ロミオとジュリエット (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102020012

感想・レビュー・書評

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  • よく考えたらきちんと読んだことのないロミオとジュリエット
    そういう展開でそんな悲劇が起きちゃったのね!ふむふむ
    そして二人の恋愛と二家の敵対問題だけではなく、乳母、友人、親戚、神父など
    結構多くの個性的な登場人物が物語を盛り上げていた
    (毎度思うが登場人物結構多いのよねシェイクスピアって…おまけになかなかの名脇役も結構いるのよ)

    幼さを残した二人が恋に落ち、両家の敵対関係から悲劇が生まれるのだが、展開も早すぎるししっくりこないところも多い
    そして未だに馴染めないのが、冗談半分かと思っていたら、あれよあれよと展開して本気の喧嘩で死んじゃう…みたいなやつ(結構ビックリするのだ)
    味方だと思っていた両親にジュリエットが従わないとジュリエットにボロクソ言い、勘当宣言までしてしまう(ひどい)
    この時代はやはり子供というのは親に所属している「モノ」に過ぎないのかしら…

    相変わらずのテンポと歯切れの良さで気持ちよく展開するため非常に読みやすい
    セリフや表現の美しさと、反面、文句や悪口がかなり下品(笑)、喧嘩になると一気に急変化…
    この乱高下にシェイクスピアらしさを感じる

    巻末の解説を読んで改めてシェイクスピアは劇作家であることを認識し、劇としての読み物だと思わないことには違和感を覚えることが多い上、言葉の多さに溺れそうになる理由もよくわかった
    解説に「シェイクスピアの劇を正しく理解するためには、絶対にエリザベス朝劇場に関する一応の予備知識が必要になる」
    とあったので「エリザベス朝劇場」についてまとめておくことにする

    ①小劇場であった
    無背景の舞台であったので、俳優の口を通して聞くセリフが圧倒的に重要な要素
    言葉のオンパレード
    芝居は、見るものではなく、聞くもの

    ②太陽光線の劇場
    舞台上のみ屋根がある
    客席は青空の下
    (昼と夜は言葉による説明が必至)

    ③無背景
    能と同様
    観客に強度な想像力を要求した
    セリフの陰影に一心に聞き入ったのだ

    ④舞台前面の幕がない
    芝居と観客との距離を近づける効果

    ⑤女の役はすべて少年俳優が扮した
    女優が生まれるのは、1660年以後


    この予備知識をもって読むと印象が結構変わる気がする
    芝居は「見るもの」ではなく、「聞くもの」!(おお、なるほど)
    だからここまでセリフがてんこ盛り
    そしてあえての無背景、道具も少な目(能と同じ感じ)により観客の想像力をあおる
    そして女優がいない!
    (ジュリエットは少年が演じたのね… ん?乳母も⁈難しくないかい?)

    そして前々から気になっていた「ロミオとジュリエットはなぜシェイクスピアの四大悲劇に入らないのか」
    これをチャットGPTに聞いてみた(笑)

    作品のテーマと構造の違い: 「ロミオとジュリエット」は愛と若さ、家族の対立などをテーマにしていますが、他の四大悲劇とは異なる要素も含まれています。四大悲劇はより壮大なスケールや政治的な要素を持ち、主人公の個人的な運命がより広範な影響を及ぼす場合があります。一方、「ロミオとジュリエット」はより個人的なドラマに焦点を当てており、他の四大悲劇とはテーマや構造が異なると言えます。

    文学的なジャンルの違い: 「ロミオとジュリエット」は一般的には悲劇とされますが、その中でもロマンティックな要素が強く、恋愛物語としても非常に有名です。一方、四大悲劇はより古典的な悲劇の形式に従っており、政治的な陰謀や野望、道徳的な問題などが重要な要素となっています。

    時代的な位置づけの違い: 「ロミオとジュリエット」はシェイクスピアの初期の作品であり、四大悲劇は彼の後期の作品に含まれています。シェイクスピアの劇作スタイルやテーマの発展は時間とともに変化しており、四大悲劇はその成熟期の作品とされています。そのため、「ロミオとジュリエット」が四大悲劇に含まれていないのは、その作品の位置づけによるものかもしれません。

    (なかなか真面目で正統派の回答がきました)


    最後にとっておきの粋なセリフ
    恋とは…「息の根もとまる苦汁かと思えば、生命を養う甘露でもある」
    バラの名前…「わたしたちがバラと呼んでいるあの花の名前が何と変わろうとも薫りに違いはないはず」


    あとはリア王とマクベスを制覇するぞ!


