発掘捏造 (新潮文庫 ま 17-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101468235

作品紹介・あらすじ

「あっ、埋めている!」二〇〇〇年十月二十二日早朝、ひとけのない宮城県上高森遺跡の発掘現場で撮影された驚愕ビデオ。考古学界はもとより、日本中の話題をさらったこのスクープはいかにして生まれたのか。「神の手」と呼ばれた男「F」の疑惑を追って極秘取材が始まる。張り込み、隠し撮り、また張り込み。粘り強い記者たちの執念と息詰まる取材現場のすべてをお届けする-。

感想・レビュー・書評

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  • 考古学界のみならず世界中に波紋を広げた事件の全体像を明らかにし、行政や学界の問題点などを丹念に取材した本。マスコミの責任にも言及して、課題を提示している。捏造が発覚する以前から、おかしいという話は聞いていたものの、真っ向から批判しづらい学界の空気だったのだろう。。10年を経て、その空気に変化はあったのだろうか。未だにマスコミは「最古」と煽る見出しをやめようとしないが…。

  • 「考古学崩壊」を読んだので当時の書籍を読んでみた。
    「考古学崩壊」で書かれていた毎日新聞側とのやりとりとか、こちらの本から引っ張られている箇所が多々あったので重複した感じになってしまいましたが。
    他の遺跡発掘のことやこの件をうけて起きてしまった件についてもふれられていて、あらためて影響の大きさを知った。

  • 4101468230 306p 2003・6・1 

  • 岡村道雄『旧石器遺跡「捏造事件」』を読む前に一般的なことを知っとかなきゃと思って読んだ。
    今普通に考えれば、「神の手」とか「奇跡」とか言われていたこと自体、胡散臭いと思われていたってことなんじゃないの?(だって、世界一有名な「神の手」だってインチキゴールのことだもんね)、みんな眉唾って思ってたんじゃないの? と思うが、どうなんだ? そのへんはこの本では不明。
    考古学の事件を追うというより、いかにこのスクープをなしとげたか、というドキュメンタリで、確証が得られぬまま取材が長期化していったとき、「必ず当たると信じてパチンコのデジタルを回し続けているようなものだ。大当たりが来なかったら、痛手は深い」と言っているように血眼になっていて、一歩間違うと「捏造事件」と同じ道にハマリそうな危うさを感じさせる。
    げんに、このすぐあとに、聖嶽人報道被害事件というのを文藝春秋社が起こしてしまったしね。
    スクープ誕生ドキュメンタリなので、発覚後間もない刊行ということもあり、捏造というかヤラセ(自分で仕込んどいたものを掘り出して見せるという)という感じの藤村の行為の背景や動機は全然掘り下げられておらず、もどかしさが晴れなかった。

  •  旧石器時代の遺跡から必ずといっていいほど石器を発掘することから『神の手』と呼ばれた在野の学者が、実は自分で石器を埋めていたということをスクープした毎日新聞社の記者たちの奮闘記です。

     捏造した学者は、歴史を塗り返すような発見を次々として、彼の発見は新聞の一面を飾り続けました。『日本にも原人がいた』とか『原人の祭祀跡を見つけた』などです。原人というのは北京原人やジャワ原人で有名なように、人間というより猿に近いのです。原人の祭祀跡というのは、猿がお葬式を執り行うというくらいすごい話なのです。

     世界的に見ても、これほど次々と歴史をひっくりかえすような発見が相次いだのは、どうかんがえてもおかしかったらしいです。彼の発見は海外では笑いものだったようで、まともにとりあげられもしなかったようです。国内にも批判する人は確かにいました。しかしセンセーショナルな報道が先走りして、それらの批判はとりあげられることなく、結果として捏造を見逃してきてしまったという構造が、わかりやすく書かれています。
     
     しかしまあ、これほど簡単に歴史が捏造できてしまうなんて、と驚かされぱっなしでした。閉鎖的な日本社会の縮図を見た思いです。



  • おじに薦められ、読む。事実は小説より奇なり。
    すごい面白かった。ジャーナリストの必要性を感じた。

  • 取材を重ねて真実を追求していく過程が面白くて、下手な推理小説よりわくわくする。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    「あっ、埋めている!」二〇〇〇年十月二十二日早朝、ひとけのない宮城県上高森遺跡の発掘現場で撮影された驚愕ビデオ。考古学界はもとより、日本中の話題をさらったこのスクープはいかにして生まれたのか。「神の手」と呼ばれた男「F」の疑惑を追って極秘取材が始まる。張り込み、隠し撮り、また張り込み。粘り強い記者たちの執念と息詰まる取材現場のすべてをお届けする―。

  • 以前買って途中で読むのをやめた本。今回読み直して,なぜ途中で読むのをやめたのか思い出しました。なんと,奥付から最後の30ページくらいがダブっている上に,ダブっている部分が逆さまに綴じられていたのです。ダブっているページの分,本来のページが綴じられていないので,読むのをやめたのでした。なので,今回もその部分は読めませんでした。内容は,神の手を持つと言われた大学に所属しない考古学者が,自ら埋めた石器などを掘り出していたことをスクープした毎日新聞が,スクープに至る経緯やその後について,書いた本です。普通には面白いですし,なにやら報道の意義について語っていますが,結局のところ,スクープの自慢に終わっています(落丁部分に書いてあるかもしれませんが)。わざわざ本を出版する必要があるのか疑問です。私としては,このような落丁をしている文庫本が珍本としての価値があるかという方が気になります。

  • すごいよね。
    これで法的な罪にならんのよ。
    ミレニアムな歴史まで騙したかったんだね、この人。

  • 旧石器時代の歴史が変わったスクープを
    生んだ記者達の現場の全て

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