幸福な死 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102114087

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  • 第一部「自然な死」、第二部「意識的な死」、それぞれ五章立て。

    最終章の直前、第四章の最後で、
    アーモンドの花とオリーブとキャロブ(いなごまめ)の
    重たい芳香に噎せ返る内、自分と世界の境界が曖昧になって、太陽やら大地やらに意識が翻弄され、
    ひき裂かれ出してからが俄然面白い。

    最終章突入。
    主人公が緩慢に死んでいくシーンの情景描写と心理描写の
    混沌具合が絶妙で、おーっと思ったら・・・

    そう、この話ってば、「幸福な死」だった。
    まさにここが売りだったのね。
    珍しく(?)素直な観客してました。

  • 名言がたくさん。
    「お金を持つということは、
    その人をお金から解放すること」
    「幸福には様々な条件がある、と
    思い込むことが間違い」
    「大切なことは幸福への意思であり、
    いつも現存している或る種の巨大な意識」
    「長い間幸せでいることはできない。
    一瞬、それがすべて」
    「それだから死が何かの妨げになることはない」

  • 幸福な死とはなんなのか、主人公のメルソーは幸福を死と考えていた。だからその意味で「幸福な死」っていうのは同語反復になっている。重要なのは死ぬこと自体よりも、死ぬまでのプロセスなのかなとは思った。

    メルソーは途中で下半身を失った友人を殺すことになる。その友人は、自分は幸福になれなかったという。用をたすのにも他人の手を借りなければならない始末。家族もおそらくいない。作中に記述があったかどうかは覚えていないけれど。

    そういう死にゆく様を見て、結局誰の手を借りることもなく、自分の足で立ち、生きて、最後はすとーんと死ぬのがベストだと考えたんだろうか。

    愛する人を持たないっていうのがあったけれど、これは死が愛するものとの離別を意味することになる。そうすると愛する人がいるっていうことは、死を前提にするとき、幸福を妨げる、苦しみを生むことになる。

    だから一人で死ぬのが一番幸福な死になるのだと考えたのではないか。

    死は結局病死のような形だったが、どうして自殺にしなかったんだろうかというのが疑問。
    自殺は幸福を妨げるのだろうか。
    キリスト教的には自殺は禁じられている。カミュが育った文化背景には自殺がタブー視されていて、死後の世界に至っても不幸になるというような言われでもあったのだろうか。

    自殺とこのメルソーの死の違いは考えていきたいです。

  • 単なる資料以上のものではない。

  • 異邦人を読んでからこれに入ったんだけど、「意識された死」の方が退屈で挫折し、再度読み直し。
    「自然な死」の方は異邦人とも親和性が強いというのが分かり易くて、それになんだか共感をおぼえるところもあった。
    他方、「意識された死」へ続く部分がなんだかいまいち読み切れず、やっぱり後半は退屈だったな~。

    表現は最初から最後までやり過ぎなくらい!w
    でもなんかこういう美しくさせる表現が、モヤモヤと、作品の世界をボヤかしていて、死という壮大なテーマに挑むには効果的な感じがしました。
    それと、卑猥な言葉はほとんど使っていないのに表現がものすごくエロい!これはすごいと思う。

  • カミュの処女作。まとまっていないが、解説にもあるとおり、資料としての価値は高い。カミュの書こうとしたテーマが、ここにはすべてつまっているような気がする。
    また、ところどころに、素晴らしい表現があり、カミュが発表しなかった作品ということでけいえんするには、あまりにもったいない。

  • 異邦人を読んだので、次はこれ。
    メルソー= mer. soleil

  • 宝くじが当たったら時間を買って幸せになろうと思った。

  • 高校生の頃に読了。

  • 「ぼくらには、ぼくら自身になる時間はない。ぼくらにはただ、幸福になる時間があるだけだ。」

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