- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102193044
作品紹介・あらすじ
「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層…悲劇はその夜、訪れた。巨匠キングの鮮烈なるデビュー作にして、三度の映画化を経た永遠の名作。
感想・レビュー・書評
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久々のS・キング。ここを始めてからは初キング。おトイレに行けなくなるのを覚悟していざ参る。
典型的なカースト最下層のキャリーはスクールにて壮絶な虐めに合っていた。月経が引き金となり彼女の念動能力(テレキネティック)が開花。
どこかのピンクの髪の少年とは違い常に暴走の不安が付き纏う不安定な代物だ。(Ψ楠雄Ψ)
内向的故に人に踏み潰される人生と、狂信的な母親の支配から逃れる為に彼女は舞踏会(プロム)に参加する。「変わりたい」そんなひたむきな想い、行動とは裏腹に彼女の決死の一歩は無惨にも失敗に終わる。いたたまれない。
この極度の緊張とストレスがエネルギーとなり限界を超え爆発した念動能力によって、街を火の海に変えてまった惨事の名が〈キャリー事件〉
死者数は行方不明者を含めて458人。
誰にも愛されず、特殊な能力を復讐にしか使えなかった一人の少女の孤独と苦しみは、恐怖に身構えていた私のハートを完全にブレイクしてきた...苦しい.。
少女「キャリー」の三人称語りと〈キャリー事件〉に関するドキュメントの二重構造は読みやすいかと言われるとそうでも無い。しかし、結末を知りその全貌を追うスタイルはなんだかチートな気分を味わえる。
漠然とした想像が読み進めると共に鮮明になる様子は、さながら大きな塗り絵に色をつけて徐々に空白を埋めていく感覚に似ていた。
あえて内容には触れなかったが、スクール内での女子達のキャリーに対する陰湿が過ぎるいじめ行為と、〈キャリー事件〉の引き金となった舞踏会での悲劇はあまりに酷すぎて読むのを躊躇ってしまった。
しかし、ここまで感情を取り込まれ額に皺が大集結し、私の人相まで変えてくるキングの表現力に感服せざるを得なかった。...般若みたいな顔になってた。
クライマックスの臨場感は浅いが、それは今のキングを知ってしまっているからだろう。王の原点を見るなんて恐れ多いが、デビュー作にて彼の覇王色の片鱗を肌で感じて欲しい。
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どの時期か定かではないですが、映画を見た記憶があります。多分うんと若い時に。
やっと鬼瓦面から脱せた所でしたが、折角なので次は映画を楽しみたいと思います。ごめんね私の表情筋。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スティーヴン・キングを読んでみたい!と思い立ちまずはこちらを。なんとデビュー作らしい。
キャリーの映画は一作目(1976年)も、クロエ・モレッツのリメイクバージョン(2003年)も数年前に視聴済みです。忘れた頃になぜか見直したくなる好きな作品。(キャリー2(1999年)があったことは知りませんでした。)
好きな映画の原作ということでわくわくです。
母親の支配から逃れ普通の女の子になりたいと願うキャリーの心情が小説だとより流れ込んできて胸が痛い。
「わたしの一生そのものが長い卑劣ないたずらだった」
キャリーにも幸せになれる可能性があったのに。
スーの心情も映画よりよく読み取れて良かった。
悲劇としか言いようのない青春小説。
解説に、70年代のオカルトブームから80年代の本格的ホラーブームへの流れが書かれていておもしろかった。
久しぶりに映画キャリー見たくなりました♪-
不朽の名作「呪われた町」も是非。吸血鬼というクラシックホラーの恐ろしさを満喫できます!不朽の名作「呪われた町」も是非。吸血鬼というクラシックホラーの恐ろしさを満喫できます!2022/04/10
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shintak5555さん
スティーヴン・キング、次何読もうかなと思っているところでした!ドラキュラものの映画はわりと好みなので小説初挑戦...shintak5555さん
スティーヴン・キング、次何読もうかなと思っているところでした!ドラキュラものの映画はわりと好みなので小説初挑戦してみます♪ありがとうございます( ´ ▽ ` )2022/04/10
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狂信的な母からの精神的・肉体的支配、同級生からのいじめ。禁欲的であるよう強いられ、男性に狙われないようにと時代遅れなほどズルズルと長いスカートや野暮ったいブラウスを着せられ、二次性徴についての知識も与えられなかった17歳の少女 キャリー。
幼い頃からTK能力を持ち、それゆえ母からも悪魔の子とされ、ティーンエイジャーらしい楽しみとも無縁だったキャリーがつかの間味わったプロム・ナイトの華やかさ。心ない同級生とその彼氏の悪だくみにより、有頂天から一気に突き落とされた悲しみ、怒り。
彼女のTK能力により、チェンバレンの町は凄惨な悲劇の舞台となり多くの死者で溢れかえる。救いのなさが印象的な作品です・・・。 -
スティーヴン・キングのデビュー作にして永遠の名作。先月、『書くことについて』を読了したのをきっかけに、まだ未読だったので読んでみました。
本書はストーリー展開する本文の合間に、参考文献(本書の世界での)が随所に挿入されていて、最初は読みづらさを感じましたが、ドキュメンタリーのようなリアリティを感じました。
完全にホラー小説と思い込んでいたのですが、読んでみると、狂信的な母親とスクールカーストに苦しむキャリー、なんとも切ない話でした。
3度の映画化をされているようですが、1本も観たことがないので、映画も観てみたいと思います。 -
これがデビュー作なのか、と驚くほどの完成度。
まず、本作の中心となる物語を、キャリーホワイト事件として扱い、事件のあらましや、至った経緯などを調査委員会、分析者、マスメディア、当事者の報告など、資料として随所に抜粋。
その間に、主人公たちの視点を差し挟む、という構成で物語は進行していく。
資料抜粋箇所など、要所要所で客観的に見ることもできながら、登場人物の視点により、きちんと感情移入もできる。
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表紙カバーが現在のものより、福地靖さんのイラストの方が私は好きです