果断: 隠蔽捜査2

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103002529

感想・レビュー・書評

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  • 隠蔽捜査シリーズ第2弾

    長男の不祥事により、警察庁長官官房の総務課長から大森署の署長に左遷された竜崎伸也警視長。
    署長の一番の仕事が、署長決済の膨大な書類の判子押し…判子押しに追われる竜崎。
    そんな中、着任早々大森署管内で消費者金融への強盗事件が発生する。
    三人組の犯人の内二人は緊配で逮捕されるが、残り一人が拳銃を所持し
    管内の小料理屋に人質をとって立てこもるという事件が発生する。
    竜崎は慣例を無視して現場に駆け付ける。
    現場ではSITとSATの主導権争い…。
    SIT説得に応じない犯人、やがて銃声が聞こえ緊迫する現場。
    竜崎はSATの突入を命じ、犯人は射殺され人質は無事救助された。
    この事件は解決したはずだったが…。
    突入した時に犯人の拳銃に実包が残っていなかった事が判明し、それがマスコミに漏れた。
    マスコミは人質の無事救出よりもSATが犯人を射殺した事を問題視し書きたてる。
    竜崎と刑事部長の伊丹は監察を受けることとなる…。

    署長の仕事が膨大な判子押しにも驚いたし、地域の様々な集まりに顔を出す事にも驚いた。
    二十人以上が集まる会費五千円以下の立食パーティしか参加できないのも驚いた。
    そして、刑事部のSITの最大の武器は情報と交渉力で犯人を生きて確保する事。
    警備部のSATの最大の武器は文字通り制圧の為の武力。
    名前は良く耳にしてたけど、はっきり違いを知らなかったので興味深かった。
    官僚の縦割り、前例主義に与せず、物事を原理原則に則って合理的に判断するが故に、
    変人扱いされていた竜崎。
    竜崎が現場に赴任する事によって、方面部長との諍いに発展したりと少なからずトラブルも発生した。
    でも、複雑な警察内部の圧力や、従来の慣習をも気にせず、あくまでも自分の信念を遵守し
    上の者の顔色を窺う事じゃないと信念を曲げない竜崎の言動はとっても爽快で、潔かった。
    現場の刑事にもその正しさが伝わって変わっていく姿が良かったなあ。
    竜崎の息子がアニメの仕事をしたいと夢を抱き東大を目指す事が全く分からない竜崎。
    息子から渡されたアニメの映画…きっと、風の谷のナウシカの映画を観て感動してるの可笑しかった。
    前回の奥様冴子さん恰好良かったけど、今回の冴子さん胃潰瘍で倒れた。
    自分が倒れても、夫の背中を押す姿やっぱり素敵な人でした。
    次作の竜崎や家族がどの様になっているのか、とっても楽しみです。

  • 正しいことをした人が、正しく評価され、悪どい人は尻尾を巻いて逃げていく。水戸黄門のように安心して読み進めることができる。
    周りにどう思われても、自分が正しいと思ったことを貫いていきたいものだ。

  • 2日続けて隠蔽捜査1と2を読んだ。やはり始まりを読んでから こちらに移ったので、登場人物それぞれの人となり が分かって面白いね♪
    この変人 竜崎伸也も'風の谷のナウシカ'に感動するのが可笑しい 笑
    また気楽に楽しみたくなった時にこのシリーズからピックアップして読もうと思います。

  • 今野敏の隠蔽捜査2果断を読みました。
    息子の麻薬所持疑惑で降格人事で大森署長になった竜崎は、街金の強盗事件で指揮を取ることになります。
    竜崎のいつもの淡々とした行動と伊丹の人間くささの対比が面白いです。
    またまた一気に読んでしまいました。

