- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102020111
感想・レビュー・書評
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駐車場で発掘された人骨はリチャード三世のものであつた! といふニュウスがありましたな。
ボズワースの戦ひで戦死したリチャード三世は、その遺体を埋葬した場所は不明だつたさうです。それが死後500年以上を経た21世紀になつて、駐車場から発見されるとは、愉快ではありませんか。
リチャード三世は、希代のワルとして有名。いや、さう思はれてゐます。実際には民衆のために善政を行つたとの説もございます。
残忍で狡猾な人物との印象を植ゑ付けたのは、どうやら沙翁の歴史劇『リチャード三世』のせいみたいです。この人物像は沙翁の創作の賜物か?
王位の座を手に入れるためには、手段を選ばないリチャード。邪魔な存在は消し去るのみさ、とばかりにやりたい放題であります。口も八丁、手も八丁。
せりふが何とも魅力的。春、早ければ、夏、短し、なんてね。つい真似をしたくなります。時折冗漫と思はれるやりとりもありますが、まあいいぢやありませんか。
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薔薇戦争の終結。
シェイクスピアのなかでは結構好きな話。醜さとは。。 -
四大悲劇を読み終えたときよりさらに感慨深いのは、福田恒存の翻訳の見事さによるのではないだろうか。
日本語の音がとにかく美しく耳にここちよい。
それとやはりシェイクスピアは天才。
セリフ運びの見事さといったらもう、ほれぼれする。
しかもそのセリフがまたインパクトの強いこと、
深いことこのうえなし。
これまでシェイクスピアに感慨を抱いたことがなかったのだが
あらためて再読したいと思った次第。
もちろん福田訳で。 -
台詞劇なのに読ませる!さすがシェークスピア。歴史は覇権側から書かれる。
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これがロマンチックになればマクベス。
・・・なるほど!! -
これを中学生で読んだ私。
マキャヴェリの上を行く、悪役の最たるもの。
私はかつてグロスター公に惚れていた。
どこまでも悪を美しく演じる陶酔。
運命の中心にいるようでいて、運命から見放されることを自覚している滅びの美。 -
古田新太主演の舞台を見る前に予習として。
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表紙を見るたびに「平幹二朗さんだなー」と思う装丁(笑)。先ごろ、「劇団☆新感線」の看板役者、古田新太さんがタイトルロールを演じられたこの戯曲は、ヨーク家とランカスター家のイングランド王位争いを題材に取った作品です。もうとにかく、リチャード三世となる男、グロスター公の周りで、人がじゃんじゃん死ぬ!解説によれば、シェイクスピア劇最多の死者を誇る作品(笑)とか。ヨーク家のエドワード四世の死後、冷徹な思考で政敵を消し去り、王の遺児を葬って王位を目指します。「悪役で行く」と自覚して突き進む、彼の悪意に満ちた台詞は華麗!しかも、ほとんど出ずっぱりでしゃべりまくる役なので、役者さんは大変だわ!先王の未亡人らが吐く恨みの台詞もまた華麗です。日本語の小説などでは、登場人物が口にする、悪意に満ちた台詞はとても短いように感じますが、このお芝居の見どころはこの、葬る立場と葬り去られる立場の人間が口にする、華やかな悪意がもうなんだか迫力ありすぎで圧倒されるところ。「炎の蛇のように」というたとえがありますが、納得!筋運びの後半にはある預言が実現する運びとなり、『マクベス』のように亡霊あり、反乱あり…でも、グロスター公が改心とか、ぬるい小細工をしないところがあっぱれです(笑)。史実のリチャード三世は暴君ではなかったといわれますが、このギラギラした悪意(グロくはない)の華やかさ、言葉の豊かさに圧倒されるので、この☆の数です。他の訳者さんのものも読みやすいと思いますが、私は福田恆存さんの語調が好きなので、新潮版を。ただ、つけられた系図が簡潔で、しかも「この人が死ぬ」とマークがつけられている角川版もおすすめです(笑)。
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2008/03/12