- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102094020
感想・レビュー・書評
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まだ世間知らずな少年が激しく人妻に恋をする。激しく嫉妬し一喜一憂し、いじけて憎しみや怒りを相手にぶつけたりする。その子供っぽい感じと著者の文体との差に違和感。実際の自分の経験だとしたらさらに違和感を感じる。賢い人でも恋愛するとこのようになるということか。
肉体の悪魔は、理解できるもののあまり好きになれず、最後のドニーズは理解に苦しむ作品だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初は引き込まれるものがあったがどんどん訳が何を言ってるのかわからなくなり途中でつまらないから読むのをやめた。
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ほかの誰も薦めなかったとしても今のうちに読んでおくべきだと思う本を紹介します。 (14歳の世渡り術)に出てきたのでチェック。
肉体の?
うーん。ちょっとイメージ違い。
フランス文学の恋愛モノ。 -
レイモンド・ラディゲと言えば三島由紀夫最愛の作家。
いつかは読もうと思ってた。
「ドルジェル伯の舞踏会」がよかったんだけど、できれば堀口大学訳を読みたいと考えていておまけにそれが貴重本のため、これにいたる。
「肉体の悪魔」
なんと言うべきか、
「肉体の悪魔」って題名からかなり魅惑的で素敵な予感を感じていたのだが、この作品だけを見て判断するのならかなり残念なできあがりなのだろうなと思う。
読みながらもそれをひしひしと感じて、どうしようかな…と多々考えてしまった。
物語自体は一人の青年の人妻との道ならぬ恋物語。
恋物語、青春、それに尽きる。
これを書いた時にラディゲはおよそ17歳ぐらい、
それは凄い。
でもラディゲ自身はそうして自分が若き天才と評されるのは好まなかったようだ。
年齢を感じさせない作家こそ、才能のある作家であると考えていたようだ。
そうか、
だが、ならばどうすればいいんだ。
と、思ってしまった。
要するに私にはあわなかったのだろう。
時に見え隠れする皮肉な心理。
それがちらりと露呈するとなんとなくミシマの香りを感じた。
おのれの心を裏切るあたりや他者の心理の動きをうまく追いかけ、あわよくば飼い殺すあたりが、あぁこれがミシマの愛したラディゲの所以なのだろうと思った。
確かに単純な恋愛物語にしては心理描写をしっかりと書いているとは思う。
それも青春特有の衝動や考えをやはりその時代にいる人間ならではの目線で、それも客観性ではない冷静さを持って描いている。
これは、彼にしか出来ないことだろう。
彼のように早熟で、言葉と情熱に長けたものにしか出来ない行為だろうな。
でもな、何度も言うようだが物語が凡庸なんだ。
それが、なんだか台無しにしているんだ。
早熟だという言うことの弊害は言うなればこれだろう。
「ドニーズ」もそうだが、物語がつまらないんだ。
読み進めて、読み終わって、色々と考えた。
が、私は自分が何かしらい言い訳をしようとしていることに気付き、あっぁやめようと思った。
好きじゃないのだ。
そしてつまらない。
いくら周囲が天才だと褒めちぎろうともこの際関係ない。
少なくともこの物語においては私は何かを読み取ることも、面白さもたまらなさも感じることが出来なかった。
まるで他人の日記を読んでしまったような気分。
それも赤の他人ので、その若く稚拙な葛藤と言い訳を永遠と見せられ、聞かされた気分。
いくらうまい描写を持ってしても物語とそれにまつわる視点に広がりがないとつらいもんだ。
ちらりと、自分の年齢がこの物語の賞味期限からはみ出てしまっているから、こんな不満足を感じるのかとも考えたが、たぶん17才でこの本を読んでいてもそれほどの感嘆はうけなかっただろうなと思う。
なんと言うか、疲れる本だ。
でも、やはりこれだけで判断はしたくない。
だってあの最後の皮肉、アレはいいではないか、
だがしかし、その猶予で甘やかしてもいけないのだろうな。
この本を読んでいて「仮面の告白」を思い出した。
アレは確かにもろラディゲの影響を受けたのだろうな、と思う。
近々「ラディゲの死」を読まねばならないな、