掛かりを頼りに、川崎、熱海、焼津、大阪等を探しまわり、最後に、当時まだアメリカ領の沖縄、宮古島にたどり着きます。
     東京オリンピックの頃の日本の空気がよくわかりますが、圧巻は、宮古島の台風の描写です。当時の記録を丹念に調べたのでしょう、まるでそこにいたかのように嵐の凶暴さを描く作者の筆力には脱帽です。こうした描写が、話しの進行に重みを与えているのだと思います。
     この本について、「私は泣けなかった」と書いている感想を見かけましたが、私はそもそも「泣きたい」と思って本を読むつもりはないので、そんなことはどうでもいいんです。面白かったです。いい時間が過ごせました。

     「一度、言い出したら聞かないじゃないか。本当に、お前によく似てる」
     「あなたって、本当に辛抱強い」

     プロローグに出てくる、萄子と、夫の淳とのやりとりですが、最後まで読むと、何気ないこの会話の深さがわかります。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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