続あしながおじさん (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102082041

感想・レビュー・書評

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  • ジュディの級友、サリーが主役となる『あしながおしさん』続編。
    ペンドルトン夫妻により孤児院の院長となったサリー。始めは辞めるのことばかりを考えていた彼女が仕事のやり甲斐、孤児たちへの愛情に芽生え、周りを巻き込んで孤児院の改革に尽力を尽くしていく。
    お嬢様育ちのサリーが段々と逞しい女性へと成長していく様を見ていると不思議と勇気づけられる。

  • 優生学というものが、いかに善意によって広く浸透していったものであるのかが伺える。(私の勤務校では、司書さんの判断で閉架図書にされていました。その判断は極めて適切であろうと思います。予備知識のない子供に読ませたくないのは確か)

    文体は軽妙洒脱。本当に、本当に面白くて夢中になって読んでしまう。サリーは(前作ヒロインの)ジュディに負けず劣らず魅力的。

    そのサリーが、「ロレッタの風邪に砒素を処方してくださいとお願いしたい誘惑に駆られています…あの子はカリカックです。このままそだてて、社会が面倒を見ざるを得ない三百七十八人の家系を創らせてやってよいものでしょうか?」と書く衝撃たるや。
    (せめても、犯罪が遺伝するとするカリカック家の研究が、いまは否定されていることを同じページ中に注でつけて欲しい…)


    20世紀初頭という時代を強く感じる作品です。良くも悪くも。そして、その時代と現代が明白に地続きであることも。

    前作に続き女性の自立…教育を受けてものを知った女性が、政治参加や社会貢献に目覚めていく過程が一つのテーマになっている。

    前作にあたる「あしながおじさん」で、主人公ジュディは「大作家」となる兆しを見せながらも、物語上は支援者である青年実業家ジャービスとの玉の輿婚というシンデレラストーリーに回収されてしまった。ヒーローの振る舞いは「ただしイケメンに限」り許されるとしか評しようのない独善的なものだ。

    しかし本作では、一見ジャービスに勝るとも劣らない(しかし女性の社会貢献や使命をバカなことと言いすてる)青年政治家のゴードンと、サリーは破局に至る。そしてその破局はヒロイン、サリーによって「自分が自由で、一人で、自分自身の主人だと気づいた途端、喜ばしい安堵と解放感が広がりました!」と語られる。
    20世紀初頭の、アメリカの上流から中流の家庭における女性の吸っていた空気が読み取れる。

  • あしながおじさんの続編があると知って、購入。
    こちらも胸のすく清々しい話だった。
    あしながおじさんの主人公のジュディの友人、サリーの物語。
    この時代のアメリカで、女性が社会にとってどんな存在で、それが目を覚ました女性にとってどれだけ息苦しいものであるかをサリーが成長しながら抗っていく。
    現代の日本ではまだまだ闘っている女性が多いことを思うと、アメリカと日本では100年の差があるとまでは言わないが、50年は遅れていると思う。
    ハッピーエンドはお約束。

  • 自分を本当に支えてくれる人は
    意外とすぐ近くにいるのかもしれない。
    何年も前の話なのに、
    全く色褪せないのがすごい。

  • 2018.12.24

  • 少し前に読んだ「あしながおじさん」が良かったので続編も読んでみた。期待以上に面白かった。この続編のほうが好きなくらい。
    主人公サリーは、前作の主人公ジュディの友人である快活な女性。孤児院を改革するため院長として働くことになる。彼女の奮闘と成長、恋を描く。全編がサリーのユーモアあふれる手紙で構成されている。孤児院改革のドタバタが目に浮かぶよう。手紙の宛先は7-8割がジュディ、残りがボーイフレンドの青年政治家ゴードンと孤児院の嘱託医マクレイ医師。無愛想で非友好的なマクレイ医師に対して「敵殿(Dear Enemy)」なんて書き出しで手紙を送ってしまうサリー。なんというユーモア。あっけらかんとしているというか根が明るいというか、いいキャラだ。100年前の小説なので、現在では医学的に否定されている遺伝関係の描写があるのだが、それでも物語としての面白さは変わらない。

  • あまりの面白さに3時間で読んでしまった。サリーが主人公。「続」の方が面白いかも。

  • 今回も手紙だけど送り主はジュディじゃなくてサリー。
    お嬢様のサリー自身と孤児院の改革が綴られる。サンディとは基本的に衝突し、ごくたまにだけ良い協力関係という具合で進んでいく。
    最後は一気に読んだ。怒涛の展開だった。
    何十年も前に、このように女性の自立、社会進出を描いたのは凄いと思う。

