結婚詐欺師(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425344

感想・レビュー・書評

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  • そもそもなぜこの本を手にとったかと言うと、今の私の年齢が「最も結婚詐欺に遭いやすい」というデータがあったからだ。

    なるほど30の大台を前に、旧友の約半数は既婚、結婚願望がないわけでもないのに・・・という焦りは正直なくもない。余裕があるときであれば飛びつかないような夢物語に乗ってしまう女性もいるのだろう。実際某SNSなどでは一度も会ったことのない外国人男性に虎の子の貯金を送金してしまったという女性がいた。すべてを悟り、涙ながらに警察に訴える女性の姿は他人事ながら哀れだった。

    橋口がターゲットにしているのは主にover35の方々だったけど・・・
    今作は映画化されていたらしく、詐欺師の橋口を加藤雅也さん、が刑事の阿久津をウッチャンナンチャン内村さんが演じたそうな。
    被害者のひとりで阿久津の元カノ、美和子を鶴田真由さんにしたのはちょっと・・・逆に美人局っぽい気がするけれど(笑)。

    女に(それも大切に思っている女に)お金を出させて平気でいる男なんてろくなものじゃないはず、と思って他人様の恋愛事情にも物申してきたけれど間違っていなかった!
    橋口ほどのワルはいなくてもそこいらのズルい男に引っかかりませんよう、アラサー女子たちよ、じっくり見極めましょうぞ!

  •  結婚詐欺師の正体が分かり、警察によって徐々に迫っていく下巻。下巻の主役は元恋人が追いかけていた詐欺師に落ちてしまったことを知った刑事。元恋人を助けたい思いと今手出しすれば犯人に逃げられてしまうという状況の板挟みになった苦悩を描いている。
     登場人物の心理描写が丁寧に描かれていて、まるで映像を見ているかのように情景が思い浮かぶ。
     詐欺師が人を人と思ってはいないのは現代横行している詐欺にも共通の感覚。お金が欲しいという思いもあるだろうが、それよりも騙し抜くことに快感を覚えるのだろうと思う。一種の依存症状と言ってもいいのかもしれない。そして騙されたほうはそれを認めることがなかなかできない。プライドなのか意地なのか、自分だけは特別な存在だと思っているのか、そのあたりのことはよくわからないが、そうした思いも詐欺師にとっては格好の標的になっているような気がする。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    練習場で橋口に声をかけられた江本美和子は、その強引な誘い方に驚くが、結局デートに応じる。一方、阿久津らの捜査から松川と橋口が同一人物であることが判明した。だが被害者の中にかつての恋人、美和子がいるのを知り、阿久津は愕然とする。あのしっかり者の彼女がなぜ…。橋口と被害女性、そして阿久津の心模様を丹念に追い、現代の結婚観を浮き彫りにした傑作サスペンス。

    詐欺師の考えてる事がもうどうしようもなくあかんたれで情けない。だからこそ騙されてる女性に目を覚ませ!と言い続けながら読んだ。カツラだし…。更に阿久津が女々しすぎて違う意味イラついた。

  • 完全に引き込まれた。
    次にどんな手で女性を騙すのか?
    20−60代までを手玉にとる。
    そして刑事のかつての恋人まで。
    ちなみにAoudibleで、車で聴いていたが、映像で見るドラマよりも引き込まれました。
    ドラマの方はまだ見てないけど、音声で小説を聞く方が想像力が働いてこういうドラマは絶対に面白いと思う。

  • 初めて読む作家さん。少々古い本なので、今だと少し状況も違ってくると思うが…それにしても、なんでこんな男にだまされちゃうのよ!と思った私は少しは幸せなんだろうか?
    乃南さんの本がリアルすぎるのか、終始イライラし通しで、本当に腹が立った→って事は凄い面白かったのか?
    もし騙されるなら、騙されても仕方がないと思えるほどの男前じゃなきゃ嫌だ、とバカなことを考えていた(笑)

    • hs19501112さん
      乃南アサさんは、警察モノも面白いですよ~。
      「凍える牙」が、おすすめ。
      (シリーズものの第一作、直木賞受賞作だったかと…)

      と…、...
      乃南アサさんは、警察モノも面白いですよ~。
      「凍える牙」が、おすすめ。
      (シリーズものの第一作、直木賞受賞作だったかと…)

      と…、自分の乃南アサの初読み本も、かなり面白かったかと。

      けっこう古い、サスペンスもので…
      「6月14日の花嫁」

      よかったら、チェックしてみてくださいませ。
      2018/02/23
    • hs19501112さん
      コメント返信、感謝です。

      そうそう、忘れてました・・・
      乃南アサさん、
      「しゃぼん玉」
      をオススメし忘れるなんて・・・・。

      ...
      コメント返信、感謝です。

      そうそう、忘れてました・・・
      乃南アサさん、
      「しゃぼん玉」
      をオススメし忘れるなんて・・・・。

      自分の「好きな本ベスト3」に堂々とランクインする名作です。お気が向きましたら、こちらもぜひ!!!

      たしか・・・2017年春に実写映画が公開されました。

      (自分はまだ観てないですが)映画レビューサイトでは、
      gooで平均★4.1
      yahooで平均★4.3 
      監督、スタッフ、キャスト陣の功績ももちろんでしょうが、、、、

      少なくとも、俳優陣がどんなに素晴らしい演技を魅せたとしても、原作が駄作では、ここまでの評価は得られないはず・・・・と、思っています。
      2018/03/07
  • ついつい、続きが気になり一気読み。
    阿久津になんとかしっかりしてくれよと思いながら読みすすめた下巻でした。
    しかし、やはりお金が絡んできたあたりで怪しいとか気づかないものかとおもったり。
    少しでも気を許した状態だと信じこんでしまうのかなあともおもったり。

    まあ阿久津さんは10年後もぶつぶつ言われながら、家族が続いていると良いなという感じ。

  • 担当刑事の元恋人もターゲットに。ここでも、元恋人だった男女の心情の違いの描かれ方も興味深い。
    上下巻の2冊通して、一気に読めてしまう。

  • あの手この手(あの口この口とも言う)で1人1人のタイプに合わせた口説き方をする橋口が面白い。警察側の章は後半になるにつれてぼったい雰囲気になるため、合間に挟まる橋口の章が楽しみで仕方なくなる。結婚詐欺師としてのノウハウを楽しむだけなら面白かった。「その辺りならばカツラではないからいくら触れられても不安にはならない」この台詞笑ったなー。

  • 結婚詐欺師というタイトルから普通に想像できる話なのだけど、さすが人を書くのが上手い乃南アサ、とても面白かった。詐欺師松川のカスぶりが見事だった 笑。結末も特に意外性はないが、一番読者の望む終わり方であると思う。すっきりした。

  • 上下巻読了。
    ご機嫌に結婚詐欺を続けて「俺は人助けをしている。夢を売り歩いているコーディネーターだ」と言って自己欺瞞までするこの男に心底ムカつきました。騙されてしまう女性の心理や阿久津刑事の人間臭い描写も良く描けていると思います。
    ただ、サスペンスと謳っている割にはミステリーらしい要素が全くないので不満です。何かしらの「捻り」を加えて欲しかったです。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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