    • アテナイエさん
      ハイジさん、こんばんは。

      >能は個人的に何より能面の効果が想像力を掻き立てるのに凄まじい威力を発揮する!と思っているのですが、戯曲のセ...
      ハイジさん、こんばんは。

      >能は個人的に何より能面の効果が想像力を掻き立てるのに凄まじい威力を発揮する!と思っているのですが、戯曲のセリフの多さではなかなか想像力が働かず困っていたところでして(汗)

      あの能面ね、たしかに静寂な威厳が漂っています。それからすると、シェイクスピアの戯曲はセリフが多くて長いですよね。能楽のような空(くう)や間が少ないかな(当時の実際の劇ではどうなのかわかりませんが…汗)。

      これは勝手な想像ですが、ギリシャ悲劇もそうだけれど、西洋の作品は呆れるほど饒舌で、ことば、ことば、ことば、ときに騒がしくて食傷気味になることもしばしばあります。でももしかすると、戯曲のセリフは小説のようなそれ(ぎゅう詰めの言葉)ではなくて、古い時代の吟遊詩人の言葉のように、描写であり、色であり、音楽であり、匂いや空気のようなものかもしれません。なので何回も楽しめるのでしょうけど(笑)。

      そうですか! でもお堅いチャットGPTが本気で遊びだしたら、結構コワイですね~どうしよう(-_-;)

      『唐代伝奇』のレビューをお読みいただきありがとうございます。
      いつかぜひ手にしてみてください。こちらは東洋の摩訶不思議な世界が広がっていま~す。
      2023/07/01
    • 淳水堂さん
      ハイジさん、こんにちは

      >「ロミオとジュリエットはなぜシェイクスピアの四大悲劇に入らないのか」
      これをチャットGPTに聞いてみた(笑...
      ハイジさん、こんにちは

      >「ロミオとジュリエットはなぜシェイクスピアの四大悲劇に入らないのか」
      これをチャットGPTに聞いてみた(笑)
      おお、使いこなしてる!私は機械やシステムが苦手で全然わからんです(-_-;)

      また、当時の演劇では「芝居は、見るものではなく、聞くもの」で「観客に強度な想像力を要求した セリフの陰影に一心に聞き入ったのだ」ということを教えてくださってありがとうございます。
      そんな演劇の見方したいなあ、本もそんなふうに読みたいなあ。

      当時の舞台が無背景で幕もない、ということで「誰かが死んだら死体を片付ける場面を書かなければいけない」とは読んだことがあります。
      それで『ハムレット』ではラストで片付ける必要がないとばかりに死体増やしたのか?と思いました 笑

      >⑤女の役はすべて少年俳優が扮した
      『夏の夜の夢』のヘレナとハーミアが、背が高いとか低いとか色白とか書かれていますが、初演の少年俳優さんに合わせたんでしょうかね。

      >味方だと思っていた両親にジュリエットが従わないとジュリエットにボロクソ言い、勘当宣言までしてしまう(ひどい)
      シェイクスピア戯曲に出てくる駆け落ちカップルって女性側が父親から猛反対されていますが、まさに父親に逆らうのって命掛けなんですよね。
      『オセロー』ではデズデモーナに対して父親が「父親の自分の意に沿わない結婚した娘など死んでくれたほうがまし」、『夏の夜の夢』ではハーミアの父親が「娘が自分の決めた結婚を嫌がっているので、アセンズの法で裁いてほしい。つまり、父親である私が決めた相手に嫁ぐか、死刑になるか、修道院に入り一生世間との交わりを断つか。」と訴え出る。(父親が娘の処罰を訴える時代なのか…)

      『ロミジュリ』も『オセロー』も駆け落ちから悲劇に繋がりますが、父親に逆らう娘は死刑になるような時代だったら、そりゃー自分の意志で駆け落ちするよなあと思っています…。
      2023/07/02
    • ハイジさん
      淳水堂さん こんにちは
      コメントありがとうございます!

