男と点と線

  • 新潮社
3.23
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103143215

作品紹介・あらすじ

68歳の老夫婦、32歳の会社員、22歳の女子大生と男友だち、17歳の高校生カップル、42歳の独身男性、28歳の小説家が世界のどこかで誰かと何かと出会う。大人たちに捧ぐ、恋愛・関係小説。クアラルンプール、パリ、上海、東京、NY、世界最南端の町でめぐりあい、つながりあう。大注目作家が新世界に挑む大人のための全6篇。

感想・レビュー・書評

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  • 初めて山崎ナオコーラさんの作品に触れて、かなり衝撃を引き摺った「スカートのすそをふんで歩く女」が入っている短編集。
    こんなに世界中にたくさん人がいるのに、関係が、恋愛友情家族だけなんてそうでしか深く関われないなんて未だに信じがたい。そんな私は「スカートのすそをふんで歩く女」を読んでちょっと泣く。それでも世界は素晴らしい、とか人間が好きとかそんな考えや感情が微塵もない私が人との繋がりは素晴らしいという気分に、ナオコーラさんの作品を読んだ時だけになる。

  • 「この子といるとつい、口が笑ってしまう。
    横に広がるのが、オレの口の大きさじゃ足りないくらいで、
    もっと大きい口だったら、もっと笑えたのに、と思う。」

    そういう相手っていますね。

  • 色々な場所と男女がテーマ?
    どこかへ旅したくなる。
    『物語の完結』のアルゼンチンが気になる。

  • 男と女は、出会う。

    短編集。
    マレーシア、フランス、中国、日本、ニューヨーク、アルゼンチン
    舞台は世界をまたがって、さまざまに展開する。

    おっもっしろっっ!って、感じ、
    いいよナオコーラ、好きだよナオコーラ。
    あとがきの最後、

    人と繋がれるということが、作家の喜びのひとつです。
    そうして、今、この本を読んでいるあなたに出会いました。

    泣きそうになった!(自意識

    マレーシアで第二の人生を過ごす夫婦、妻がちゃっかりと貯めてる離婚資金を、夫婦のピンチの度に使うのがかわいらしい。

    中国の19歳の幼い社長とその姉と、日本の製薬会社のヤマダの夢の出来事みたいなやりとりがおもしろい。

    なかなか夢中になった)^o^(

  • 「スカートのすそをふんで歩く女」が一番好き。最後の3行が昔美術手帖に載ってた「あたしはヤクザになりたい」みたい。今これで思い出したけど美術手帖のその短編が私の初山崎ナオコーラで、かつ妙に気に入って何回か読み直してた。
    他のはあまりぴんとこなかった。

  • 以前読んだものだったが
    記憶がおぼろげなのでまた新しい気持ちで読めた。
    山崎ナオコーラの文章は瑞々しくて制限がなくて好きだ。
    さりげないところで味のある文がそっとある。

    慧眼
    こんな風に人生に折り合いをつけて
    少しの諦めと方向転換を必要な時にして
    奥さんを大事にしてお互い支え合えるのって素敵。

    スカート…
    男同士の間のくだらないテンションやノリは
    たまに見るとたしかにおもしろいし羨ましい。
    それもいつか失われていくものだと最後に感じているところが
    作者と同世代なので今まさに感じている。

  • 「スカートのすそをふんで歩く女」
    と、まさに同世代、大学卒業間近、だったのでこの話がいちばんぐっときた。
    「男と女」がテーマの短編集で、たしかに、年齢が上がるごとに単に性差というファクターだけで乖離していくことってあるのかもしれない。大親友にはなれなくなってしまうのかもしれない。
    なんなんだろう。

    ナオコーラさんは
    「膨張する話」
    みたいな17歳の少年視点の話とかも、とてもうまい。

  • ずっと想いつづけることでしか視えない境地だと思う。
    頭で理解するのと、実行できるのは訳が違うから。

  • 好きな人と家族を築くというのは当たり前にできることじゃないのだなと。

  • この人の作品初めて読みました。
    ちょっと相性悪かったようです……。私からしたら何が言いたかったんだろう、というのが正直な感想です。
    でも女性なのに男性視点、それも年代の違う登場人物の心理描写を書けるのは素敵なことだと思いました。

