- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103046325
感想・レビュー・書評
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作者の中森明夫氏といえば
「おたく」という言葉の生みの親だとか
一時期、サブカルチャーのコラムニストとして
彼の名前は様々な雑誌などで目にした事がありました。
そんな氏の初純文学作品が
この「アナーキー・イン・ザ・JP」なワケですが。
はてさて、どう感想を述べたものか……
大まかなあらすじは(出版元の新潮社から抜粋)
伝説的無政府主義者・大杉栄。
その精神が、17歳パンク少年に憑依して復活した!
混沌の21世紀と、激動の明治・大正。
100年の時を超えて、
パンク少年の心とアナーキストの魂が交信する。
そして少年は動き出す。閉塞の時代を打ち破れ。
“恋”と“革命”のドラマ
だそうです。
えっと違うと思います。勘違いしちゃいます。
多少なりとも少年は動きますが、ほんの僅かです。
小指の先程も無いぐらいの少年の自我の覚醒です。
私は書評&あらすじを読んで、かなりの期待をしたのですが…
まあ、例えばベタな話しになると思われますが
小説中盤あたりから少年が目覚め、
この腐った日本で革命を起こすとか。
パンクロッカーとして覚醒のための伝道師になるとか。
まあ、そういった事を期待しつつ読みました。
しかし、この本は日本唯一のアナーキストと言われた
大杉栄の単なる解説本に過ぎません。
と、私は思う。
読んで、そうとしか感じなかったワケです。
主人公のバカでお茶目な少年や
少年を取り巻く人物達に何の意味もありません。
ただ少年がイタコ(霊媒師)的な役割で
大杉栄なる人物を描いていくのみの物語ですね。
サブカルのコラムニストが
簡単に明瞭に何も知らない人達に
アナーキーとは大杉栄とは。を
教えてくれるだけの本です。
でも、やはり、明治・大正時代の
社会主義紛争に関わった人間ドラマを
ある程度、理解していないと
分かりづらいところがあるかもしれません。
私は以前、友人から借りた谷口ジロー作
坊ちゃんの時代5部作を読んでいたので
それなりに楽しめました。
が、あの時代、大杉栄に興味のある人だけに
おすすめするだけの本であります。
だから、「小説としてどうなのよ!?」 という事です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私にとっては、評判ほどの楽しさは見つけられませんでした。
ただ、参考文献の数は凄まじいです。