シマイチ古道具商: 春夏冬(あきない)人情ものがたり (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 159
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800943

作品紹介・あらすじ

茶碗、豆皿、丸ちゃぶ台ここは想いが集う場所。生活を立て直すため、大阪・堺市にある夫の実家「島市古道具商」へ引越し、義父・市蔵と同居をすることになった透子一家。14年間、社会に出ていなかった透子は、慣れない店暮らしに失敗ばかり。それでも道具や集う客の想いに触れて、透子もいつしか人生を見つめ直し始め――。どこか欠けた人たちの瑕も、丸ごと受け入れてくれる場所。古い町家で紡がれる、モノと想いの人情物語。

感想・レビュー・書評

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  • 義父が古道具商を営む町屋へ引っ越した透子と、家族と近しいひとびとの物語。親子関係、片親、ストレスからの病気、我儘な子供と叱れない大人……現代あるあるながら目をそらしておきたくなるテーマを割と突っ込んで描いている。その割に読んでいて気が重くなりすぎないのは、町屋の落ち着いた空気感と、義父の市蔵のブレのなさのせいかと思う。
    最初に阪堺電車の描写があるのが嬉しかった。懐かしさに胸をときめかせながら、物語の世界に入っていけた。

  • なんとなく良さそうだと思い、書店で手に取った作品。作者のことは全く知らなかった。大当たりだったと思う。夫が仕事をやめたことをきっかけにして、義父の古道具屋で暮らすようになった透子が主人公の物語。古道具が持っている落ち着いた雰囲気が書き込まれていて、読んでいて心が和んでくる。古道具をめぐる薀蓄も面白い。割れてしまった器を継ぎ合せて新しい器を作る呼び継ぎの技法のことなどは、全く知らなかったので、新鮮な気がした。このような古道具が人間と密接に結びついて、人間の心まで変えていくところが面白い。主人公の透子も古道具の仕事をするようになって、少しずつ成長していく。ぎくしゃくしていた夫との仲が、古道具屋での生活を通して、修復されていくところが感動的。この物語の一番の読みどころだと思う。本当に素晴らしい作品だ。限りなく五つ星に近い四つ星。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 堺市が舞台の小説。

  • 8/8(土)我孫子武丸 顧問「fm GIG ミステリ研究会」特別トークショー〜ゲスト:蓮見恭子、最東対地 | PALMTONE(パームトーン)公式サイト
    https://palmtone.com/mystery15/

    関西ウーマンインタビュー(作家)蓮見 恭子さん(小説家)
    https://www.kansai-woman.net/theme528.html

    蓮見恭子 公式HP
    https://hasumik.com/

    蓮見恭子 『シマイチ古道具商―春夏冬人情ものがたり―』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/180094/

  • 夫の実家である堺の古道具屋さんで生活するようになった女の人のお話。
    2019/6/4

  • 古い町家の古道具商。昭和の雰囲気が溢れる話でした。ご近所付き合いも成立していてとてもいいな、と思うけれど、現実になったらきっとすごく大変。父の実家が昔、築百年を軽く超す農家で玄関から裏口まで土間で、囲炉裏もあった。暮らすのにはすごく不便だけど人が集まりやすい家ではあったと思う。それを羨ましいと思ったりもするけどねえ。そんな昔を思い出させてくれるよいお話でした。

  • 天涯孤独になり教師と結婚したのちの三十二歳子持ち主婦な主人公透子がnexらしくなく思えて新鮮。鬱に陥った夫や小学生の実子姉弟よりも同居を始めた古道具商の義父の方が主軸。思い通りに行かない子育て、息子の問題児な友人、記憶の父との和解や襖の中の古い絵等。関西弁の括りの中でも下町的血肉感のある個性が面白い。

  • 基本的な話の筋は、悪くないと思う。
    が、どうにも登場人物が魅力に乏しくて...(^ ^;

    主人公はいつまでもうじうじしてるし...と思うと
    イキナリ大胆な行動に走ったり(^ ^;
    「影の主役」っぽい古道具店の主は
    すべてを達観しているようでありながら、
    最後の最後にコロッと決断を変えてしまって...(^ ^;

    一応は連作短編なのでしょうが、
    各章がみな「尻切れトンボ」な印象で(^ ^;
    結局あの貧乏母子はどうなったんだろうか(^ ^;

    主人公の夫も、鬱になるタイミングが分からない(^ ^;
    実際の鬱病なんてのはそんなもんかも知れませんが、
    終盤になってくると何のきっかけもなく調子よくなり、
    そのまま「普通の人」として終わりを迎える(^ ^;
    これって「ここでまた寝込まれると話が進まない」
    という作者の思惑が透けて見えるような...(^ ^;

    「悪人」として描かれてた大家の息子も、
    ラストはあまりに見事な手の平返し(^ ^;
    寝込んでたはずの大家の親父も、
    何の説明もなく病院抜け出して「普通にしてる」し(^ ^;

    とにかくキャラがぶれぶれで、リアリティがない(^ ^;
    古道具の描写などは悪くない、むしろ魅力的なのに、
    ありふれた言い方をすると「人間が描けてない」(^ ^;
    何だか、ものすごくもったいない作品(^ ^;

  •  もどかしさを少しずつ切り拓いていく。
     そういう姿は、何か心に迫ってくる。

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著者プロフィール

大阪府堺市生まれ。大阪芸術大学美術学科卒業。2010年『女騎手』で第30回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。主な著書に「国際犯罪捜査官・蛭川タニア」シリーズ、『ガールズ空手 セブンティーン』『襷を、君に。』『シマイチ古道具商―春夏冬人情ものがたり―』などがある。最新作は『襷を我が手に』。

「2018年 『始まりの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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