  • 「隠蔽捜査」シリーズでは一番好きかも。
    面白かったでふ。

  • 一気に読んでしまいました。
    文章が軽妙で、読みやすかった。

  • 「隠蔽捜査」のシリーズ第二弾。息子の不祥事で警察庁から警視庁大森署の署長となった東大卒のキャリア警察官竜崎。拳銃を持った強盗犯の立てこもり事件が発生する。奥さんが、胃潰瘍で入院する中、息子は東大を目指すと言う。事件を解決する為に、竜崎は立てこもり現場の最前線を指揮する。同期で幼なじみの警視庁刑事部長の伊丹とのやり取りが面白い。やはりこの竜崎の個性が余りにも個性的すぎてだから面白い。

  • 官僚組織、階級制にがんじがらめになっている警察組織のなかで署長として奮闘する竜崎の姿を描く。
    安積班シリーズも良かったが、こちらの作品も別の意味で面白い。

  • 面白い。続きが読みたくなる。

  • 自分のための覚書、あらすじ。
    大森署の署長に降格となった竜崎。有能、合理主義者だがコミニュケーション、空気読む能力はない。
    キンパイの指示を出したが、部下がミス。
    ミスにより犯人逃げる。
    別件の喧嘩が拳銃を持った立てこもり事件に発展。現場に颯爽と登場する幼馴染、元いじめっ子伊丹。羨む主人公。
    SIT登場、SAT登場、立てこもり犯人発砲。指示を仰がず竜崎SAT突入許可。
    犯人射殺、人質生還。犯人の残りの銃弾なかったと判明。オフレコだったのに。新聞に叩かれる。
    責任のなすりつけ合い、上司の恫喝など。情報を漏らしたのは先回も登場した地元の捜査員戸高か?
    妻が吐血し入院、となり指示は適切だったかとも問われる。息子は東大に行きたいがアニメの仕事をしたいと言い出すし。
    戸高に情報の件を聞く、新聞に問い合わせ無罪と判明。
    何かこの事件はおかしい、と戸高。

    実は人質がキンパイの犯罪の手助けをしていて、逃げてきた知り合いの犯人を射殺。弾道検査、硝煙検査で判明。
    丸く収まり、クビも免れる。

    首席監察官は一枚上手。

    ーーー
    感想
    何年か振りで再読だけど、以前の記録なし。
    某掲示板風に言うならアスペではないか?という主人公。仕事は有能でも風呂の沸かし方一つ知らず、ワイシャツをクリーニングのどの店に出してるかも知らない。多分一人暮らしは不可能だろうな。自分でコーヒー入れたり出前頼んだりするぐらい覚えた方が良さそう。2007年発行の本なので、今ほどネット環境はないかもしれないけどアマゾンとかネットスーパーとか。
    仕事は有能。仕事しかできない。コミニュケーションは絶望的。家族の見舞いに手ぶらで行く。病院の売店で何か買うとかさー。奥さんなしでは行きていけないのでは?
    息子さんのアニメの時もまだ自分のレールの上を走らせようとする、が、アニメを見た結果、考え方が変わる。そして息子にもちゃんというのは偉い。アニメはナウシカ?
    アニメを見て感動し、捜査のモチベーションが上がるところが純粋、というかなんというか。マトリックスの原型のアニメは日本産だったんだねー。知らなかった。
    事件、というより竜崎の変化と成長?物語なのかな、とふと思う。
    部下の失策も自分で責任を取るある意味良い上司だけど、同僚がせいぜいで友達にはなれないかな。受け止めれない。奥さんとなぜ結婚に至ったのか知りたい。多分お見合い。
    奥さんが体調悪くても、病院行けよ、で終わり。行くなら警察病院だ、とも。いや、そうなんだろうけどさ。せめて病院調べてあげるとかね。
    自分が具合悪い胃潰瘍の吐血の奥さんも、現場に戻れ、と竜崎に言う、この人がいないと竜崎家はダメだな。
    胃潰瘍でも入院させてくれるんですね。私はダメでした。吐血はしなかったけど。

著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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