    一瞬、あれっ、男だっけ、ナオコーラは。とか思いましたもん。

  • 説明しないで漂わせておくところに、きっとこの人の意図があるのだろうな、といつも思う。

  • 「慧眼」68歳男。マレーシアのクアラルンプール。
    甥が経営するカフェの手伝いをしている。妻の言うことが興味深い。
    「スカートのすそをふんで歩く女」22歳女。フランスのパリ。男友達3人と卒業旅行。
    理解できるが、そんなにうまくはいかないと思う。
    「邂逅」32歳男。上海。取引先の社長に指を噛み切られる。
    「膨張する話」17歳男。東京。デートする。
    「男と点と線」42歳男。ニューヨーク。さおりとさおりの娘と一緒に旅行する。さおりを昔からずっと好き。
    が、さおりは結婚はしないと言う。最後に主人公は思う。
    「あなたが大好きだという顔をして一秒一秒見つめようと思っている。」
    これがいちばん好き。
    「物語の完結」28歳女。小説家。アルゼンチンのグシュアイア。ブエノスアイレス。友人と栗本山荘という日本人が経営する宿に旅行。

  • 海外がらみの短編集。

    ・慧眼
    マレーシア、クアラルンプール。68歳の男は甥っ子とカフェを営む。クアラルンプールに来て変な方言を話し始めた妻がツボだった。
    ・スカートのすそをふんで歩く女
    フランス、パリ。22歳の女は男友達数人と卒業旅行に。絢ちゃんみたいなこと考えてる女の子って結構多そう。男女の友情の間を性が邪魔すること、性なんてないに等しい子どもの頃からたびたび感じたなぁ。
    ・邂逅
    中国の上海。突飛すぎてびっくり。予期していなかっただけに余計に。
    ・膨張する話
    日本、東京。高校生カップルの会話、おもしろ!膨張する話はいくらきいても飽きんわ。
    ・男と点と線
    アメリカ、ニューヨーク 42歳の男の崇高な愛に変わったかつての恋心の話。オッサン目線うまいわー
    ・物語の完結
    アルゼンチン、ウシュアイア 28歳の小説家は世界最南端の日本人宿に。あきらかに舞台はあの名物宿だ。こうゆうのって許可とかいるのかな?


    「理論と感性は相反しない」がすごい好きだったので期待が大きすぎてなんとなく物足りなかった。でも、ひねくれたような目線や物の考え方は健在。面白かった。何話か、タイトルと内容がかみ合わないような違和感を感じて首をかしげた。

  • やっと時間や気持ちに余裕ができたので、ひさしぶりに本を読みました。

    新刊の棚で発見したので、山崎ナオコーラさんを。

    どのお話も不思議感がただよいまくり。
    え?そんな軽くその発言言えるんだ。。みたいな。
    短編だからなのか、ポンポン話が進んでいく。

    彗眼
    クアラルンプール、離婚資金、喫茶店、コーヒー豆

    スカートのすそをふんで歩く女
    私は、女の子同士で集まるのが苦手だ。自分に自信がないから、女の子と対等に話せないのかもしれない。
    私は、男の子を相手に話をしているとき、自分が女の子であるということに甘えているようだ。「男の子たち」の中にひとりでいることが好きだ。異種でいることは楽だ。「とりあえず他人と比べられなければそれで良い」と思っている。

    邂逅
    指の第一関節より上が鷲に食べられる。
    ラクダ。
    なんとなく、ぬめぬめっとしてて、深く沈澱してて、っていうイメージ。

    膨張する話
    若い!って話。
    若いひとって、こういう風に毎日を走り抜けてるのかも。
    爽快。

    男と点と線
    そっと好きでいる選択肢。

    物語の完結
    アルゼンチン。
    イズミさん。
    「いい匂い。ごはんが炊ける匂いって、こんなにいいものなんだ」
    私は台所の匂いを嗅ぐ。狭い台所には、シンクとコンロと食器棚とダイニングテーブル。出窓の向こうは夜の庭。
    「おいしい。あったかい白ごはんと、冷めたブロッコリーだけでこんなにおいしいものなんだね」

  • 「眠りの底から生還してサラリと目を開いたときに、自分というものが空や海でないことを、まずは不思議に思う。」−『慧眼』

    読む側の気持ちを抜きには読書は成り立たない。だから、そういう主観的な気分を抜きにはその印象は語れないとは思うのだが、本を読んで何かを書きつける時(ああ、それが既に書きつけたいという気持ちに押されての行為なのだ)、なるべくなら読み始めた時に既に自分自身の中に満ちていた感情の渦に影響されないようなことを書き残したいと思う。もちろん、それは結構難しいことである。上手く気分の切り替えが進む本もあるし、そうでない本もある。本に没頭できる自分もいれば、できない自分の日もある。

