- Amazon.co.jp ・本 (549ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102042113
感想・レビュー・書評
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ベトナム戦争関係の映画や小説がけっこうすきです
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★2008年51冊目読了『カチアートを追跡して』ティムオブライエン著 評価C
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再読。以前ベトナム戦争の関連書籍を読み漁った時に手にした一冊。あからさまな従軍体験やイデオロギーの観念を欲していた当時の自分には、このファンタジックな冒険物語をもの足りなく感じた。今回再読して改めた。そもそも戦争に借り出された米兵達に信念などあったのか。目的を持たずに手応えも感じずに過ぎ行く日々。感覚は鈍化する。しかし確実に駒は減り統計として事実が残る。この虚無感こそが戦争の実体なのかもしれない。そこから派生したもう一つの物語。その想像力が飛躍すれば飛躍するほど戦争の悲しみを感じずにいられなかった。傑作。
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決して巧妙な言い回しや緻密な推敲があるわけではなくてすごく荒っぽいんだけど、どっぷり引き込む力がある。ベトナム戦争を戦争ではなく、その時を生きた個人として語る。ベトナム戦争を書かせたら彼の右に出るものはいないと思う。
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あとがき通りだな。
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一番印象に残ったのは、戦場で汚物に沈んでいく兵士の話。
なんとなく想像できそうなバカバカしいかなしさ。
こころから、戦争というのはクソだと思った。
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ヴェトナム戦争の最中、パリへ向けて脱走した兵士をを追跡する。
突拍子もない設定である。その割に、意外性とか人を食ったところが全くといっていいほどないという、何とも変わった小説。
繰り広げられる追跡行はヴェトナムからパリへ(脱走兵と目されて)行くのだから、もちろん何度も波乱があるのだが、その波乱が何とも現実的というかありきたりというか常識の範疇に収まるものばかり。
並行して語られるヴェトナムでの戦争体験も、過激さとは程遠い。ダラダラと続く退屈な日々、かといって全く戦闘がないわけでもなく戦死者は出る。何だかこれもリアルすぎるくらいにリアリティに富んでいる。
語り口も平明な口語調。どこをとっても尖ったところのない小説。
でも退屈はしない。妙な小説である。
もっと奇抜に、遥か彼方まで跳躍していける素材を用いながらあえてそうしない。一風変わった味わいの「フツーの小説」。
蛇足だが、帯の文句に「驚愕の結末」ってあったんで期待していたんだけど・・・・。大方の読者の想定の範囲内だと思うんだが。 -
なぜか今でも心に残る作品。あまり名作として紹介されていないのが納得できなかったり。