      淳水堂さんに「死体を片付ける…」という舞台ならではのリアルさを教えていただいたのも...
      淳水堂さん こんにちは
      コメントありがとうございます!

      淳水堂さんに「死体を片付ける…」という舞台ならではのリアルさを教えていただいたのもあって、やはり戯曲を小説のように読むべきではないなぁと痛感しました

      父親に歯向かう娘は死刑かぁ
      私はとっくに死んでますね(笑)
      それにしてもかわいい我が子を後継ぎの駒くらいにしか考えていないのか?と思うと切ないですね

      淳水堂さんの情報でいろいろ読み方のヒントをいただきました!
      ありがとうございます(^ ^)
      2023/07/02
  • 難しかった…いつかもう一度読もう

  • 「恋をやさしいものだとねえ?恋はつらい、あまりに残酷だ、暴君だ、茨(いばら)のように人を刺す。」
    「恋が君につらければ、君も恋につらければよい。向こうが刺せば、こっちも刺せ。すりゃ恋が負けにきまってる。」

    最近、失恋した僕に結構効く言葉でした

  • ストーリーは何となく知ってたが、
    読んだことなかったんで読んでみた。

  • 16世紀に書かれた英語の戯曲を1951年の日本語訳で読む(読ませる)こと。作品自体が2022年新潮文庫の100冊に選出されていることに異議はないが、21世紀に生きる中高生に何かを伝える意識が本気であるのなら、中野好夫訳はそろそろ再考が必要だと思う。

  • こうして敵同士の両家は、手と手を取り合うことになりました。めでたしめでたし。

    ってなるか?

  • シェイクスピアの歴史的傑作であろうとも、中世に書かれた戯曲を文庫本で読んで面白いかと謂われると、読み難いし退屈さは否めない。モンタギュー家とキャピュレット家との反目し合う両家の御曹司と御令嬢の悲劇の恋愛物語であるが、以前読んだスティーブン・ピンカー著『暴力の人類史』に「中世の恋愛小説の流行が人々の他者共感力を向上させ暴力を減らした」とあった。なるほど『ロミオとジュリエット』も当時の衝撃と現代の評価から察するにひょっとすると人類史に貢献した作品であったのかもしれない。

  • ジュリエットのいる2階の窓辺にて、「どうしてここへ、何のためにいらっしゃったの?」に対し、「こんな塀くらい、軽い恋の翼で飛び越えました。」というキザな台詞が印象的で好き。ティボルトは血の気が多いが憎めない。

  • タイトルは有名だが、知っているようで知らないお話。
    まさかロミオが殺人を犯して、国を追われることになり、ジュリエットは仮死状態となって自分という存在を殺した後でロミオを追おうとし、愛しい人が死んでしまったと勘違いして自分も後を追うように毒を飲み、仮死から目覚めた姫が愛しい人が自殺した姿を見て、自殺する。…なんてお話とは。

  • ロミオってどうなの!? あんだけ他の女性に心底惚れて、振り向いてもらえない自分ってなんてかわいそうなんだ!とかわいそうな自分に酔って女々しすぎると思ったら、ひょいと行った社交界で出会ったジュリエットにあっという間に乗り換えちゃったってどういうこと!?
    …と、思われても仕方ないような。悲劇といえば悲劇なんだけれど、きっと結婚生活が続けば二人すれ違ってきたのじゃないかって心配になってしまうので全力で愛を貫き通せたのはいいのではないのかとか思いました。
    有名すぎるお話なので、大まかな筋は知っていたけれど、“悲劇な恋愛”というイメージしかなかったけれど、時代背景を知ったり、社会的な問題などもあったり、ただの悲劇っていうわけでもなかったんですね、

著者プロフィール

1564-1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を放ち続けている。

「2019年 『ヘンリー五世 シェイクスピア全集30巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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