- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102020111
感想・レビュー・書評
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英米演劇入門? みたいな講義で読み解いた作品。
王に成り上がり、しがみつき、それでも襲ってくる盛者必衰の理に翻弄される物語に胸が踊ります。
馬は来ない。絶対来ない。
野心たっぷりの主役たちが魅力的です。
また白水社から出版されている小田島雄志先生の翻訳は音読してテンション上がる台詞回しなのでそちらもオススメ!
(LA学群卒:湯けむり山荘)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
陰謀を極めると、逆に自分も謀られてるのかと猜疑心が募り、そこから人心は離れていく。主人公は非情な悪魔に見立てられているが歴史上の解釈は様々であろう。冒頭の不具であったという話題はその後触れられない。成育上の心の歪みに繋がったと言いたいのだろうか。2020.6.20
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シェイクスピア 「リチャード三世」
いろいろな見方があるのかもしれない。解説者は 史劇、復讐劇 と見ている。ピカレスクとしてリチャード三世を英雄視する読者もいる
私は この物語を 悲劇として捉えた。リチャード三世を人生の失敗者とみている。
*自分で自分を呪う人生
*母から自分の死を望まれる人生
*自分が死んでも誰も悲しまない人生
*最期の言葉「馬をくれ、代わりに国をやる」〜手段を選ばず 手に入れた王位の価値が 馬より低いこと に気付いた人生
から考えると「リチャード三世」は 悲劇としか思えない
解説者は リチャード三世のハンディキャップ(コンプレックス)と悪事は結びつかないと捉えているが、リチャード三世の破綻的な人間性のキッカケは それ以外 考えられない
リチャード三世の悪党な名言「聖書の言葉を借用し〜己が悪事の素肌に衣を着ける〜それでけっこう聖人に見えるのだ。そのときこそ、俺が悪魔の役になりきっている最高の瞬間だ」
マーガレットの預言的な名言「高い樹は風あたりが強い。それがひとたび倒れれば木端微塵に砕け散る」
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シェイクスピア『リチャード三世』新潮文庫 読了。王位への野心に燃える主人公が権謀術数の限りを尽くす史劇。狡猾かつ残忍な悪役でありながら、目的のためなら手段を選ばず邁進していく姿勢にはむしろ清々しささえ感じる。悪党なりの首尾一貫した生き方が魅力なのかもしれない。観劇の予習を兼ねて。
2017/09/06 -
この悪人にどうしても惹かれる、グロスター公リチャード。
史劇は歴史がわからないと難しい。先に解説の家系図をよく見た方がよいかも。リチャード三世は醜いようですが、どっこい、黒いイケメンに思えてくるのは、読書ならでは。 -
なぜだろう。武勇に秀でているが、残忍非道、それを隠すこともしないのに、甘言に乗せられるものあり、しかし、権力を極めた時、協力者にも非道で、反乱と侵略を招く。罪が無くとも罰せられるとしたら、逃げだすか、あるいは牙を剥くしかない。/(グロスター)その夫を殺したアンにせまって、「さ、剣を、それとも、私を。」 聡明な王子を前にし、傍白で「春、早ければ、夏短し、か」 (ヘイスティングス)「他人の笑顔にひたすら希望をつなぐ男は、マストの上の酔っ払った舟乗り同然、船が揺れるたびに、いつ放り出されて、深い水底に引きこまれるか知れたものではない」 (リチャード三世)「良心などという言葉は、臆病者の使うものだ、もともと強者を嚇すためにこしらえた言葉だからな。この力だけが良心、剣をもって法となすのだ」「馬をくれ!馬を!代りにこの国をやるぞ、馬をくれ!」 小田島雄志「シェイクスピア名言集」つながりで。
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血を血で洗う薔薇の戦争
約束は脆く、愛は偽り
突き動かすは復讐の炎
他の悲劇とはその動き方が違うように感じられる。悲劇の歯車がひとつひとつ噛み合って徐々に動き出すのに比べ、リチャード三世はすでに悲劇が動き始めた状態で幕が上がる。人を呪わば穴二つ、因果応報、どのような形にしろ、不条理な形で死を迎えるのではなく、始まりからすでに血にまみれた死の臭いが漂い、物語全体が果てのない復讐で包まれている。
父を殺され、夫を殺され、子供も殺される。憎い敵でも、偽りの愛だとわかっても、結婚せねばならぬ。それはただ、ランカスター家だとかヨーク家に生まれたがため。たとえ王の前で、神に誓って手と手を取り合っても、もう外部からの強い介入がなければ止めることのできない連鎖。民衆はただただそれを眺めるだけ。というよりは、民衆にはとても届かぬ世界。歴史とはかくも重い。
キリストが愛をわざわざ説いたのは、抗えぬ復讐の定めから少しでも目を逸らさせるため。右の頬や左の頬を殴って済むようなものなら、それは復讐ではない。一度血で手を汚してしまうということは、もう誰にもその血を落とすことができないという烙印。自己を犠牲にしろというのではなく、そんな宿命に身を委ねさせないようにするためのキリストなりの愛という魔法なのだ。
リチャード三世の戦死、ヘンリー7世の祝福をもって幕が閉じられるが、ヘンリー8世が示したように王家が血にまみれないことはない。そうやって作られる歴史だからこそ、王家は王家であり続けなければならない。 -
薔薇戦争期の「悪役」リチャード三世の一代記。悪辣の限りを尽くし、破滅への道をひた走る主人公という意味ではマクベスと似たところがありますが、リチャードの方がより突き抜けていて魅力も強い、とわたしは個人的に思います。
シェイクスピア作品の中でも比較的短いし読みやすいのではないかと。新潮文庫の福田訳は特におすすめです。 -
人物が多くて複雑で覚えるのが大変。
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表紙の絵がえっらい美男子で、これ・・・?これがリチャード3世なの・・・??とイメージの再構築を迫られます(笑)
シェークスピアん中ではすごく読みやすくて理解しやすいなあ、と思う。
むかーし、立て続けにシェークスピア読んだことあったんだけど
・ハムレット⇒父親の亡霊出てくるのがなんともコミカルで、そのコミカルさに今一つついてけなかった
・ベニスの商人⇒シャイロックかわいそすぎるだろ・・・。借金しといて踏み倒す二人組怖すぎ
・ロミジュリ⇒若さと言ったら一言で済むが、さんざっぱら女と遊びまくってた男が、いきなり清純派に惚れて心中て・・・ねえ・・・あと一週間ぐらい考えようよ、とつい思っちゃう。短気な人こわい。
とか、そんな感じで現代ニッポンの感覚からは理解できねーわー、と今ひとつ魅力が感じられなかったんだけど(十二夜だけは、男装の麗人好き趣味から萌えた)、そういう感覚のずれみたいなもんがリチャは少ないなって思う。
まあ、こんな美形イメージでいいのなら、こーいちさんがやってみたらいいよね!