フェレット物語 I 海の救助隊 (新潮文庫 ハ 9-2 フェレット物語 1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159026

感想・レビュー・書評

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  •  非常に好きなリチャード・バックの作品なのに、しかも薄い1冊なのに、読み終わるのにかなり時間がかかった。それは、作品の設定にすんなり入り込めなかったからだ。

     登場するのがほとんどフェレットというのはいい。フェレットがエンジンの着いた立派な船を操り海難救助をしているのも、ロックスターだったりするのも、雑誌が発行されていたりするのもいい。そういう世界の話なのである。

     たとえば、「カモメのジョナサン」とか、あるいは「ウォータシップダウンのうさぎたち」とか「くまのプーさん」などが、それぞれの動物の生態のようなものを(多かれ少なかれ)踏まえた上で、人間のような思考力などを与えている。それに対してこの作品の場合は、人間の社会生活をそっくりそのまま維持した上で、人間の場所にフェレットを置いている。シルバニア・ファミリーとか、映画の「銀河鉄道の夜」のような雰囲気である。

     まあ、それはそれでいいのだ。そういうものなのだから。ただ困ったことに、この作品の世界には人間も存在するのである。どうやら、フェレットの海難救助隊が救う船は、人間の船であり、救う相手はその船に乗っている動物らしい。このあたりで、僕の頭はくらくらしてきて、たとえばフェレットが乗っている船のサイズとか、そういうところでよくわからなくなってしまったのである。

     その違和感を別とすれば、とても楽しく読める本である。実際、読んでいるうちに物語に引き込まれて、上記の違和感はわりあい感じなくなったのは確かである。

     ただし、一連のバックの作品に比べてみれば、物語としての魅力は浅く単純で、クライマックスシーンに「ああ、きたか」と思ってしまうような、ある種の説教臭さを感じてしまったのである。

  • 理屈ではなく「表現しながら生きる」ってことをしたくなる本である。

  • とても明るい小説。困難に立ち向かい成し遂げることに対して前向きな表現に満ちあふれている。
    これを人間を主人公にしてやると現実世界との齟齬が出るため,あえてフェレットでやっているようだ。
    なので,人間と同じ感覚で同じような生活をするフェレットという設定のため,最初は取っつきにくい。
    あとがきにあるようにいわゆる「使命」に目覚めたとはどういうことかを表現しされていて,ちょっと夜間飛行を思い出した。

  • 恐らく熱を出しながらゴールデンウィーク前日夜の新幹線で読む、という変なシチュエーション。思ってたバックの世界とは違うなあ、と思いながらも、泣けちゃった。たまにはこういうのもいい。

  • 5冊のフェレットシリーズ。それぞれに登場フェレットが違い、1巻目のこちらは、フェレット・レスキュー・サービス(FRS)の女性キャプテン・ベサニーの巻。
    レスキューボートでの海の救助とフェレットという姿は、真剣でも愛らしく、また巻末にあるように寓話的でもあります。量はないのでやさしく読めます。名前だけ知っている「かもめのジョナサン」の著者。

  • 正直期待をしていなかったが、とても楽しめた作品。
    海で働くキャプテンとクルーたちの命がけの救出活動。
    最後の方は一気に読み進めてしまいましたよw
    面白かった♪( ´θ`)ノ

  • 久しぶりに元気をもらった。
    愛らしいフェレット達の大冒険!

    坂崎千春さんの挿絵もかわいらしく。
    読んでいて幸せでした。

  • フェレット好きの友人から、「最近こんなのを読んだよ」と教えてもらった本。
    選ばれて厳しい訓練を受けたものだけが入隊を許可されるFRS(フェレット・レスキュー・サービス)っていうのがあってね~、もちろん隊員は全員フェレットでね~、
    ともうその設定を聞いているだけでおかしくて、読みたい読みたい!と貸してもらいました。

    幼いころ母親から読み聞かされた物語に心打たれ、士官学校に進んだベサニーは少尉となり、海辺の基地に配属された。
    海で災難に遭遇したすべての動物を「黙って救う」のが彼らのミッション。
    あるとき、セレブシンガーが取材のためにやってきて、訓練をともにする。
    そして嵐による海難事故が発生し・・・

    彼らの基地は隣にある人間の沿岸警備隊とぜんぶ人間のもののミニチュア版である以外、装備やつくりはすべて一緒なんだって。
    最新鋭の装備をつくしたJボートも持っているし、厳しい訓練のたまものともいえる技術と知識、経験は人間界とまったく同じ。
    ただそれぞれのミッションを黙々とこなすのみ。

    なんかほんとにそんな世界がありそうな気がしてきたよ・・・
    フェレット界の雑誌も、セレブな社会も。

    そして読み終わるとちょっと「キリッとせにゃいかんなあ」という気持ちにさせられる本です。
    フェレット達の生きざまから学ぶこと、基本的な事だけどはっとさせられることが多かったです。

    「いろんな生き方があるけれど、それぞれに大事なのは、美しさを表現すること。」
    そんなことをフェレットからキリッと言われた日にゃ、思わず姿勢を正してしまいます。
    フェレット好きな人はもちろん、薄くて読みやすい本なので、深呼吸的に読むのにちようどいい作品かもしれません。
    (しかし、海難シーンはけっこう疲れる・・・)

    そして、今度から海に行ったときには、「基地があるかも」って思ってしまいそう。

  • 表紙と中の絵がかわいすぎて一目ぼれ購入。
    そして読み出したら面白くて続きが気になっています。
    しっかりしているけれど、どこか優しい表現の文章で
    読んでいて疲れない物語だと思います。

  • 可愛らしくて勇気ありすぎる!残りも楽しみなシリーズです。

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著者プロフィール

1936年、アメリカのイリノイ州に生まれる。空軍パイロット、郵便飛行士、エアショーや遊覧飛行をしながらの地方巡業を経て作家になる。代表作として、ヒッピーのバイブル的小説となった『かもめのジョナサン』の他、『イリュージョン』、『ОNE』などがある。2012年、自家用飛行機を操縦中に墜落して瀕死の重傷を負ったが、一命を取りとめ、現在はリハビリに励んでいる。

「2013年 『ヒプノタイジング・マリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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