「死の棘」日記

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103101062

感想・レビュー・書評

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  • 自身が浮気したことにより、妻が精神を病んでしまった作家の日記。
    壮絶だ・・・
    なんだろう。
    浮気はそりゃ発狂モノにむかつくけど、
    ここまで精神を病むものなのだろうか?
    妻側に、そういう素養があったのかな。
    どうやら精神を病むまでは、妻はとても夫に献身的だったようなので、
    その「献身」が、すでに本来の「献身」ではなく、
    自分を押し殺した献身だったのかもしれない。
    だからこそ、ここまで精神を病んでしまったのか。

    日記は、毎日のように妻の様子から始まる。
    「むがる」「気分良し」など。

    「むがる」というのは調子が良くない時なんだけど、
    (癇癪を起こしている感じ?)
    むがっている時が多い。

    とうとう病院に入院してしまう。

    夫は、その病院に泊まり込みで妻の面倒をみる。

    いくら自分の浮気のせいだとはいえ、ここまでなかなか出来ないよね。
    自責も大きくあっただろうけど、やっぱり「愛」が大きかったんじゃないかな。

    なんせ日記は、妻のことばかりだもの。

    「献身」する側が、妻から夫へ変化している。

    浮気されるのはイヤだけど、ここまで愛されるのはいいなぁ、と思った。
    そして、生きていくことの地獄のような辛さも見えた。

著者プロフィール

1917-1986。作家。長篇『死の棘』で読売文学賞、日本文学大賞、『日の移ろい』で谷崎潤一郎賞、『魚雷艇学生』で野間文芸賞、他に日本芸術院賞などを受賞。

「2017年 『死の棘 短篇連作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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