  • 大学卒業後、なんとなく社交生活を送っていたジュディの友人サリーは、ジュディの夫であり孤児院の評議会会長の元あしながおじさんジャービス氏から院長に指名され、孤児院の改革を依頼される。
    あしながおじさんの続編ということだが、主人公は交代し全然違うタイプの物語になっている。サリーは初めはやる気もなく早くクビにしてくれとお願いしており、次が見つかるまでのつなぎのつもりでいたが、次第に仕事にやりがいを持ち、自分らしさを見出していくようになり最後は結婚より仕事を選ぶ。大卒の半人前女子がだんだん仕事ができるようになり一人前の社会人になっていく様子と重なりますね。遊びに来てくれた彼氏が目の前にいると楽しいけど、さよならして目の前からいなくなるとすっかり忘れて仕事にのめりこむというのがおもしろい。
    あしながおじさんは地面に足がついてない感じが拭えない夢物語だが、こちらは現代にも通じる働く女子のリアルな物語。訳者あとがきに書いてあるが、若干著者が重なる部分もあるようで。
    100年も前に書かれた物語で、当時の時代背景を示す描写がいくつか出てくる。孤児院でもらわれていく子供としての理想像は、アメリカ生まれアメリカ育ち、金髪で青い目のピンクのドレスが似合う女の子だとか、慈善事業に従事する者に報酬はいらないという考え方は、今でもそれほど違いはない本音のように感じる。

  • とっても素敵な本だった。
    タイトル通り、『あしながおじさん』の続編。
    あとがきにて、原題が「Dear Enemy」と知る。
    読み終わってから知ると、おお洒落てるってなるけど、
    読む前から知ってたらだいぶネタバレかも。

    『あしながおじさん』とは違って、大きく派手で衝撃的な事件が後半に起こるのが印象的。
    おや、これは…?と思い始めてから、ページをめくる手が止まらなくなってしまった。

    『あしながおじさん』はザ児童文学!ってかんじだけど、
    これは児童文学にしては大人向けかも。高校生以上くらいかなあ、面白さが分かるのは、と思った。

    旧訳の感想読むと「差別的すぎて云々〜」っていう意見が目立っていたけど、そんなに感じなかった。
    新訳版ってことで、むちゃくちゃマイルドになってるのかな。

    あとがきを読んで、少しほほう、となる。
    作者のジーン本人も、妻子ある男性と恋愛関係にあったらしい。
    39歳で亡くなったのね。生きていたらもっとたくさん文学を書いていたかもと思うと、とっても残念。
    もっと読みたかった。

  • もうとにかく愛しくって大好きな本!
    この読み終わった後のときめきをうまく言葉にできなくて悲しいけれど、とにかく、初めは前作に比べてサリーが主人公なのなんで!ジュディ!って思ってたし、あんまり入り込めなさそうって思ってたけど、いつの間にかサリーが大好きで、どんどん素敵になっていくジョン・グリアー孤児院が大好きで、サンディが大好きで、出てくる全ての登場人物が大好きになっていました!活き活きとした描写に、ジョン・グリアー孤児院の変化の全てを実際に見ているような気持ちになるくらい、映像として想像できて、本当一員になった気持ち。もっとサリーの改革をみたかった〜!物語すべてがサリーが書いた手紙でしかないのに、こんなにも素敵な物語になるのは何故なんだろう!ジーン・ウェブスターは素晴らしい作家です。あーもう大好き!

  • 子どもの頃に児童書で読んで大好きだったあしながおじさんに続きがあったとは!
    今回はジュディの親友サリーが、ジュディから彼女の古巣である孤児院の再建を任されて奮闘するお話で、本篇同様手紙の形で物語が進行していきます
    しっかり芯を持った性格のサリーがかっこいいです!
    あしながおじさんは学生時代の話が主で子どもが読んでも楽しいけど、これは仕事や結婚の悩みなどちょっと大人向けに感じました
    だからこそいま読めてよかったです

  • あしながおじさんで脇役だったサリー マックブライドが、主人公。
    あしながおじさんは少女の頃胸キュンしながら何度も読んだ作品だったので、続編が、あるならもっと早く知りたかった!文庫の表紙も挿絵も可愛い。
    まだ途中ですが、もう一度あしながおじさんも読みたくなってきました。同

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著者プロフィール

ジーン・ウェブスター

「2004年 『あしながおじさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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