- Amazon.co.jp ・本 (564ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102193327
感想・レビュー・書評
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白人アメリカ人小説家が妻の死をきっかけにライターズブロックになり、最終的に小説を書かなくてもよい「そうはしたくない」気持ちになるまでの物語です。
主人公マイク・ヌーマンが死亡した妻ジョーの調べていた田舎町の過去に関する事件(歌手)に巻き込まれていくサスペンス、マッティーとの恋愛、マッティーの長女の保護権をめぐる法廷小説をキングが幽霊物でまとめていく読み応えのある小説になります。
敵役の実業家マックス・デボアと秘書ロゲット・ホイットモアがとにかく極悪で、ヌーナンを湖に落として石をなげて殺そうとするは、自殺して霊になってまで目標を達成しようとするところは感心してしまいます。
田舎町の白人住民がヌーマンに対しておもてむきは愛想が良いが、内心は相当な憎悪を持っているのはセーラ・ティドウェルの件を探っていることもあるがよそ者に対してや人種に対する差別があることが読み取れます。20年前の小説ですがそのへんのところは今も変わっていないのでしょうか。
日本人には理解しがたい「味方のクォーターバックにタックルした」等のアメリカンジョーク?も健在で大変楽しいです。
たまたま1ヶ月前にメルヴィルの短編小説バートルビーを読んだばかりなのですが、キングの見解を読んで自分の稚拙な感想が恥ずかしくなりました。でも、読者それぞれの感想があり、読書を楽しめればそれで良いとします。
結末をわかった上で再度読んでみたいです。
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あとがきによれば、ブラム・ストーカー賞の最優秀長篇賞を受賞したとある。
のだが、う〜む。どうなのかねぇ。
確かに。
クライマックスシーンは手に汗握る展開と凄まじい表現ではあるのだが、そこだけが特殊でそれ以外の部分はいたって凡庸。
最後に後日談的な種明かしの章が配置されているというのもなんだかな。イマイチな構成な気がするのだけれども。
キングの作品を読むのは久しぶりながらこれまでも少なくない数の作品は読んで来てこんな感想を持ったのは初めて。
スランプなのかと訝しんだが、世間では評価されたということなので、おれの方が合わなくなったらしい。
そろそろ潮時なのかも。
さみしい。 -
読み始めたら止まらない面白さ。
地元の権力者デヴォアは、権力者であるが故に嫌う人たちも確かにいたはずなのだが、気がつけば町じゅうの人がヌーナン達に背を向けるようになってしまった。
ちょっと前までは家族のように親しくしていた街の人々の、手のひらを返したかのような態度の謎。
それとは別に、ヌーナンの周りで起きる説明しがたい出来事の数々。
超常現象と言ってもいいそれらの出来事は、ヌーナンを害するものなのか、守ってくれるものなのか。
知りたいことがいろいろあって、途中で本を置くことができなかった。
それはまさにキングの小説の真骨頂ではあるのだけど、あとで落ち着いて考えてみるといろいろつじつまが合わないような気も…。
特に、亡くなって4年経つ妻と、今でも深いつながりを保ちつつ、若く美しい女性と相思相愛ってところがどうも心情的に繋がらないというか…。
奇しくも昨日読み終わった「ふりだしに戻る」と同じ20世紀初頭のアメリカが舞台。
フィニイが描く旧き佳きアメリカに出てこない、人種問題が事件の根っこに深くある。
誰かにとっての良い時代が、別の誰かの犠牲の上にあるものかもしれない。
それを忘れてはいけないと思う。 -
下巻に入った途端、めくるめく展開になってびっくり仰天
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「下巻」は結末が気になりいっきに読んだ。 面白かったんだが、納得のいかないことが多く、欲求不満に終わってしまい残念。 キング得意の引用にしても途中まではついて来れたが最後の最後でストンと理解できず(自分の理解力不足のせいだが)消化不良。 わからん
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なんか小学生の頃映画館でタイタニックを観た後の気分になった。あのマッティーがあれしちゃうところ。
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スティーヴン・キングの作品ということで、最後はわけのわからない怪物が出て来てチャンチャンってなるのが心配だったけど、そうならなくてよかった。
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デリー、イギリスなどを舞台とした作品です。
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妻を亡くした人気作家が、別荘で巻き込まれた幽霊譚。
やっぱりキングなので、緻密に張り巡らせた伏線がぴたっとはまっていくあたりは名人技って感じだ。妻を亡くした空白感とかも切実で、後半の盛り上がり方もすごかった。
が、なんかカタルシスがないんだけど。
いや、キングはもともとあんまりカタルシスがない作家だと思ってるけど、それにしてもね。技で上手く隠してるけど、結構荒い気がします。はい。