老人と海 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102100042

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  • 老人の3日間にわたる漁の模様を余すことなく描くことで、生きる底力がひしひしと伝わってきた。

    ここまでやりきれる老人だったからこそ少年があそこまで懐くのも理解できる。

    こんなかっこいい老人になりたい

  • 海に漕ぎ出す描写に勇気づけられ、カジキマグロを釣り上げるシーンで手に汗握り、サメに襲われるところでは思わず涙……。
    読むたびに「すごい……」と思わせる名作です。

  • 大海原にぽっかり浮かんだ小舟の上に、ひとりっきりの老人。手元の網の下には、見たこともないほど巨大な魚。勘と経験だけを頼りに、たったひとりで大魚に対峙する。

    弱音を吐いてもすぐにそれを否定し、大魚に立ち向かう。老人といえども、肉体的にも精神力にも強い。凛々しい姿に、心を奪われた。

    釣りをしたこともない、ましてや舟に乗って漁になど出たこともない、そんなわたしでも、老人と海の様子が目に浮かんだ。

    たったひとりで海にいるとき、老人は、元弟子の少年のことを何度も思う。「あの子がいてくれたらなあ」。
    そう思える相手がいたからこそ、老人は、困難を乗り越える ことができたのかもしれない。
    ボロボロになって帰ってきても、優しく迎え入れてくれる人がいるというのは、なんと幸せなことだろう。

    p151
    ここにAとBという二人の人間がいるとします。作者がこの二人の交渉を描こうとするばあい、時間の概念のうえにたったヨーロッパでは、その関係の必然性がどうしても過去に規定されがちであります。AがA'という町に棲み、BがB'という町に棲んでいるとすれば、AはA'の、BはB'の、それぞれの町の歴史や人間関係をうしろに背負っていて、そうかんたんには結びつけられません。また、ひとたび交渉が生じたにしても、両者の関係は、二人だけの自由意志によって無限の可能性を含んで発展しうるというようなわけにはまいりません。
    われわれが往々にして個性と考えがちなものは、じつはそういう特殊な過去の環境によって作りあげられたものなのであります。われわれはよく、作品のなかに作者の個性を、あるいは登場人物の個性を求めます。それがなにを意味するかと申しますと、ある特殊な過去の経験を背負っているひとりの個性が、べつの経歴を背負っている人物や環境と出あって生きにくさを感じながら、悩むことによって、ますます自己の特殊性を、いわば個性を発揮するのがおもしろいというわけであります。すなわち、AはBやB'にぶつかって、BはAやA'にぶつかって、ますます自分がA'のAであり、B'のBであることを痛感せしめられる家庭が小説に描かれるのです。
    だが、ひとびとはそれだけでは満足できなくなってきました。近代の個人主義は、他人とはちがう自分という意識をめいめいが自覚することを要求するのです。AはB'に棲んでいるBとちがうことはもちろん、おなじA'に棲む他の人間ともちがう、まぎれもないAでありたいと思いはじめたのです。

    p154
    第一次大戦後、イギリスに「意識の流れ」を描こうとする流派が出現しました。フランスには「自意識の文学」とでも名づくべきものが出現しました。

    AがBと、あるいはBがAと、ちがう特殊性をもはや描けなくなったとき、いいかえれば、AもBもけっきょくおなじものとしか思えなくなったとき、さらに個性的なもの、特殊なものを追求しようとすればAやBをながめている自己をとらえるよりほかに手はなくなります。対象のAやBに差がなくなれば、しかもそのAやBの描きわけということでは先人がすっかり分析しつくしてしまったあとでは、残された唯一の手は、ABをながめるながめかたに、その作家独自の個性をだすことでありましょう。

  • 読了2021.10.28
    大魚との死闘、そして鮫との闘争。
    老人はとにかく闘う。そこに肉体がある。
    老いた体と、傷ついた手こそが彼の人生を物語る。

  • 熱い男の話。無骨な文学

  • 情景描写が細かく、読みながら頭の中に状況が浮かんでくる。
    ページ数も少ないのでサラッと読める。
    面白いかと言われると微妙。

  • ヘミングウェイの代表作の一つ。
    人生はハッピーエンドになるとは限らない。厳しい状況であっても、決してめげてはいけない。自分の生き方に満足することが大切。他人の事は気にしない。
    中学生の頃に初めて読んで、この小説から生き方を学んだような気がした。

  • この一冊で海の色々な表情が読み取れた。
    人間にはどうすることもできないことがある。『老人と海』ではそれは自然だった。
    最後まで自然と戦い続けたサンチャゴと、自殺で一生を終えたヘミングウェイは対照的だと思った。

  • 全力で生きる人間。これが生。

  • 2020.5.8

    初ヘミングウェイ
    サリンジャー以来のアメリカ文学

    老人は大きなカジキマグロや鮫と闘うが、それは老人の自身との闘いだなと思った
    自分自身に言葉を言い聞かせることが多い、多くを願わない、ストイック
    ただ大きな魚を釣りたい、自慢したいみたいな下劣な欲は無くて、自分のプライドや運命と闘っての魚との長い航海なのがいい

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