    恐らくそんなことは誰にでも起こるいたって普通のことだろうと思う。しかし山崎ナオコーラのこの本は、そんなもどかしさを更に助長させるような本であると思うのだ。

    文字を追いかけながら、本の中に入っていくことなく、現実のよしなしごとの方へ意識が流れていってしまいがちになる。山崎ナオコーラの描く主人公のモノローグが、そういうふわふわと漂ってしまう感じを醸し出してしまうのか(確かに彼女の主人公たちは、じっと一ヶ所を見つづけたりはしない)、あるいは時折投げ込まれるキレのよいアフォリズム的な言葉の副作用で思考が漂ってしまうのか(そう、結構脳がしびれるような言葉を山崎ナオコーラは紡ぐ)。目の前にかかる紗のようなものを振り切ることが難しい。

    決して声高に主張されている訳ではないのだが、世の中、どうも、人生のいついかなる時もはっきりとした自意識を持って行動することが、推されているような気がしてならない。でも人生は自分だけで決められることなんてほとんどなくて、自分が勝手に向かっていると思っている目標や、あるいはそれを成し遂げるための過程なんて、結局のところ出たとこ勝負の連続であるに過ぎない。そう言ってしまうと、人間なんてラララー、と歌いだしたくもなったり厭世的な気分にもなるけれど、そこから、それでもその思い通りにならない運命こそが自分の人生なんだ、それが選び取っていくということなんだ、という気持ちにさせてくれる声を聞くと安心する。そんな本、それが山崎ナオコーラの本であるような気がしている。

    だから、ふわふわと現実のよしなしごとを思い出してくよくよしたりもするんだろうな。本に集中していない訳ではないのだけれど。

    何も起こらなくたって、人生は先へ先へと進んでいくことを人に要求する。それを要求されて少し窮屈な気分にもなる。でもそれが生きていくということなんだ、と大袈裟にいえば言い切ってしまうような潔さが山崎ナオコーラにはある。

  • 今日も快適な図書館で読書

    ってな事で、山崎ナオコーラの『男と点と線』

    慧眼
    スカートのすそをふんで歩く女
    邂逅
    膨張する話
    男と点と線
    物語の完結

    の6つの短編集。

    世界の何処かで男と女が出会ってるがテーマみたいw

    それぞれの年代、それぞれの場所での男女の物語。

    慧眼以外はどれも結ばれない点と線。

    慧眼も結ばれて無いかもしれんな……。

    個人的に男と点と線の『うぬっ』って言いたくなる様な生き様と言うか、点と線の解けそうで結ばれそうな絶妙な揺れ具合が良かった

    2018年56冊目

  • 110:ナオコーラさんの本は若者視点のものばかり読んできたせいか、一話目の「慧眼」はじめ、中年男性視点のものには何となく違和感を覚えました。慣れていないせいだと思うんですが、どうしても線の細い、ナイーブな若者を思い浮かべてしまって。収録作を通して、「出会うこと、つながること」が描かれるのですが、その重要さとさりげなさを普段つい見落としがち。表題作はどうも一方通行のように思えて仕方ないのですが、皆が惣ちゃんみたいな考え方になれば、線は球の表面を覆いつくしてしまうんだろうなあ、と思ったり。深いなあ。

  • 「人のセックスを笑うな」の著作で覚えている人もちょっとは居るかもしれない山崎ナオコーラさんの作品「男の点と線」を読了。

     うーん、正直言って当て外れでした。著者の作品はいままでに2作品読んでいるが、それなりに切れ味が良くて楽しめるものだったのだが今回はちょっとがっかり。

     男と女が世界のどこかで出会っているというテーマを基にした6編の短編が納められているが、出会いの喜びとか出会いにつきものな別れの哀しみといったわかりやすい様子には全然触れずに色々な世代の出会いの後にある微妙な時期の男女の様子を描いたものが集められている。なかには出会いが描かれて入るがほぼファンタジー小説のような短編も組み込まれているので、かなり無理をして集めた感じは拭えず、その無理が読後感の微妙な感じに繋がっている様な気も。

     そんな色々な国を舞台に描かれた不思議な男女の繋がりを描いた短編集を読むBGMに選んだのはDizzy Gillespieの"The DIzzy Gillespie BIG 7" 。結構高齢になってからのモントルーでのライブ音源。凄い元気でいい音出してます。
    https://www.youtube.com/watch?v=gB4d91Q1x6w

  • 29.2.25

  • 楽しく読ませてもらいました。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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